新型コロナウイルスワクチン接種の優先順位には、柔軟性が必要です

「ファイザー」が開発中の新型コロナのワクチンに、「90%以上の予防効果があった」と発表しました。

統計学的に有意な情報なのか、安全性はどうか、冷凍保管が必要など、クリアすべき問題は山ほどあります。

もちろん期待はしていますが、ここは慎重に、まさかの薬禍が起きるようなことのないようお願いしたい。

ファイザーのワクチンも、アストラゼネカのワクチンも、完成後には日本への供給が基本合意されています。

両者を合わせると、日本人全員が接種できる本数となる見込みですが、本来なら国産に期待したいところです。

コロナワクチンの開発では、日本は世界の最先端からは少し出遅れていますが、鋭意開発中です。

インフルエンザと同様に毎年ワクチンを接種する必要があるとも言われるので、国産は絶対に必要なのです。

で、有効かつ安全なワクチンが無事開発され、約束通り日本に輸入されたとして、次は接種の順番です。

優先順位について厚労省は、まず高齢者、次いで基礎疾患のある人に接種する方針を固めました。

さらに医療従事者を高齢者よりも優先するかどうか、そこが気になるところですが、検討中のようです。

11年前の新型インフルエンザ流行時のワクチン接種にも、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-19.html" target="_blank" title="厳格な優先順位">厳格な優先順位</a>が設定されました。

あの時は、医療機関にワクチンが余っていても、優先接種対象者以外への接種を認めない徹底ぶりでした。

柔軟性のない接種計画は効率が悪く、結果的にインフルの流行を阻止できなくなってしまいました。

今回のコロナワクチンは、新型インフルのとき以上に、接種の希望者が殺到する可能性があります。

コロナがインフルと異なるのは、重症化しやすいのは高齢者ですが、感染を拡大するのは若者だということ。

重症化阻止の目的なら高齢者への接種が優先ですが、集団免疫の確立のためには若者への接種も重要です。

妙に硬直化した優先順位規定とならぬよう、ある程度は臨機応変な運用ができる余地も作って欲しいですね。

コロナ禍中(渦中)での指導者交代が、吉と出ますように

NHKの世論調査では、菅内閣を「支持する」と答えた人が先月より1ポイント上がって56%だったとのこと。

支持する理由のトップ2は、「他の内閣よりよさそうだから」27%、「人柄が信頼できるから」25%。

不支持の理由のトップ2は、「政策に期待が持てないから」36%、「人柄が信頼できないから」26%。

まず興味深いのは、不支持理由の中でも「他の内閣の方が良さそうだから」は少数だったということ。

つまり、菅内閣は支持しないけど、だからといって他に支持する内閣もないという、悲しい状況なのです。

また支持者にしたって、「政策に期待が持てるから」を挙げた人は多くなく、やはり消去法的な支持理由です。

本来、内閣支持理由には断トツで、「政策に期待が持てるから」が来るべきですけどね。

人柄への信頼が、支持理由としても不支持理由としても重要な因子のようです。

政策や実行力の評価ならともかく、人柄が真逆に評価されるというのは、つまり好みの問題なのでしょうね。

その極端な例が、米大統領選でのトランプ氏の得票率の意外な高さと、その支持者の熱狂ぶりです。

コロナ禍で彼の非常識さがあれほどまでに露呈しなければ、再選もあったかもしれません。

比較の問題か実際の人柄か、勝利したバイデン氏が、実にバランスのとれた堂々たる常識人に見えてきました。

理由は違うにせよ、日米ともに非常時に指導者が交代することになりましたが、真に大事なのはこの次です。

あえて私の菅内閣支持理由を言うなら、「いま指導者を支持しなくてどうする」。

車を持っていない人の「発熱外来」受診手段は?

新型コロナウイルス感染の「診療・検査医療機関」には、熊本市内でも多くの医療機関が指定されています。

この冬の、コロナとインフルエンザの同時流行にも備えた、いわゆる「発熱外来」です。

当院は日曜祝日も発熱外来「枠」を開設しているので、今日は紹介を受けて来院した方が何人かいました。

さてその発熱外来ですが、実際に運用してみると、いろんな問題点が浮き彫りになります。

以下は、あくまで一般論として(当院の事例とは限らないとして)お読みください。

(1)自家用車を持っていない方の受診

コロナ検査のための受診における政府の考え方は、某議員の質問に対する答弁から読み取れば、

・公共交通機関の利用を避けることは、他の利用者への感染を予防するために必要

・タクシーについては、公共交通機関に含まれる

・救急車の利用については、その必要性が状況により異なるので、一概にはお答えできない

自家用車がない方が救急車で受診することを許容したとしても、今度は帰るときに問題が起きます。

まさかまた、救急車で帰宅するわけにもいきませんからね。

(2)喘息発作やけいれんやアナフィラキシーや心筋梗塞などの急病者とのバッティング

緊急性の高い方が急に来院すると、発熱外来は一時中断せざるを得ません。救命が優先ですから。

医者の体はひとつしかなく、診療所の構造にも限界があり、時間的・空間的分離の徹底は困難になります。

一般の医療機関が発熱外来を担当する場合には、このような避けられないリスクが存在するのです。

始めたばかりの発熱外来ですが、一般患者の診療との両立は、そう簡単ではないように思えてきたところです。

パジャマの着心地を考えてネルに限る

パジャマを買いました。何十年ぶりでしょうか。ゆめタウンで買った、1,500円のお値打ち品です。

これまでは、寝る前に着ていた「部屋着」で、そのまま寝てました。皆さんだいたい、そんなもんでしょう?

夏場であれば、その部屋着を脱いでから、下着のままで寝たりしました。だいたい、そんな感じでしょう?

しかし、風呂上がりにすぐパジャマを着るのは邪道なのです。宅配便への対応にも困ります。

「寝るのだ」というタイミングでパジャマに着替える「儀式」は、気分を転換し快眠にもつながるとか。

旅先で、ホテルや旅館にはたいてい、浴衣やバスローブが置いてありますが、あれは寝るにはイマイチですね。

寝てる間にはだけてしまい、朝起きたらほとんで脱げた状態で、帯だけがきっちり巻かれていたりします。

今回買ったパジャマの素材は、綿を起毛させて柔らかい肌触りにした織り方の「ネル」(綿ネル)です。

ネルは「寝る」に通じるので、まさにパジャマのためにあるようなものでしょう。

正式名称は「フランネル」。これも「普段寝る」に通じます。

昨夜はネルのパジャマで、久しぶりに寝汗をかかずに眠れました。これって私にとっては、重要ポイントです。

そういえば昔、コーヒーに凝っていた頃、「ネルドリップ」に手を出したことがあります。

でもあれは、ネルの管理が難しいですね。乾燥させないように、いつも水に浸けて冷蔵庫で保管していました。

そのように気を付けて管理しても、だんだんとカビっぽい色が付きはじめ、なんとなく臭ってきます。

あるときそれをキッチンハイターで漂白したら、新品のように真っ白になり、大喜びしたものです。

しかし、そのあといくらすすいでも塩素臭くて、二度と使えないシロモノになってしまいました。

インフルエンザが流行しなければ、むしろ平穏な冬になるのか

開院して14年目ですが、コロナ禍のせいでたぶん、もっとも先の読めない冬を迎えようとしています。

新型コロナとインフルエンザが<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3302.html" target="_blank" title="同時流行">同時流行</a>する可能性があり、それに対応するための準備に追われています。

国が新たに繰り出す施策はなかなか複雑で、自治体も医療機関もバタバタしています。

そんな中、インフルエンザワクチンの接種者数は、当院でも確実に過去最多になりそうな勢いです。

ワクチンの製造数を少し増やしたぐらいではまったく追いつかず、医療現場は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3309.html" target="_blank" title="ワクチン不足">ワクチン不足</a>で困っています。

厚労省はあれだけ接種の必要性を煽っておきながら、供給計画はまったくおそまつ。これは大失態レベルです。

さいわい、インフルエンザの流行は、近年では最小規模になりそうですね。

コロナ対策がインフル対策にもなっていることに加えて、「ウイルス干渉」の可能性も考えられています。

ウイルス干渉とは、ひとつのウイルスに感染すると免疫が強まり、別のウイルスに感染しにくくなる現象です。

私はしかし、日本ではコロナとインフルとでは感染者数が桁違いなので、ウイルス干渉については懐疑的です。

コロナが少々流行したところで、毎年1千万人以上が罹患するインフルエンザが抑えられるものなのか。

しかし逆に、もしもインフルエンザが大流行すれば、コロナが抑え込まれる可能性はあるかもしれません。

もちろんインフル大流行は避けたい。死亡率は低くても、1千万人単位の感染は多くの死者数をもたらします。

こう言っちゃナンですが、コロナよりもインフルの方が、乳幼児にとっては大きな脅威ですからね。

今年南半球では、原因は何であれ、奇跡的とも言えるほどインフルエンザは流行しませんでした。

インフルの「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1149.html" target="_blank" title="超過死亡">超過死亡</a>」は毎年約1万人。これが激減するのであれば、結果的には福音となるかもしれません。

悩ましい売電とランプの現状

電力自由化の件で、久しぶりに電話がかかってきました。しかも診察の真っ最中に。

「もう何年も前に別会社と契約してますから」と、仕事中だったので少々不機嫌な対応をしてしまいました。

電気と言えば、自宅の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-201.html" target="_blank" title="太陽光発電">太陽光発電</a>は、10年間の優遇期間を終えて今年からは、九電の買取価格が激下がりです。

昨年まで48円/kWhという破格値だったのが、いまでは7円/kWhで買いたたかれています。ひどい話です。

もっと割の良い買取業者もありますが、今年1年は様子を見て、来年決めようと思っています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2713.html" target="_blank" title="蓄電システム">蓄電システム</a>も今後普及して、蓄電池も安くなるだろうと思ってるのですが、どうなりますかね。

クリニックの照明器具は、もともと蛍光灯だった部分はすべて、数年前にLED照明に置き換えています。

これも業者の売り込み攻勢が激しかったのですが、しばらく考えた末に、比較的お得なものを選びました。

LEDというだけで満足していますが、その実、電気代にどのように反映されているかは検証していません。

診察に使う<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2041.html" target="_blank" title="ペンライト">ペンライト</a>と耳鏡はウェルチ・アレンの製品を使っていますが、ランプはLEDにしています。

これがまことに、長持ちしますね。ON/OFFの切替の激しい用途ですが、まったく問題ありません。

おまけにこのLEDランプの優れた点は、明るすぎず白すぎず、良い感じに光が調節してあることです。

室内に設置する照明器具でも、白熱灯のような色合いを出すLEDが選べるようになりました。

いま自宅を建てるなら、キッチンの明るい照明も、趣のある寝室のランプも、すべてLEDでもいいぐらいです。

11年前に家を建てたときに、LED照明を選ぶ気などまったく無かったのは、私の先見の明の無さです。

大統領選挙は、開票で混乱する(かもしれない)のが毎回面白い

アメリカ大統領選挙は、そうなったら面白い(失礼)と思っていた接戦になってるので、目が離せませんね。

バイデン氏は控えめに「勝利に向かっている」と言い、トランプ氏は大仰に「選挙に勝った」と言い切る。

その最終結果がいつ判明するのかわかりませんが、少なくとも今夜のブログには間に合いそうにありません。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2847.html" target="_blank" title="開票速報など無意味">開票速報など無意味</a>だと書いたことがありますが、大統領選挙は別。だって開票過程自体が面白いですから。

「大阪都構想」の住民投票が、3日前に行われました。これもまた接戦でした。

現職の知事と市長が「改革」をぶち上げ、敵対勢力が「現状維持」を求めるという、一種のねじれが面白い。

そこそこ人気のある2人なので、余計なことをしなけりゃ現職に留まれるのに、敢えて賭けに出たんですね。

しかし何が問題なのか私にはよくわかりませんが、都構想は否決されました。

この住民投票のように「変化」か「維持」かを多数決で決める場合、「変化」の側が不利だろうとは思います。

なぜなら、「もう少し様子を見たい」という中間派は、とりあえず「現状維持」を選択するからです。

しかし選挙とか投票では、そのときの勢いが大きなうねりとなって予想外の結果が出る場合がありますよね。

だからイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票のように、あとで冷静になると自分の投票に後悔したりする。

大阪の2回目の住民投票でまた僅差で負けた知事・市長側は、都構想のうねりを作りきれてなかったわけです。

コロナ禍も当然、現状維持派への追い風です。どうしてこのタイミングで住民投票を断行したんでしょうね。

急がないけど必要な事は、世の中にたくさんあります

「不要不急」の対義語は何でしょう。知恵袋等でも定番の質問の答は、「必要緊急」あるいは「必要至急」か。

しかし、「必要緊急」でなければ「不要不急」ということにはなりません。

実際に多いのは、「必要不急」のような、急がないけどコロナの終息までは待てないような、重要な用件です。

人生を豊かにする文化や芸術や人との交流を、不急だからと不要扱いしてよいはずがありません。

「Go Toキャンペーン」のような、少々完成度の低い政策でも、何かの足しにはなるかもしれません。

東京五輪の来年開催も、少し前までは私は懐疑的でしたが、やり方次第なのかもしれないと思い始めています。

入学祝いや還暦祝いだって、最小限の人数の身内が、数人程度は集まりたい。祝いたい。祝ってもらいたい。

生まれた孫に会いに行くのも、そりゃしばらくは待ちますが、無期限延期というわけにもいきません。

結婚披露宴を延期した方も多いでしょうけど、よく考えて適切な形で、ぜひ開催を考えていただきたい。

いま、多くの病院が行っている「面会禁止」措置は、できるだけ回避してほしいものです。

入院理由や期間はケースバイケースですが、「不要」な面会などないはず。しばしば「不急」ですらない。

私自身も、最近経験した身内の入院に際し、面会どころか差し入れも手渡せない状況だと知り、驚きました。

心細い患者と心配な家族。ガラス越しでもリモートでも、可能な限り面会できるよう工夫すべきでしょう。

ウィズコロナの時代は長くなりそうです。感染対策を施した面会手段の構築には、国は大いに助成してほしい。

「よく気を付けましょう」じゃダメなんです

名称がよく似た<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2893.html" target="_blank" title="医薬品の取り違え問題">医薬品の取り違え問題</a>については、当ブログでも時々取り上げてきました。

今回のお題は、「ルパフィン」と「ルセフィ」。22例の取り違え事例が報告されました。

いずれも私はあまり処方しない薬です。前者はアレルギーの薬で、後者は糖尿病治療薬。

ま、似てるっちゃ似てる。「ルパン」と「ルフィ」ぐらい似てます。前者は怪盗で、後者は海賊。

取り違えの経緯を見てみると、ある事例は、花粉症と糖尿病の両方の薬を処方してもおかしくない患者さん。

間違えて処方しても気づきにくいケースですが、処方の変化を薬局が医者に確認して事なきを得たようです。

薬剤師さんって、結構細かいとこ指摘して来ますからね。しかもいつも正しい。

医薬品は何万もあるので、どうしたって似たような名前がでてきます。命名の工夫にも限界があるでしょうね。

とくに電子カルテで処方を行う場合、最初の2,3文字が似通っていると、薬を選び間違える可能性があります。

こんなとき、「よく気を付けましょう」なんていう精神論じゃダメです。間違えないように知恵を絞らなきゃ。

たとえば選択肢に、「ルパフィン(アレルギー薬)」「ルセフィ(糖尿病薬)」などと記載するのも有効。

薬の処方に限らず、項目をクリックして選ぶシステムでは、違いを明確にするような工夫が必要です。

性別を選ぶボタンなら、男を青、女を赤で表示するとか、たとえばそんな具合です。

医薬品の錠剤が入った「PTPシート」には、最近は薬品名だけでなく薬効も印字されるようになりました。

ルパフィンには「アレルギー性疾患治療薬」、ルセフィには「糖尿病用薬」と書いてある。しかし字が小さい。

こういう表示は、なるべく大きな目立つ字で印字してもらいたいですね。内服前の、最後の警告なんですから。

事故は過失でも、逃げるは故意です身の破滅

某若手俳優が、車でバイクをひき逃げした件。その報道の中で、気づかされたことがあります。

自分が関与した交通事故では、たとえ自分に非が無くても負傷者を救護しなければならない、ということ。

これを守らなければ、ひき逃げになるそうですね。負傷者がその場では「大丈夫です」と言ってもです。

たとえば交差点で信号待ち中に、路肩を走ってきたバイクが、自分の車の左のドアミラーに接触したとします。

バイクは弾みで転倒。その時ちょうど信号が青になり、すぐ発車しなければ渋滞を招く状況。

バイクの兄ちゃんにケガはなさそうで、立ち上がってこっちに向かって、申し訳なさそうに会釈をしています。

窓越しに「大丈夫ですか?」と声を掛けたら、「大丈夫です。ミラーにぶつけてすみません」との返答あり。

このケースでも、私がそのまま車を発進させて走り去ったら、ひき逃げってことですよね。

20年ぐらい前に、家族を乗せた車でバイパスを走ってたら、前方でミニバイクが転倒していました。

その後ろには、別のバイクが道路上に停めてあり、その運転者が転倒したバイクの方に駆け寄っていました。

どういういきさつかわかりませんが、2人とも無事な様子なので、私はバイクの脇を徐行して通過しました。

ところがその時、どうしたことか、停めてあったバイクが私の車の方に倒れてきたのです。私は慌てて急停車。

車から降りて見てみると、車の右前輪とフェンダーの間にバイクのハンドルがはまり込んでいます。

バイクの兄ちゃんは呆然と立ち尽くしているので、私が一人で苦労してハンドルを引き出しました。

この一部始終を対向車から見たら、間違いなく、私が2台のバイクをはね飛ばした事故現場そのものですよ。

車を傷つけられたことに文句を言うより、いち早くその場を離れた方がよさそうなので、私は走り去りました。

私には何の落ち度も罪も無いはずですが、これが今だと、対向車のドラレコに撮られて大惨事でしょうね。