喜ばしいことに、HPVワクチンを接種する方が徐々に増えています

WHOが発表した、「はしか(麻疹)」の昨年の死亡者数20万人が、大きく報じられています。

感染者数も近年では最多の87万人。となると死亡率は20%超ですか。そのことにいちばん驚きます。

予防接種率の停滞が、麻疹急増の原因といわれています。意識的にワクチンを接種しない人がいるのです。

問題は、その人たちの影響で集団免疫の成立が阻害され、地域で麻疹が流行してしまうことにあります。

これはワクチン後進国と言われてきた日本の話ではなく、先進国であるはずの米国で起きていることです。

反ワクチン団体や個人からの偏った情報がSNSを通じて拡散することが、現代の深刻な問題なのです。

選択の自由は尊重すべきですが、デマを元にした選択は、間違っているし不幸なことです。

どのような選択も、正しい科学的事実を十分に与えられ、吟味した上で、自由意志でなされるべきです。

しかし、だからといって、科学・医学が絶対なのかと問われたら、私には返す言葉がありません。

社会が成熟すればするほど、あえて科学に反する自由にも、一定の理解が必要になるのかもしれません。

だからこそ、科学的事実そのものについては、歪曲したり隠蔽するようなことは許されません。

たとえば、HPVワクチンの副作用を調べるために、3万人の若い女性を対象に行われた「名古屋スタディ」。

本来は、ワクチンの副作用を立証するための調査でしたが、蓋を開けてみたら副作用は認められませんでした。

ところが、「HPVワクチンはシロ」と言える決定的な調査結果は、事実上隠蔽されてしまいました。

いったんは、名古屋市のサイトに調査結果の速報が掲載されましたが、半年後に削除されました。

ワクチンに副作用がなかったことが立証されて公表されては困る人たちの意をくんだものです。

世の中にはいろんな考え方の人がいますが、でも厚労省は、科学的事実に従って動いてほしいものです。

さいわい、HPVワクチンを接種する人が最近増えつつあります。国が動かなくても、国民はわかっています。