ワクチン行政動く?

厚労省が昨日発表した文書に、ワクチン行政の方向性がまとめられていたので、少々けなしながらご紹介。

(1)HPVワクチン

「ワクチン接種後に生じた症状」に対しては、科学的解釈と心情的対応の両論併記ですか。変わってませんね。

積極勧奨再開の突破口になりそうな知見が出ているのに、どうしても心情面が気になって動けないようです。

(2)おたふくかぜワクチン

現行のMRワクチンに混合する形の「MMRワクチン」として、何年も前から検討ばかりが続いています。

どうしても安全性の方が問題になるようです。来年の通常国会には、法令改正案を提出するとかしないとか。

(3)帯状疱疹ワクチン

このワクチンはさすがに副作用を恐れる必要はありません。すでに小児に定期接種してますから。

厚労省の心配はコスパ。でも、ワクチンの有用性を必ず経済効果で評価する発想って、どうなの。

(4)不活化ポリオワクチン

1歳までの接種完了では免疫が長期維持できないため、5回目の接種が検討されていますが、議論が続きます。

そのあたりの対応の鈍さが、日本のワクチン後進国ぶりを露呈する典型例です。

予防接種に関する施策の基本的な方向として、厚労省は以前から次の2つを掲げています。

・ワクチンで防げる疾病は予防すること

・予防接種の効果とリスクについて、科学的根拠を基に比較衡量する

そして「衡量」した結果、ワクチンの効果よりもリスク回避の方を優先してきたのが日本のワクチン行政です。

ワクチンで防げるはずの子宮頸がんやムンプス難聴を見過ごしてきたツケは、決して小さくはありません。