不本意ながら、経過観察しかできないこともあるのです

ANAが、およそ8千人いる客室乗務員のうち約5千人を、一時的に休業させる方針を固めたと報じられました。

国際線の約60%、国内線の約10%で運休や減便を決めたので、労働者に対する措置も必要になったわけです。

風邪等での受診者が激減している現在、医療機関においても、雇用を守るための工夫が必要になっています。

学校の休校にともなって欠勤した従業員への賃金を補償する助成金制度は、当院でも利用する予定です。

ただ医療機関は、感染拡大防止のためにただ休んでおけば良い業種ではありません。

むしろ、感染症拡大を防ぐ役割を担うべく、ある意味では決死隊のような覚悟で仕事に臨む必要があります。

さいわい今のところ、新型コロナを強く疑う来院者はまだいませんが、嵐の前の静けさなのかもしれません。

実際に今日も、帰国者・接触者相談センターからの指示に従って、当院を受診した方がいました。

長く続く風邪症状で某病院を受診したら、診療を拒まれ、相談センターに連絡するように言われたとのこと。

そのセンターからの指示で当院を受診した方なので、まさかまたセンターに相談するわけにもいきません。

普通の風邪っぽかったので一般的な処方を行い、今後病状が悪化するなら明日他院へ行くよう指示しました。

患者さんには、医療機関A→相談センター→医療機関B(当院)→医療機関C?という、たらい回しになるのか?

医師が念のためと思っても、相談センターはそう簡単にはPCR検査のできる病院への紹介はしてくれません。

杓子定規に規定を遵守しているだけなのか、それとも検査のキャパがよほど少なく、温存しているのかも。

一般の医療機関の医師の判断だけでは、現時点ではPCR検査には回していただけないのが実情です。

やがて本格的な流行が始まったとき、一般の医師の裁量でPCR検査ができるようになるのか、ならないのか。

重症者と濃厚接触者に的を絞って検査と治療を行う日本のスタイルが、今後も続くのかもしれません。