今後2週間のスポーツ・文化イベントの自粛が、どこまで有効なのか

「イベント等の開催について、現時点で全国一律の自粛要請を行うものではない」

昨日示された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、そのように説明がありました。

ところが今日になって突然、安倍首相が自ら、今後2週間のスポーツ・文化イベントの自粛を要請しました。

「この1,2週間が極めて重要だ」というのがその理由。いやいや、それなら昨日も言ってたでしょうに。

これはまことに違和感のある方針転換です。では昨夜いったい何があったかと言えば、IOC委員の発言ですね。

「3カ月たっても事態が収束していなければ東京五輪中止を検討するだろう」

この発言に対して当初、官房長官も五輪相も口をそろえて「IOCの公式見解ではない」とスルーの姿勢でした。

ところが実際には、とても衝撃的に受け止め、首相官邸は大騒ぎになったのだろうと推測します。

コトの重大さに気づき、慌てているのです。メディアや国民の意見は無視しても、「外圧」には弱いのです。

なんといっても東京五輪は、安倍首相の長期政権の有終の美を飾る、歴史に残るイベントですからね。

こんな疫病ごときで五輪を中止させてはなるものかと、動機は不純ですが、安倍首相がやる気を出したのです。

しかし残念ながら、その程度の自粛要請では、たぶん4月ごろには日本国内で大流行が起きてしまうでしょう。

それに、流行のピークをへたに遅らせてしまったら、むしろ五輪開催には逆効果になるかもしれませんよ。

それともまさか、政府の手ぬるい感染対策は、五輪前に流行をピークアウトさせてしまおうという戦略なのか。