医療ひっ迫で問題となるのは、むしろコロナ以外の患者です

本日発表された全国の新型コロナ感染者数は、過去最多となりました。重症者数も過去最多です。

病床使用率も増加し、50%を超える府県も増えています。各地の医療はかなりひっ迫した状況です。

新型コロナに対応するベッド数を増やせば、その分、他の疾患用のベッド数が減ることになります。

世の中の目は、コロナ治療体制の確保に向いていますが、実はコロナ以外の医療もひっ迫しているのです。

新型コロナウイルス感染による医療ひっ迫というのはつまり、医療全体にかかわる問題です。

検診が差し控えられて癌などの早期発見が遅れたり、癌が見つかっても手術時期が遅れる可能性もあります。

当院のような診療所レベルでも、発熱外来を設定することで、一般の診療にしわ寄せが起きています。

非発熱者を限られた時間帯に診療する必要が生じるため、その時間帯は詰め込み診療になりがちです。

急がない検査を延期することもしばしばあります。乳幼児の予防接種枠も、かなり制限せざるを得ません。

昨日保健所から、「COVID-19に係る検査の徹底について」と題して、次のようなFAXが届きました。

「発熱患者等が医療機関を受診した際に(略)積極的にCOVID-19の検査を実施していただくよう」

発熱者は原則として全員、コロナの検査をせよ、というのが国からの要請だそうです。

そう言われなくても、当院の発熱外来においては、必要があればコロナ検査(抗原検査)を行う体制です。

しかし、時間的空間的分離を徹底しようとすると、一人当たりの診療にかなり時間がかかります。

発熱外来に十分な時間を割いて準備することで、一般患者への医療サービス提供量が確実に減っています。