「接触追跡アプリ」は、みんなでインストールしてこそ意味があります

iPhoneの最新OS「iOS 13.5」では、マスク着用のままでロック解除できるようになりました!

というニュースを目にして、もしや、マスクを透視して顔認証できるのかっ!と思ったら、違いました。

マスクの装着をiPhoneが検知して、すぐパスコード入力を求めるような仕組みになっただけでした。

今回のOS更新で、「新型コロナウイルス感染症の接触追跡アプリに対応するAPI」が導入されました。

「API」というのは、アプリを開発するためのインフラのようなものですね。

これはAppleとGoogleが先月発表した新技術で、多くの国が採用の意向を示していると報じられました。

コロナ追跡アプリに関しては、1カ国に1つのみ、公衆衛生当局が開発・運営することが想定されています。

日本でも、このAPIを使って開発されたアプリの運営が民間から厚労省に移り、近日公開されるとのこと。

Bluetooth機器同士が近付くと互いに通信する機能を利用して、その接触歴をスマホ内に記録するものです。

感染者がそれをアプリに登録すると、その接触者に通知が送られ、PCR検査を促すというわけです。

誰とどこで接触したかは分からないまま、感染者と濃厚接触の可能性があることだけが伝わる仕組みです。

近年とくにプライバシーを重んじているAppleと、その反対の傾向があるGoogleとの共同開発というのがミソ。

プライバシー保護が最優先の設計思想のため、追跡効率が必ずしも高くないという欠点があります。

とくに、自分の行動範囲内の多くの人がインストールしていなければ、あまり役に立たないアプリです。

ならばともかく、すぐにでもアプリを導入できる態勢にしようと、今日はiPhoneのiOSを13.5に更新しました。

設定を見ると「COVID-19接触のログ記録」という項目ができています。あとは厚労省のアプリ待ちですね。

ところで、アプリで濃厚接触の可能性の通知を受け取ったら、最優先でPCR検査を受けられるんでしょうかね。

まさか、いったん医療機関で診察を受けてください、なんてことにはならないですよね。そこんとこヨロシク。

「特別定額給付金」申請しましたが、もちろん郵送です

iPhoneを使うたびに、顔認証のためにいちいちマスクを外さなければならないのが煩わしい毎日です。

もちろんその際は、耳に掛けたヒモだけを触るのが正しい作法です。内側面の清潔維持には十分注意します。

テレビで見ていると、大阪府知事は正しい手順でやってますが、首相のアベノマスクの外し方はダメですね。

そのアベノマスクがなかなか届きませんが、あんな罰ゲームみたいなマスクを欲しいとは思いません。

手作りのオシャレな布マスクの方がよっぽど良いし、サージカルマスクの流通も改善しそうな雲行きです。

国民が期待しているのはもちろん、「特別定額給付金」10万円の方でしょう。

わが家にも今日ようやく申請書が届いたので、すごい瞬発力をもって、書類を完成させました。

マイナンバーカードを使った簡便迅速のはずのオンライン申請は、むしろトラブルと3密をもたらしています。

登録間違いを誘発しやすいシステム設計になっているようで、自治体職員はチェック作業に忙殺されています。

入力内容を印刷したり目視で確認したりと、手作業満載のアナログシステムに成り下がっているようです。

日本って、科学技術が進んでいる先進国だと思ってましたが、お役所仕事はとんだIT途上国なんですね。

マイナンバーと銀行口座を紐付けするようにしようなんて、自民党の方々が今頃になって「提言」しています。

以前誰が反対したか知りませんが、そういう仕組みこそ、最初から組み込んどかなきゃダメでしょうに。

有望なワクチンの登場こそが、新型コロナ終息の決め手かも

新型コロナウイルス感染は、一時的な「収束」と「第 n 波」を繰り返して、いつか「終息」するのでしょう。

自然感染かワクチンの接種によって、国民の6割が免疫を獲得することで集団免疫が確立すると考えられます。

でも国民の6割がコロナに罹るまで待つのはイヤですね。早くワクチンが開発されることを祈るばかりです。

米国モデルナ社が開発中のワクチンが、臨床試験(治験)の第一段階で有効性を確認されたと報じられました。

第一段階といえば、本来はワクチンの安全性を確認するものなので、ずいぶん前のめりな評価に驚きます。

被験者45人全員で、コロナ感染後に回復した人と同程度の抗体が獲得できたようで、なかなか有望です。

早ければ、米国内では来年1月に実用化されるとのこと。日本でも来年中には使えるかもしれません。

ちょっと前までは、ワクチンができるまでには1年半かかると言われていただけに、これは朗報です。

想定以上に「コロナ医学」が進歩するのは、世界中が危機的状況で火事場の馬鹿力が出ているのでしょう。

日本でワクチンが接種できるようになった場合、厚労省にはくれぐれもお願いしたいことがあります。

それは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-46.html" target="_blank" title="新型インフルエンザのとき">新型インフルエンザのとき</a>みたいな、妙な接種制限を作らないことです。あれは失策でしたからね。

お役人の机上の空論と柔軟性のなさが災いしてワクチンの接種が滞り、流行を食い止められませんでした。

今度はできれば最初のうちは「法定接種」にしていただきたい。原則として国民全員接種。もちろん無料。

日頃インフルエンザワクチンは打ってない人でも、コロナワクチンは接種しましょう。

自分の感染防御だけでなく、集団免疫を成立させるという重要な目的が、このワクチンにはあるからです。

収束に向かいそうなんだから、気持ちぐらい緩んだっていいでしょう

「気の緩み」が問題だと、大臣もメディアも盛んに言うのが気にくわない。気が緩んじゃいけませんか。

いま、政府や自治体は、店舗等の休業要請や市民の外出自粛を、まさに「緩和」しようとしています。

つまり、計画的に意識して「緩める」のはいいけど、無計画に自然と「緩む」のはダメだというわけです。

これは「気の緩みダメ=気を引き締めろ」という、日本人得意の「精神論」であって、具体性に欠けます。

感染者数が少し減ったからといって、まだ笑顔は早いと言ってるようなものですが、頬ぐらい緩みますよね。

厳しい行動自粛が緩和されれば、先行きに希望が持てます。気持ちぐらい緩んだっていいじゃないですか。

気持ちは緩んでも、やるべきコトはやれるのです。日本国民はすでに学んでますから、大丈夫。

大事なのは、いま現在その地域ではどこまでの営業や行動を自粛すべきか緩和すべきか、その見極めです。

自治体はつねに、最新の感染状況や病床の状態を把握し、臨機応変な対応を繰り出し続ける必要があります。

大規模な制限・自粛に至る前に細かい対処を行うことで、社会と経済も守るのが自治体の責任でしょう。

こういった点において、首長の想像力と行動力って、ホントに大事ですね。ここに地域差がとても大きい。

第2波を第1波より小さく出来るかどうかは、国と自治体の手腕にかかっています。

第 n 波の n が大きくなるほど、波高がだんだん低くなってさざ波になるような、そんな戦略がベストです。

ただしその「さざ波」は、もしかすると2,3年続くかもしれません。でもそれは誰もが覚悟してます。

さらにその後も、冬の乾燥時期になるたびに、インフルエンザのように流行を繰り返すかもしれません。

やがて毎年ワクチンを接種する「季節性コロナ」として根付き、人々はウイルスと共存するのでしょう。

早くも「第二波」を心配するのはいいとして、じゃあ何を準備しますか

新型コロナは新規感染者数がかなり減ってきました。3日前には39県を対象に緊急事態宣言が解除されました。

しかし海外には感染拡大中の国も多く、日本では早くも「第二波」を心配し始めています。

まあ何でも早めに警戒した方がよいので、「第一波」から得られた教訓を生かして取り組みましょう。

となると例えば、こんどこそPCR検査を徹底的に行うべきかどうか、などの議論が出てくるでしょうね。

これまで日本は、明らかな重症例や感染者の濃厚接触者に的を絞って、抑制的にPCR検査を行ってきました。

隔離すべき感染者数が激増して、医療業務や病床・隔離施設がパンクすることを危惧した面もあります。

結果的に、感染者数は見かけ上は諸外国よりも少なく、しかし死者数も少ないという不思議な現状があります。

そもそも、どんどん検査して感染者が次々に見つかったとしても、必ずしも医療が崩壊するとは限りません。

無症状・軽症感染者をきちんと隔離する仕組みさえ作れば、的確に管理できるはず。

なのに積極的な診断よりも、早期発見しすぎたら起きるかもしれない「副作用」ばかりを心配するのが日本。

これって、ワクチンの目的である感染症予防よりも、ワクチンの副作用を恐れる構図と同じじゃないですか。

高い医学水準を有しているのに、肝心なところで日本人の情緒が合理的解決を妨げているような気がします。

第二波の到来まで少しの猶予があるのなら、いまこそ検査と隔離の態勢を抜本的に構築すべきでしょう。

第一波と同じように流行して、第一波の時と同じような行動自粛を繰り返すようでは、進歩がないですよ。

書類のチェック項目の「はい・いいえ」に、いちいち丸を付ける無駄

予防接種の予診票は、「はい・いいえ」で答える項目がたくさん並んでいて、記入する保護者の方も大変です。

ワクチンを4つも5つも同時接種する乳児の場合には、同じような書類を何枚も書かなければなりません。

前から言ってるように、1枚の予診票で複数ワクチンに使えるような<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2100.html" target="_blank" title="同時接種用予診票">同時接種用予診票</a>を作っていただきたい。

「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」に申請すべく、いま書類を見ているところです。

その中の「支給要件確認申立書」もなかなか面倒な書類で、「はい・いいえ」で答える設問が並びます。

不正受給歴や暴力団との関係などの設問がずらっと並び、これらはすべて右側の「いいえ」に丸を付けます。

ただし、最後の3問は言うなればトラップで、この3つだけは左の「はい」を丸で囲まなければなりません。

上からずら〜っと「いいえ」を囲んでいき、最後の3問だけは「はい」に丸をするのが正解です。

どうしてお役所って、わかりきった設問にいちいち、ひとつひとつ丸をつけさせるのでしょう。

改訂版では、「いいえ」とすべき項目と「はい」で答える項目とに二分されましたが、まだ中途半端です。

確認項目を全部「正文」で箇条書きして、「上記すべてに該当しますか:はい・いいえ」、と問えばいいのに。

こういう形式的な申請書類に、余計な労力を使わせないでほしい。もっと国民に優しい書類にしましょうよ。

コロナがらみで、膨大な数の申請書がお役所に届くはずです。もっと簡便にしないと、事務作業も大変ですよ。

抗体検査はもっと精度を高めないと、誤った情報をもたらすかも

東京の献血者の血液で新型コロナウイルスの抗体検査を行ったところ、0.6%が陽性だったと厚労省が公表。

これを聞いてワイドショーの方々は、「やっぱりそれぐらいいる」だの「まだまだ少ない」だのと言ってます。

単純に東京都の人口に当てはめれば、感染者は約8万人ということになります。そこそこ納得できる数値です。

しかし残念ながら、たった500人という小規模の調査では、統計学的には何の意味も無い気がします。

500人のうち3人が陽性というわけですが、たった1人増えるかどうかで大違い。3人なんて誤差範囲です。

おまけに、昨年1〜3月の関東地方の血液で調べて、も500人中で2人が陽性だったというじゃないですか。

まだ武漢でも患者が発生していない時期の血液ですよ。この「偽陽性」の多さは何ですか。

こうなるともう、この検査キットで感染率を云々することは、無理なんじゃなかろうかと思えてきます。

厚労省は、1万人規模の抗体検査を計画中だと言いますが、同じ検査方法でやるのなら、やめた方がいい。

いま、PCR検査や抗原検査の「偽陰性」が問題になっていますが、「偽陽性」が多いのも大問題ですよ。

もしかすると抗体検査は、臨床現場で使うのではなく、疫学調査としての利用に限定すべきかもしれません。

となると、疫学調査なら結果は急がないので、迅速検査ではなくIgGを定量すれば良さそうなものです。

今後行われる1万人の抗体検査の結果、感染率はせいぜい、0.5%か1%か、せいぜい2%程度でしょう。

日本人のほとんどはコロナ未感染だと判明し、改めて長期戦を覚悟する、そういうデータになりそうですね。

緊急事態宣言、熊本はついに解除ですが、活動は徐々に広げましょう

緊急事態宣言は、熊本県を含む39県で解除されることになりました。これで少しは、動きやすくなりました。

ところで、新型コロナウイルスのPCR検査について、厚労省は先週「相談の目安」を緩和しました。

「37度5分以上の発熱が4日以上続く場合」という部分を削除して、相談しやすくしたわけです。

しかし申し訳ないですが、この件に関しての、次のような加藤厚労相の発言が炎上しています。

「(37.5度以上×4日以上が)相談や診療を受ける側の基準の様に思われてきた。われわれから見れば誤解だ」

どうしてこのような、不用意な、不適切な、デリカシーの無い、反発必至の発言が飛び出すのでしょうね。

誤解をしていたとすれば、それは官僚や大臣こそが、国民の受け止めを誤解していたと言うべきでしょう。

厚労省が「37度5分以上の発熱が4日以上続く場合」というから、みんなそれを守ってきたんですよ。

日本中が、医療者も患者もメディアも、この杓子定規な基準に縛られてきたのですよ。それをいまさら。

この文言に対しては、微熱が5日はどうなのか、高熱3日でもダメなのか、等の反発の声が上がっていました。

当院にも、微熱が何日も続いている方がよく来院されますが、相談センターに相談してもつれない返事でした。

結果的にこの文言は、PCR検査を抑制する「効果」があったわけで、その意味では目論見通りとも言えます。

つまり問題の本質は、検査を抑制しようという企んでいた厚労省の発想それ自体だということです。

ただし、この時期の検査抑制が最終的に吉と出たか凶と出たかを論じるには、まだ時期尚早かもしれません。

厚労省は、この件を含めてすべてのコロナ政策について、包み隠さず徹底的に科学的に検証を行うべきです。

新型コロナ抗原検査を導入するからには、十分な準備と覚悟を

新型コロナの「抗原検査キット」が、原則として有症状者に対して、医師の判断で使えるようになりました。

当院のような医療機関でも、インフルエンザの検査みたいに院内でサクッと迅速診断ができちゃうわけです。

と書くと、なんだかコロナも先が見えてきたように錯覚しますが、まったく違います。

(1)感度は低い

安易に検査して不用意に「陰性判定」を出すと、間違ったお墨付きを与えることになる可能性があります。

偽陰性の感染者を誤解させて野に放つことが、この検査法導入後の大きな問題になるかもしれません。

この手の検査は、インフルでも同様ですが、陰性判定には使えないのです。

(2)安易な受診が増える

その場ですぐ判定してもらえるとなれば、新型コロナを疑って医療機関を受診する患者は増えるでしょう。

検査目的の受診をどのようにコントロールするか、工夫が必要です。

PCR検査の要件が厳しすぎた経緯を踏まえると、抗原検査の検査条件を厳しくしすぎるわけにもいきませんが。

(3)厳しい感染防御が必要

これまではスルーしてきた可能性も否定できない新型コロナ感染者を、今後は捕捉しやすくなります。

ただし、クリニックの外来でいきなり「コロナ陽性」の判定が出てしまうことを想定した準備が必要です。

感染防御態勢を一層強めておかなければ、陽性判定後に大騒ぎになってしまいます。

(4)どっちみち治療薬待ち

診断を付けやすくなれば、感染者の管理もやりやすくなり、感染拡大を止めることにつながるでしょう。

しかし、有効な治療薬が開発されない限り、感染者の生命予後は変わりません。アビガンは効くのでしょうか。

インフルに対するタミフルのような薬が無いまま、診断だけバンバン付けていくというのも、いかがなものか。

ともかく、さまざまな準備と覚悟がなければ、抗原検査キットなど安易に導入できないということです。

とは言え、新型コロナ診療を大きく転換させ得る、画期的な検査手法だとも思います。やはり、導入でしょう。

熊本地域医療センターで起きた新型コロナ院内感染に思うこと

熊本地域医療センターは、5月7日から再開したばかりの外来・新規入院業務を、9日からまた休止しています。

4月11日の感染者の受診を契機とした新型コロナウイルスの院内感染が、まだ途絶えていなかったためです。

最初の患者Xに対応した外来看護師Aが17日に発症。その同僚の内視鏡室勤務の看護師Bが18日に発症。

さらに19日に臨床検査技師Cが発症し、その濃厚接触者の検査技師Dが5月3日に発症しました。

看護師Aは防護服を着けていたようなので、救急外来でXからの飛沫を浴びて感染したのではなさそうです。

技師Cと看護師A, Bとは直接接点はなく、また技師Dは十分な経過観察の後の勤務再開後に発症しました。

このような院内感染が出ている一方、患者Xの診療を行った他の多くのスタッフからは感染者が出ていません。

感染者からの飛沫感染は防御できても、拡散したウイルス付着物からの接触感染は防ぎ難いのかもしれません。

たまたま4月中旬に、地域医療センターの呼吸器内科の先生による診療マニュアルを読む機会がありました。

防護具の重装備はもちろん、患者に触れないために聴診すら行わないと、そこに記載されていました。

そこまでするのかと、少々驚きました。なにしろ私は今のところ、全患者の聴診ぐらいはしてますから。

そのような病院なのに院内感染者が出たのは、最初の患者Xの初診時の対応に原因があったかもしれません。

この方は当初、自分の発熱については伝えず、喘息であると自己診断して外来を受診したとされています。

自身が医師だからこその思い込みが、医療スタッフにイレギュラーな対応をさせた可能性も考えられます。

どんな医療行為でも同じで、大事なところでは例外を作らないこと。あと、人を見たらコロナと思え、ですね。