「神のみぞ知る」発言を責めている場合ではありません

感染が拡大して皆がイライラする中、西村・経済再生担当大臣の昨夜のうっかり発言が、批判を浴びています。

「どの程度の新規陽性者が想定されているのか(略)見通しを示していただきたい」と問われた西村氏が、

「感染がどうなるかってのは本当に、神のみぞ知るという、これはいつも尾身先生も言われてます」

と答えてしまいました。残念ながら、表現の仕方、言葉の順番が悪かったですね。

「いつも尾身先生が、感染がどうなるかは神のみぞ知るだと言われてますが、・・・」と言うべきでした。

「神のみぞ知る」は、あくまで尾身先生の口から出た言葉として、明瞭な引用形にしておかなきゃ。

で、その尾身氏の「神のみぞ知る」発言ですが、科学者は、自分が分かることと分からないことを区別します。

なので科学的に予測不可能であることをもって、「神のみぞ知る」と表現することもあり得ます。

しかし政治家が「神のみぞ知る」と言えば、無責任だと責められるのです。でもたぶん西村氏の本心ですよね。

西村氏は正直です。実際、感染がどう広がるかは神のみぞ知るですよ、本当に。全人類がそう思ってますよ。

だから野党も、そんな言葉尻を攻撃するなんてつまらないことせずに、もっと建設的なことで議論しましょう。

政府が感染対策を国民に丸投げしてきた結果が、この第3波なのです。やはりいま何か、国の施策が必要です。

回し始めた経済を止めたくない気持ちはわかりますが、もう「Go To キャンペーン」は修正すべき時期です。

キャンペーンの全停止ではなく、繊細で効果的な方策を全集中で考えてほしいものです。国民は従いますから。

ついに食事中にもマスクをする段階に入りましたか

東京都が500人台、大阪府は300人台、愛知県は200人台と、各地で感染確認数が過去最多を記録しました。

日々の数値で一喜一憂するなといいますが、「一喜」など一度もしてませんよ。毎日「一憂」の積み重ねです。

小池知事は今日、会食時の感染防止策として「5つの小(こ)」を提唱しました。

「小人数」ここは敢えて「少人数」とは言わないのです。

「小一時間」これには吹きました。「よく考えましたで賞」を差し上げたい。けど小一時間は短くね?

「小声」大声出すなということでしょうけど、酒が入ったらどうなることやら。

「小皿」別に皿が小さい必要は無いですけどね。大皿はダメだってことね。

「小まめ」にマスクを脱着せよと。あのギャグみたいな「マスク会食」ですか。

では私も、いくつか追加させていただきます。

「小洒落た」店で飲めば、周囲の目も気になるので羽目を外さず飲めるはず。

「小料理屋」静かに大人しく飲むならやっぱりココ。

「小上がり」換気を考えると、奥の座敷はダメです。

「小鉢」小皿よりもさらに上品に、少しずつ頂きます。

「小言幸兵衛」にならぬよう、説教じみた会話をせず、楽しく静かに飲みましょう。

「小馬鹿」にした態度で会話すると、飲み屋でケンカになるのでやめましょう。「小生意気」も同様。

「小内刈り」どうしてもケンカになったら、さっさと倒して逃げましょう。「小外刈り」でも可。

ワイワイ談笑しながらゆっくり食べることのできない「会食」って、どう考えても楽しくはなさそう。

それにしても「マスク会食」って、去年以前にやったら確実にコントですよ。世の中、変わるものです。

いきなりGoogle予測を上回る感染者数が出ましたけど

新型コロナの国内感染確認数が、ついに2,000人を超えて、Google予測をも上回る過去最多となりました。

東京都でも、第2波を超える過去最多の493人。ところが、意見を問われた小池都知事は、こう即答しました。

「実は過去最多がもう一つあります。検査数です」

まるで勝ち誇ったような顔で、小池氏は平然と言い放ちました。あ〜あ、そんなんじゃダメでしょう。

教えてあげますけどね、こういうときは、次のように言うものです。

「検査数が増えて感染確認数が増えた側面もありますが、それにしても、極めて深刻に受け止めております」

政権幹部はいつも、危機的な数値が出ても冷静を装い、事態を矮小化しようとします。都知事も同類です。

まったく動じない態度を見せることで、その程度のことは想定内であると、そう言いたいのでしょうか。

都知事は、「検査を(たくさん)することによって、無症状の人も陽性がわかってくる」とも述べました。

じゃあ、これまでは無症状感染者を野放しにしてきました、と認めるのでしょうか?

まあ、そんなことはどうでもいい。ともかく政治家には、数値を客観的に正しく評価してもらいたい。

政治家としての経験とか、手腕とか、人脈とか、力量とか、そんなことよりも今は、科学的であってほしい。

他の状況ならいざ知らずパンデミックにおいては、医学(科学)的見識こそが、いちばん望まれると思います。

「京」の百倍速い「富岳」で、コロナ予測をお願いしたい

NHKの番組で、イルカを何十年かぶりに見ました。来月70歳ですか。ぼぼ昔と同じ外見と声なんですけど。

それはともかく…

Googleが、人工知能(AI)を活用した「COVID-19感染予測」の、日本版の公表を本日から始めました。

日本でもすでに同様の予測があるとしたら私の勉強不足ですが、Googleのサイトは私にはとても新鮮です。

AIを使った予測というのは、機械的と言うか「人工的」ですが、少々悲観的なデータを平気で出してきますね。

状況は流動的なのでこういう予測は鵜呑みにはできませんが、その反面、的中しかねない恐ろしさがあります。

「医療機関などに有効活用してもらいたい」とGoogleは言いますが、さて医療現場でどう活用したものか。

とりあえず、今日時点での予測ページを保存しました。4週間後の「実態」と比較してみたいからです。

Google予測によると、今後も感染者数はどんどん増え、毎日2千人ペースに達し、さらにそれを超えそうです。

地域別では北海道がダントツでヤバイ。Go Toトラベルもいい加減にした方がいいですね、少なくとも札幌は。

スパコンの世界ランキングで、理化学研究所の「富岳」が、再び世界一になりました。

「飛沫」の拡散シミュレーションではおなじみですが、「線状降水帯」の豪雨予測でも期待されています。

コロナ関係だと、ウイルスの蛋白構造だとか治療薬候補の研究でも、富岳が使われているようです。

ならばぜひ「富岳版コロナ予測」を毎日公表してほしい。Googleになんて頼らず、自前で予測しましょうよ。

喜ばしいことに、HPVワクチンを接種する方が徐々に増えています

WHOが発表した、「はしか(麻疹)」の昨年の死亡者数20万人が、大きく報じられています。

感染者数も近年では最多の87万人。となると死亡率は20%超ですか。そのことにいちばん驚きます。

予防接種率の停滞が、麻疹急増の原因といわれています。意識的にワクチンを接種しない人がいるのです。

問題は、その人たちの影響で集団免疫の成立が阻害され、地域で麻疹が流行してしまうことにあります。

これはワクチン後進国と言われてきた日本の話ではなく、先進国であるはずの米国で起きていることです。

反ワクチン団体や個人からの偏った情報がSNSを通じて拡散することが、現代の深刻な問題なのです。

選択の自由は尊重すべきですが、デマを元にした選択は、間違っているし不幸なことです。

どのような選択も、正しい科学的事実を十分に与えられ、吟味した上で、自由意志でなされるべきです。

しかし、だからといって、科学・医学が絶対なのかと問われたら、私には返す言葉がありません。

社会が成熟すればするほど、あえて科学に反する自由にも、一定の理解が必要になるのかもしれません。

だからこそ、科学的事実そのものについては、歪曲したり隠蔽するようなことは許されません。

たとえば、HPVワクチンの副作用を調べるために、3万人の若い女性を対象に行われた「名古屋スタディ」。

本来は、ワクチンの副作用を立証するための調査でしたが、蓋を開けてみたら副作用は認められませんでした。

ところが、「HPVワクチンはシロ」と言える決定的な調査結果は、事実上隠蔽されてしまいました。

いったんは、名古屋市のサイトに調査結果の速報が掲載されましたが、半年後に削除されました。

ワクチンに副作用がなかったことが立証されて公表されては困る人たちの意をくんだものです。

世の中にはいろんな考え方の人がいますが、でも厚労省は、科学的事実に従って動いてほしいものです。

さいわい、HPVワクチンを接種する人が最近増えつつあります。国が動かなくても、国民はわかっています。

まっしろなカレンダーでさみしい

コロナだ、自粛だ、第2波だ、台風だ、Go Toだ、第3波だ、などと言ってるうちに、年末が近付いてきました。

来年のカレンダーをいくつか購入しました。さらにまた、いくつか買い足そうと計画中です。

しかしそれらをいくら眺めても、来たるべき年を思って浮かれる気分にはちっともなれません。

自宅にあるカレンダーの絵柄は、犬か飛行機のどちらかです。昨年のも、だいたいそんなものでした。

先日、通販サイトで航空機の特大カレンダーを発注した後、ふと注文履歴を見たら同じカレンダーを発見。

まったく同じカレンダーを先月注文したことをすっかり忘れていて、しかもまた同じモノを買ったのです。

純粋に日付を見るためなら、私が一番重宝しているのは、1年間全部が一覧できる一枚物のカレンダーです。

4週間後とか60日後や90日後、あるいは4週間前など、診療における重要な日付が一目で分かるからです。

高橋書店の製品か、そのジェネリックを、診察室と院長室と自宅書斎の壁に貼り付けています。

このIT化の時代、日々の予定表はiPhoneやMacで管理しています。何より、全端末で同期するところがいい。

しかしまた、カレンダーの余白に書き込むようなスケジュール管理も、特定の仕事に限定すれば有用です。

自宅の飛行機のカレンダーは、去年は搭乗スケジュールを書き込むための専用カレンダーでした。

搭乗便を変更することが私はわりと多いので、「フリクションボールペン」で記入することにしていました。

ところが今年は飛行機に乗る予定自体が無い。カレンダーは単なる、飛行機のポスターに成り下がってます。

そもそも来年に、明るい行事を計画する気がしません。余白が真っ白なカレンダーは、その象徴です。

発熱外来はしばしば、部屋が足りずに駐車場外来なので寒いです

いまさら言うのもナンですけど、私は「発熱外来」という呼称が嫌いです。

なぜなら、発熱の原因や病原体もハッキリしないうちから、発熱者をみな一緒くたにはできないからです。

インフルエンザの流行期でも、インフル疑いの段階の人と確定患者とは、明確に区別しなければなりません。

インフルだと確定するまでは、インフルではない別の疾患(風邪など)の可能性も考慮すべきだからです。

コロナの疑いの方も、コロナかもしれないし別の感染症かもしれません。

たとえコロナが確定した患者でも、インフル等の感染症を併発していないか、そこまで考える必要があります。

つまり、すべての発熱者は、それぞれが異なる病原体を持つ患者だと、理論上はそう考えるべきなのです。

となると、医療機関では隔離室がいくらあっても足りません。動線を分けるための、空間も足りません。

なので、問診や簡単な診察から検査、さらに会計まで、しばしば屋外の駐車場で行っているのが現状です。

ですが、駐車場と院内とを防護具を着けて行き来する私の経路・動線には、どうしても不安があります。

理想を言うなら、駐車場から直接出入りできる診察室がいくつも並んだような構造の診療所が欲しいですね。

テントやプレハブで作った2部屋程度じゃなくて、7,8部屋がずらっと並ぶと、感染症対策としては完璧です。

各部屋の裏側にはバックヤードが隣接していて、医師やスタッフはそちら側を行き来できます。あ、コレいい。

そんな妄想をしながら、今日も屋外に出たり入ったりです。いまはまだ良いですが、真冬はどうなりますやら。

「発熱外来」といっても、危険な場所ではありませんので

いま熊本市のサイトに「発熱などの症状がある場合のご相談窓口」として掲載されているのは、次の2つです。

(1)かかりつけ医や最寄りの医療機関など、身近な医療機関

(2)発熱患者専用ダイヤル  ※相談する医療機関がわからない場合

この(2)に電話するとたぶん、当院のような「発熱外来(診療・検査医療機関)」が紹介されるのでしょう。

こう書くと、当院は発熱者ばかり受診してるのかと、一般の方に敬遠されかねませんが、それは違います。

なぜなら、「発熱外来診療体制」の基本は、診察室や時間帯を限定して診療を行うことにあるからです。

たとえば当院の場合は、毎日特定の時間帯を発熱外来用に確保し、屋外または特定の部屋で診察しています。

ところで下世話なことを書きますが、医療機関にとって重要なのは、発熱外来の開設を支援する補助金です。

これがなければ、医療機関はリスクだけを背負うことになりますからね。

遅ればせながら本日、その「発熱外来診療体制確保補助金」の交付申請書やら請求書やらを提出しました。

悲しいことにしかし、その申請書類の4枚はみな私の嫌いなExcel文書なんですよね。もちろんWindows版。

厚労省のサイトからダウンロードして、無理くりMacで開いてみると、あちこちに不具合があります。

同一文書内の表計算はうまくいきましたが、別の書類への数値コピーが働いてなくて、そこは手入力です。

間違いがあったら困るので、厚労省のコールセンターに尋ねてみました(今日も対応は親切でした)。

するとやはり、「予算書」の書き方が間違っていました(Windows版Excelなら自動入力される部分です)。

補助金の千円以下の部分は切り捨てられるため、その端数は「自己資金」として入力することがわかりました。

数値の辻褄を合わせるため、自己資金を投入した形にするという、お役所の流儀には恐れ入りました。

大事なことはまず国に訊け

新型コロナウイルスの新規感染者が、ついに過去最多数を更新しました。医療体制のひっ迫が懸念されます。

東京で、昨日317人の感染者が出たことに対して知事は、次のように言い放っていました。

「東京都民ではなく、検体だけが都内に持ち込まれた陽性者が22人いるので、実質は300人を切る数字だ」

じゃあ、今日の393人はどうなの。

昨日も書いたばかりですが、何でも矮小化しようというその姿勢が、政治家の信頼感を失わせるのです。

まあそれにしても、「第3波」に突入したことはもう、認めましょうよ。

「いや、第3波とは言えません。第4波かもしれないので」などと西村大臣は言うのでしょうか。

当院もいわゆる「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3323.html" target="_blank" title="発熱外来">発熱外来</a>」を稼働させていますが、幸いにして、まだ来院者はボチボチです。

それでもとくに日曜日には、相談センターからの紹介を受けて当院に来院する方がいます。

この「診療・検査医療機関」制度では、専用の診察室を確保した時間に応じて、体制確保経費が補助されます。

ところがその、「体制確保時間」の設定法にはアバウトな雰囲気があって、分かり難いのです。

私はどうも頭が固いところがあるので、時間設定をハッキリさせるべく、一昨日お役所に電話してみました。

以前<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-19.html" target="_blank" title="別件">別件</a>で、保健所や県庁ではラチがあかなかった経験があったので、今回は最初から厚労省にかけました。

厚労省のコールセンターの担当者はとても親切で、意外なほどに医療機関に対して好意的でした。

その回答を踏まえて県に確認してみると、それで良いですと。さらに念のため保健所に電話しても同じ。

さすが、国の回答を最初に得ておいた効果は絶大でした。こんどから、この順番で行こう。

誰が見ても新型コロナ「第3波」が到来してますけど

全国で新型コロナウイルス新規感染者数が増え、明らかに「第3波」の様相を呈しています。

検査数が増えているからだ、と強がる人もいますが、危機感を抱いて警戒感を強める方がよっぽど素直です。

「Go To キャンペーンの影響とは限らない」と言い張る政治家や専門家もいますが、その態度がダメ。

「Go To キャンペーン継続の可否も含めて、対応策を早急に検討すべきだ」と言うぐらいが良いのです。

原発事故の時もそうでしたが、政府や役人はどうしても、重大事案を矮小化したがります。

パニックを恐れるというよりも、一種の正常性バイアスか。本気で危機感が欠除しているのかもしれません。

春の「第1波」よりもずっと大きかった夏の「第2波」を、政府はついに、認めませんでした。

おそらくは、第2波と言ってしまうと緊急事態宣言再発出の議論を呼びかねないと考えたからでしょう。

第2波なのかと問われた西村大臣は、「第2波という方もいれば第3波と呼ぶ方もいる」とはぐらかしました。

「春の流行が第2波だったかもしれないので、必ずしも今回が第2波とは言えない」という理屈(詭弁)です。

あの大きな第2波を無視した手前、いまさら今回の第3波で慌てたのでは整合性がとれません。

過ちとは認めてないので改めることもできず、ズルズルと泥沼にはまっていくのでしょうか。

この第3波が、欧米並の巨大波にならぬことを祈るばかりです。