ワクチン接種と流行期

インフルエンザは、熊本県・熊本市ともに、すでに注意報レベルの流行期に入っています。

例年だと<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1581.html" target="_blank" title="注意報">注意報</a>が出るのは1月か2月なので、今シーズンはかなり早い流行です。

もっとも、当院に限ればすでに警報レベルの患者数で、とくに小学高学年から中学生が多い印象です。

本日インフルと診断された子どもたちは、終業式までには登校できず、早くも長い冬休みに突入しています。

例年、10月から開始するワクチン接種とその後の流行が、ちょうど入り交じるのが12月です。

ただし今シーズンは早い流行が予測されたため、可能な限り早めの接種をオススメしてきました。

すでに今日までに1,349人に接種をしましたが、これは昨シーズンの全接種数よりも100人多い数値です。

まだまだ接種を続けたいのですが、接種から診療に重点を移すため、ネット予約はすでに先週終了しています。

もちろん、ワクチンの在庫がある限り、希望者への接種は続けます。

ネット予約枠は、10月中旬以降ずっと満杯でしたが、10月上旬はガラガラでした。その理由はおそらく、

・10月上旬にはまだ、インフルエンザの予防接種をしようという切迫感がない

・あまり早く接種をすると、春先まで予防効果が持続しないのではないかとい心配する

私のオススメの接種時期(2回接種の場合)は、こうです。

・1回目:流行が早くても間に合うように、10月上旬に。この時期なら予約も取りやすい

・2回目:そのシーズンの流行具合を考慮して、11月の上旬から下旬で調整。

ワクチンの効果持続期間を心配するよりもまず、流行に間に合うように接種するのが先決です。

国家予算102兆円

本日閣議決定した来年度予算案では、一般会計の総額が102兆円余りと、過去最大になりました。

例によって社会保障費の増大が問題となり、「社会保障費をいかに抑制するか」という論調で報じられます。

まず、その考え方が、おかしい。社会保障費の増大は「悪」ではありません。なんなら「善」です。

人々が豊かに、幸せに暮らせるために、必要な予算を積み上げていった結果として増えてきただけの話です。

心配無用。やがて日本の人口は減りますから、社会保障費も減ります。ただし、税収も減ります。

「社会保障費」の増大が問題となるとき、必ず目の敵にされるのが「医療費」です。

来年度の診療報酬は、全体で0.46%の引き下げが決まっています。

院外処方の当院では、「薬価部分」の引き下げは痛手にはなりません。

しかし、「本体部分」の引き上げ0.55%も、決して嬉しい数値ではありません。

過去に診療報酬がどれだけ引き下げられてきたか、その経緯を考えると、手放しでは喜べないのです。

医療費に限りませんが、あちこちの予算を厳しく締め付けている御仁が、麻生太郎副総理兼財務相です。

この方は、かつて某大病院を傘下に持つ民間企業の経営をしていたはずですが、病院には何かと厳しいですね。

いや、身内への利益誘導と疑われないよう、わざと医療界には厳しくしているのか。まさかね。

高齢者が増えているので、医療費が増えるのは至極当たり前の、言うなれば「自然増」です。

それでも医療費を抑制するのであれば医療費の単価を削るしかなく、結果として医療現場にしわ寄せが来ます。

このご時世に、勤務医には1,860時間の残業を認める特例は、国が医療者をないがしろにしている証拠です。

飛行機のエンジン発火

福岡発羽田行きのANA機が、エンジントラブルで引き返し、緊急着陸する重大インシデントがありました。

動画で見ると右のエンジンが火を噴いています。地上からも聞こえるほどの、大きな爆発音?がしたとのこと。

乗客、とくにそのエンジンが機窓から見える位置の座席にいた人は、生きた心地がしなかったでしょう。

機長はアナウンスで現状を説明し、右エンジンを停止して左エンジンだけで福岡空港に引き返すと告げました。

さらに「驚かせてしまって申し訳ございませんでした」と、乗客に謝罪しました。

「驚かせてしまった」という表現で事態を矮小化し、乗客を安心させようという機長の配慮を感じます。

たとえ命に関わるかもしれない航空機のトラブルでも、乗客にパニックを起こさせないことが乗員の務めです。

そのアナウンスが奏功したのか、乗客はみな落ち着いており、けが人もいなかったとのこと。

搭乗機の重大トラブルに遭遇したことはありませんが、20年以上前に「ゴーアラウンド」の経験があります。

記憶が曖昧ですが、中部国際空港(セントレア)ができる前の、「名古屋空港」だったと思います。

地上が真横に見えるような、まさに着陸する寸前になって、突然飛行機が推力を増して上昇に転じました。

何のアナウンスもなく、乗客のざわつきもなく、むしろ機内は気味の悪いほど静まりかえっていました。

私は恐怖を感じる以前に、何が起きたのかがわからず、遠ざかる地上を機窓から眺めていました。

飛行機は上空を旋回した後に、高度を下げて普通に着陸。乗客はみな、何食わぬ顔で降りていきました。

こういうのが「正常性バイアス」なのか。たぶん私の表情も、他人から見れば平然としていたのでしょう。

当時としては、沈黙を貫いて事を荒立てないのが、乗員の正しい対処法だったのかもしれません。

でも今のように、早め早めによく説明した上で、乗客を安心させる方が良いに決まっています。

記述式は白紙へ

来年度から新たに始まる「大学入学共通テスト」の国語と数学の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2957.html" target="_blank" title="記述式問題">記述式問題</a>は、ついに見送りとなりました。

だから何度も言ったでしょう。大人数が受検する一次試験に、記述式は無理だって(言ったっけ?)。

深い思考力や表現力は二次試験で評価すればいいのです。一次試験は客観評価に徹すればいいじゃないですか。

採点の迅速化と公平性のために、記述式問題の解答形式、たとえば文字数には、どうしても制限が付きます。

模範解答にどれだけ近い文章を書けるかが重要で、記述式とは名ばかりの、定型文解答が求められます。

このような問題は数年前からわかっていたのに、その懸念を無視して、文科省はここまで突き進んできました。

日経のコラムはこれを「空気の仕業」と書いていましたが、日本人はまさに「空気を読む」民族なのです。

完全に確定していたその流れが見事に覆ったのは、良くも悪しくも、萩生田文科相のおかげだと思います。

萩生田はまず、例の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2950.html" target="_blank" title="身の丈発言">身の丈発言</a>」によって入試制度改革の問題を提起し、世論を効果的に刺激しました。

次いで自身への批判をかわすかのように、英語の民間試験の導入延期を打ち出し、世間をあっと言わせました。

さらに記述式問題の採点については、ツッコミどころ満載の発言を次々に繰り出し、世論を醸成してきました。

そしてついに「ちゃぶ台返し」です。これが果たせたのは、首相の側近という実力者であればこそ。

受験生にはいい迷惑でしたが、記述式試験導入後に混乱するよりは、マシだったかもしれません。

後付けの安全装置

「自動ブレーキ」の搭載が、2年後から新型乗用車に対して義務化されることになりました。

昨年販売された国内新車の84.6%に、すでに自動ブレーキが取り付けられているそうで、これは意外です。

でも、新型車以外は対象外です。そこでいま、既存の車に後付けできる安全装置が、売り出されています。

たとえばトヨタ。「踏み間違い加速抑制システム(後付け)」のCMを、最近よく見かけますね。

今乗っているプリウスなどに、税込56,100円で取り付けられるようです(取付費用別)。

まだご覧になっていない方のために、そのCMの概略は、こうです。

「帰省したとき、父の運転が心配になった」という息子のナレーション。息子と孫を車に乗せる父(高齢者)。

シフトをドライブに入れた後、後部座席の孫の方を見ているうちに、クリーピングで車が動き出します。

「おお〜、前行ってない?」と息子が慌てて言うと、「あ、お、ごめんごめん」と父は慌ててブレーキ。

なんとか車は、駅舎にぶつからずに済みました。「明日にでも相談に行ってみる?」と笑顔の息子。

さて問題です。翌日相談に行ったのは、どこでしょう。

(1)トヨタのお店(後付けの安全装置を取り付ける相談)

(2)免許センター(免許返納のため)

(3)もの忘れ外来

うっかり車が動いてしまい、息子が注意喚起をしなければ、駅舎に衝突してしまった可能性の高い事例です。

ちょうど歩行者がいたら、ひいてしまったかもしれません。2,3人ひき殺した可能性だってあります。

現に、このような高齢者の不注意運転で、もう何人も犠牲者が出ています。

CMの高齢者は、さいわい子どもをひき殺すことはありませんでしたが、それは単にラッキーだっただけです。

そんな父親の恐ろしい運転を目の当たりにしたのに、翌日トヨタのお店に行った息子の神経がわかりません。

飲みかたの多か

「減量できてますか?」と尋ねると、「いやぁ飲みかたの多かですもんねぇ」という返答。

飲み会が多くてなかなか減量できないのですよ、という言い訳ですが、この時節、まあしょうがないです。

ここで「飲みかた」というのは、飲む方法や作法・流儀の意味ではありません。

熊本の方言で、飲み会(宴会)のことを「飲みかた」と言います。じゃあ、「かた」って何?

日本国語大辞典によれば、「動詞の連用形また動作性の漢語名詞に付いて、それをする意を表わす」とのこと。

これだけだとピンと来ませんが、用例「打ちかたやめ」を見て、少し腑に落ちました。

とは言え、「打ちかた」と「飲みかた」の「かた」がまったく同じ意味には思えません。

「打ちかたやめ」とは射撃をやめさせる際の号令です。つまり「打ちかた」には現在進行形の意味があります。

「飲みかたやめ」と言った場合は、早飲み大会の制限時間が来たときの号令のようなニュアンスがあります。

つまりこの場合の「飲みかた」は、飲むことの進行形を現しており、宴会という意味ではなさそうです。

一方で、今日のテーマの「飲みかた」は、宴会の意味ですから、また別の「かた」があるのでしょう。

いろいろ調べても、しっくりくる答がみつからないので、「飲みかた」の言語学的(?)分析は終了。

それにしても、飲みかた(飲み会)を「外飲み」の意味で言うのであれば、私はそれが極端に減っています。

旅行中を除けば、外のみするのは年に数回以下です。勤務医時代だったら、この時期は大変でしたけどね。

過充電防止策

iPhoneのバッテリー保護のために、最新の iOS には「最適化されたバッテリー充電」機能が備わっています。

フル充電の状態が続くと劣化する「リチウムイオン電池」の、欠点を補うための仕組みです。

昔使っていた「ニッケル水素電池」は、なるべく使い切ってからフル充電することが推奨されていました。

ところがリチウムイオン電池では、フル充電を避けてこまめに「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-758.html" target="_blank" title="継ぎ足し充電">継ぎ足し充電</a>」するのが正解なのです。

しかし、寝る前に充電を開始すれば、夜中のうちにフル充電になってしまいます。どうすりゃいいの。

と思ってきましたが、「iOS 13」に追加された新機能によって、充電が「最適化」されるようになりました。

「最適化されたバッテリー充電」機能の概略は、

(1)ユーザーがiPhoneを使い始める直前までは、80%以上の充電をしない(=充電を保留する)

(2)ユーザーがiPhoneを使い始める直前になって、100%になるまで充電する

(3)ユーザーが毎日何時頃にiPhoneを使い始めるか(=何時頃に起床するか)は、iPhoneが学習する

買ったばかりのiPhone 11 Proを、昨夜初めて充電しながら寝たら、今朝起床時の充電状態は94%でした。

当然ですが、まだ学習が足りないようです。

精度の高い「最適化」充電のためには、毎朝同じ時刻に起床しなければなりません。

仕事の日なら良いのですが、休日に寝坊すると、その分、フル充電の状態が長く続くことになります。

この事態を避けるためには、なるべく朝寝坊をせず、毎日規則正しい生活を送る必要があります。

幸か不幸か、最近は寝坊できない(=早朝から目が覚める)体になってしまいました。年齢のせいでしょうね。

iPhone 11 Pro購入

「iPhone 11 Pro」を、遅ればせながら購入しました。もちろん新色「ミッドナイトグリーン」です。

この機種についての詳細は、少し使い込んでから書くとして、今日は機種変更に際しての覚え書きを。

じつはApple StoreでiPhoneを購入したのは、もしかすると今回が初めてかもしれません。

これまでは、電器店に並ぶか、ソフトバンクの店舗かオンラインショップで買ってきました。

いわゆる「2年しばり」を無視して、毎年機種変更してきたので、ショップでの手続きが必要だったからです。

ところが最近この2年しばりが廃止されたので、もはやソフトバンクショップに行く必要がなくなりました。

ならばApple Storeで買ってしまえと、Appleのサイトでポチッとしたら、それが昨夜届いたのです。

で、機種変更(<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2229.html" target="_blank" title="iPhone X">iPhone X</a> → iPhone 11 Pro)に際しての手続きです。次のようにすれば、完璧です。

(1)よく使うMacのiTumesをアップデートして最新版にしておく(以下の操作では、このMacを使う)

(2)旧iPhoneを最新OSにアップデートしておく

(3)旧iPhoneをMacにバックアップする

(4)SIMカードを、iPhone X → iPhone 11 Proに入れ替える

(5)新iPhoneに、Macからデータを復元する

この手順で良かったのに、今夜はうかつにもソフトバンクショップに行ってしまい、時間をムダにしました。

ついでに料金プランの見直しもしておこうかと、欲を出したのが間違いでした。

ショップの方が親切に、iPhoneの復元作業までしてくれたのですが、これがまったく中途半端なのでした。

店舗でも可能なiCloudを使った復元では、完全には元通りに戻らないことに気づくべきでした。

結局、帰宅後にMacで復元作業をやり直す羽目になりました。もちろん完全に元のiPhone環境に戻りました。

自分でやり遂げる自信のある作業を、あえて他人に任せても、なにも良いことはないのです。

しかけ絵本

孫へのクリスマスプレゼントの絵本を買いに、今日は近くの書店に行きました。

いまどき書籍を買うのはたいていAmazonですが、大切な本はどうしても実店舗に行きたくなりますね。

店で手にとって、孫の顔を思い浮かべつつ、ページをめくって吟味するのもまた、楽しいですから。

とくに絵本の場合は、文字の大きさや装丁やサイズ感も大事です。これはAmazonではピンときません。

店舗で下見してからAmazonで買う手もありますが、今回はプレゼントですから、ケチ臭いことはしません。

と言うわけで今日は、歳末セールで大いに賑わうゆめタウンの中の、紀伊國屋書店に出かけてきました。

ちなみに紀伊國屋書店といえば全国有数の大型書店ですが、資本金が5千万円以下なのでポイント還元は5%。

オカシな話です。ま、いいけど。

店舗に行って良かったと思いました。絵本の多くが「しかけ絵本」だったからです。

こればっかりは、Amazonではわかりにくいですよね。

「しかけ」というのは、昔からあるような、立体的な「飛び出す絵本」ではありません。

隠れているのだれかな?的な、どこかを動かしたり、何かをめくると答がわかるような構造です。

よくできた絵本が、たくさんあります。しかけも楽しそうです。たぶん、作ってる人も楽しいはず。

でもいちばん楽しいのは、読み聞かせる瞬間でしょうね。これは親の特権なので、祖父母は後方支援です。

消極的勧奨の推進?

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、国が動かないかわりに、自治体レベルで動きが起きています。

「定期接種の対応について、市町村長は、接種の積極的な勧奨とならないように留意すること」

厚労省は6年半前に、このような「積極的勧奨接種差し控え」の勧告を、各都道府県知事に出しました。

「定期接種としては継続するけど積極的には接種を勧めるなよ」という、実に不可解なものです。

日本中の自治体がこの勧告にビビって盲従し、対象学年に達した子らへの接種勧奨通知を中断しています。

おかげで対象者や保護者は、このワクチンの定期接種がもはや中止になったのかと、勘違いしています。

そうではありません。HPVワクチンは今でも定期接種です。世界中で接種されている重要なワクチンです。

日本で毎年1万人が罹患し3千人が死亡している子宮頸がんを予防するための、とても大事なワクチンです。

科学的(医学的)に考えたら、積極的勧奨接種の差し控えは愚の骨頂。でも国は動かない、いや動けない。

メディアや市民団体等におされて決定した措置とはいえ、その決定を覆すためには何か理由が必要なのです。

さいわい、積極的勧奨はしないということですから、裏を返せば、消極的勧奨は可能だという解釈ができます

この「盲点」を突いて、やんわりと勧奨を始める自治体が、最近になって次々に出てきました。

「あなたは定期接種の対象年齢ですよ」と連絡する程度の「情報提供」を、対象者に送付するようです。

「あなたは定期接種の対象年齢ですけど、それ以上は何も申しません」という、ギリギリのニュアンスです。

「あとはあなたが決めてください。定期接種の対象なので、いま接種すれば無料ですけどね」的に。

消極的勧奨を積極的に推進する自治体の動きを国が黙認するという、妙な形ができるのでしょうか。

ホンネと建て前を使い分けた、実に日本的な問題解決法とも言えますが、理想にはほど遠いものです。

まあ、どんなやり方であれ、このワクチンの接種が市民に周知されて接種率が回復すればいいわけですけどね。