国家予算102兆円

本日閣議決定した来年度予算案では、一般会計の総額が102兆円余りと、過去最大になりました。

例によって社会保障費の増大が問題となり、「社会保障費をいかに抑制するか」という論調で報じられます。

まず、その考え方が、おかしい。社会保障費の増大は「悪」ではありません。なんなら「善」です。

人々が豊かに、幸せに暮らせるために、必要な予算を積み上げていった結果として増えてきただけの話です。

心配無用。やがて日本の人口は減りますから、社会保障費も減ります。ただし、税収も減ります。

「社会保障費」の増大が問題となるとき、必ず目の敵にされるのが「医療費」です。

来年度の診療報酬は、全体で0.46%の引き下げが決まっています。

院外処方の当院では、「薬価部分」の引き下げは痛手にはなりません。

しかし、「本体部分」の引き上げ0.55%も、決して嬉しい数値ではありません。

過去に診療報酬がどれだけ引き下げられてきたか、その経緯を考えると、手放しでは喜べないのです。

医療費に限りませんが、あちこちの予算を厳しく締め付けている御仁が、麻生太郎副総理兼財務相です。

この方は、かつて某大病院を傘下に持つ民間企業の経営をしていたはずですが、病院には何かと厳しいですね。

いや、身内への利益誘導と疑われないよう、わざと医療界には厳しくしているのか。まさかね。

高齢者が増えているので、医療費が増えるのは至極当たり前の、言うなれば「自然増」です。

それでも医療費を抑制するのであれば医療費の単価を削るしかなく、結果として医療現場にしわ寄せが来ます。

このご時世に、勤務医には1,860時間の残業を認める特例は、国が医療者をないがしろにしている証拠です。