「コロナ禍」という言葉を、最近はよく目にし、耳にもします。当ブログでも4月から使っています。
「舌禍」とか「災禍」とか「ワクチン禍」などの言葉で使われる「禍」(か、わざわい)を用いた表現です。
この言葉についてNHKは慎重で、7/1付でNHK放送文化研究所のサイトに、次のように書いてありました。
・「書きことば」としては効果的でも、「話しことば」としては、あまりなじまない
・聞き取りにくく、聞き取れたとしても最近使われ始めた新語であるため意味が伝わりにくい
・番組タイトルやニュースのテロップでの使用はあるが、読み原稿やスタジオトークでは使わない
・今後、新語の「コロナ禍」が世の中でどのように使われていくのか見極める必要がある
ネット上では、「コロナ渦」という間違いをしばしば目にします。「禍」のところが「渦」になっています。
前述したNHKのサイトにも、「『コロナ鍋』『コロナ渦』という表記も時々目にする」とありました。
「こうした間違いによって新たな『災い (禍)』を引き起こさないようにご注意」と、斜め上からのご意見も。
ところが、です。7月31日放送の「ニュース9」で、目を疑うような、次の様なテロップが登場しました。
「コロナ渦で失われる仕事 求められる人材とは」
どうしたんですか、NHK。見事に「コロナ渦」じゃないですか。自ら災いを起こしてるじゃないですか。
その数分後、「○コロナ禍 ×コロナ渦」とのテロップを出して、和久田麻由子アナが深々と頭を下げました。
局内のチェック体制の問題よりも、テロップ製作者が「渦」という漢字を使った経緯、その方が気になります。
「渦」という漢字は、「うず」から変換しなければ、なかなか出てきません。うっかり変換ミスは考えにくい。
つまり「コロナ渦」は変換間違いではなく、それで正しいと信じてテロップにしたのだろうと推測します。
人々が巻き込まれている(渦中にある)という意味からすれば、「コロナ渦」もあながち見当違いじゃない。
「コロナ禍」も「コロナ渦」も、少しニュアンスの異なる、それぞれ正しい表現だと思うべきかもしれません。