「肺炎球菌ワクチン」の出荷制限が始まりました

高齢者への定期接種が行われている「肺炎球菌ワクチン」は、今月からメーカーの出荷調整が始まっています。

新型コロナ流行の影響による「肺炎予防意識の高まり」によって、接種数が大幅に増えているからです。

昨年までは、定期接種対象者の接種率がイマイチだったので、低い水準で需給バランスが保たれていました。

ところが今年、定期対象者に加え非対象者も接種を希望するようになり、供給が追いつかなくなったのです。

有効性の高いワクチンですから、このようなコロナ禍の時期に接種するのは、たしかに理にかなっています。

想定外の需要増が原因だとしても、定期接種用のワクチンが不足するのは問題です。

いや定期接種用に限らず、コロナ禍だからこそ必要性の高い、いまいちばん大事なワクチンのひとつですよ。

危機管理としては、政府が日頃から多めに輸入・備蓄して、今年のような異常事態に備えるべきでした。

インフルエンザワクチンでも同様です。コロナ禍における需要増加で品不足が懸念されています。

専用の受精鶏卵1個から、およそ1人分のワクチンしか製造できないので、急に供給を増やすことはできません。

今シーズンは多少増産したと国は言いますが、今の圧倒的な需要の高まりに対しては、まったく足りません。

そのような、先を見越すことができなかったことを棚に上げて、国は例によって小手先の規制を繰り出します。

厚労省は、例年11〜12月に接種することの多かった高齢者に、今年は10月中の接種を勧奨しています。

早く免疫を獲得させるためだとしていますが、本音は、11月以降にワクチンが不足したら困るからでしょう。

ワクチンが不足することはないと強弁するのなら、高齢者には11月の接種を推奨すればいいのです。

10月は、2回接種する子どもの1回目とか、過去に接種歴が無い方の接種を優先させるべき時期です。

64歳以下の者は10月26日まで待てと言いますけど、2回接種をする人が1回目を始めるには遅すぎます。

国の方針は、子どもを危険にさらします。なので申し訳ないですが当院では、その方針を遵守しておりません。