「BCGが新型コロナに効く」という情報がありますが、いま成人が接種して有効かどうかはわかりません。
日本では、BCGは0歳児の定期接種ワクチンです。当院でも毎月7〜10人の乳児に接種を行っています。
その接種方法は独特で、「管針法(かんしんほう)」という、いわゆる「ハンコ注射」をします。
管針というのは、9本の針が円筒形のプラスチック容器に植え込まれた、小さな「剣山」みたいな器具です。
ワクチン液を皮膚に塗布しておき、そこへ管針を押し当てると、刺さった針先でワクチンが微量接種されます。
上腕中央部に2カ所並べて接種するので計18個の針痕が並び、接種の1カ月後頃にもっとも赤く腫れます。
その後は徐々に白っぽく目立たなくなりますが、それでも一生残る瘢痕なので、接種時には気を遣います。
絶対にしてはならないのは、ワクチン液を普通の注射器で普通のワクチンのように皮下注射することです。
大量のワクチン液が体内に入るので、その反応はすさまじく、皮膚がひどくただれて悲惨なことになります。
最近、成人へ皮下接種した事例が報じられました。新型コロナ対策の目的で行ったと思われる、過誤接種です。
きっと醜い瘢痕が残ることでしょう。一生消えません。被接種者にも接種医にも、痛いことになりましたね。
日本でBCGを製造してるのは、「日本ビーシージー製造」1社だけです。
接種するのはおおむね、その年に生まれた赤ちゃんだけなので、製造数もその程度で計画されているはず。
ところが先月末の出荷数は通常の3倍に急増したそうで、怪しげな発注が多数含まれている可能性があります。
すでに東京や大阪では、欠品になっているという噂も聞きます。
当院の在庫定数は5本。約半月分の使用数です。熊本ではまだ発注できるようですが、今後どうなることやら。
基本的に乳児用のワクチンです。おかしな使い方をする医者が増えないよう、祈るばかりです。