風邪と新型コロナウイルス感染症の初期症状は、ほとんど区別がつきません。
いま、軽い風邪では安易に医療機関を受診しないようにと言われていますが、そう単純にはいかないものです。
たとえば、高熱が出たり咳がひどい方は、発症の1日目か2日目には来院されます。
とくに周囲にインフルエンザや溶連菌感染などが出ている場合、早期診断早期治療を求めるのは当然です。
鼻咽腔から検体を採取するインフルエンザの検査では常に、医師がインフルに感染するリスクがあります。
日頃私は、マスクだけの防御で検査を行いますが、それはインフルエンザには罹らない自信があるからです。
ところが患者が新型コロナウイルス感染者だったら、そうはいきません。私は濃厚接触者となってしまいます。
北海道の医師も、インフルエンザの検査を行った際に、新型コロナに感染したことがわかっています。
いま私は、マスクのほかにゴーグルも付けて診察を行っていますが、検査の際の防御策としてはまだ不十分。
手袋やヘアキャップに加えて長袖のガウンも必要なのですが、これがなかなか手に入らず、院内在庫はわずか。
そのような完全防御ができない医療機関では、今後はインフルエンザの検査自体も控えなければなりません。
なのでインフルエンザは病状と状況証拠で診断して、検査はしないままで治療薬を処方することになります。
それが本当にインフルなら良いのですが、抗インフルエンザ薬が効かなければ別の疾患を疑うことになります。
来週、血液1滴で15分で判定できる新型コロナウイルスの簡易検査キットが、発売されることになりました。
今回はまだ研究用ですが、このような迅速診断キットが、早く臨床用に使えるようになってほしいものです。
もちろん、「新型コロナではない」ことを知って安心するために安易に検査を行うべきではありません。
しかし、適切な治療を早めに開始するためには、やはり診断は早いほうが良いですね。