もう、クルーズ船どころの騒ぎではなくなってきました。新型コロナウイルス感染症は、予想外の展開です。
(1)神奈川の80代の女性が死亡
中国ともクルーズ船とも接点なし。1月22日に発症し、2月1日に肺炎と診断され入院。状態悪化し本日死亡。
(2)都内の70代のタクシー運転手が感染
死亡した80代女性の義理の息子。1月29日発症。乗客からうつったのか、義母からうつったのかは不明。
(3)和歌山県内の50代の男性勤務医(外科医)が感染
1月31日発症。中国人との接触なし。発症してから3日間は通常勤務。同僚の医師らにも肺炎患者が出ている。
(4)千葉県内の20代の男性会社員が感染
2月2日発症。中国人や肺炎患者との接触なし。発熱後も3日間勤務していた。
いずれも、クルーズ船やチャーター機とは別ルートの、市中や病院外来等における感染と考えられます。
当初は新型コロナウイルス感染と想定されなかったため、医療機関では通常の診療を受けたと思われます。
感染経路も不明なら、その後に感染が拡大した可能性とその経路もまた、不明です。
クルーズ船での感染拡大を毎日ずっと心配してきましたが、もう、その心配も無意味かもしれません。
われわれ医療従事者は、現時点では、来院した患者さんの中国渡航歴に目を光らせて診療する日々です。
ですが、これほどまでに国内での二次・三次感染が広がれば、中国縛りはもう余計なバイアスとなります。
かといって、肺炎患者全員を隔離したりPCR検査するわけにもいきません。難しいフェーズに入って来ました。