飛行機のエンジン発火

福岡発羽田行きのANA機が、エンジントラブルで引き返し、緊急着陸する重大インシデントがありました。

動画で見ると右のエンジンが火を噴いています。地上からも聞こえるほどの、大きな爆発音?がしたとのこと。

乗客、とくにそのエンジンが機窓から見える位置の座席にいた人は、生きた心地がしなかったでしょう。

機長はアナウンスで現状を説明し、右エンジンを停止して左エンジンだけで福岡空港に引き返すと告げました。

さらに「驚かせてしまって申し訳ございませんでした」と、乗客に謝罪しました。

「驚かせてしまった」という表現で事態を矮小化し、乗客を安心させようという機長の配慮を感じます。

たとえ命に関わるかもしれない航空機のトラブルでも、乗客にパニックを起こさせないことが乗員の務めです。

そのアナウンスが奏功したのか、乗客はみな落ち着いており、けが人もいなかったとのこと。

搭乗機の重大トラブルに遭遇したことはありませんが、20年以上前に「ゴーアラウンド」の経験があります。

記憶が曖昧ですが、中部国際空港(セントレア)ができる前の、「名古屋空港」だったと思います。

地上が真横に見えるような、まさに着陸する寸前になって、突然飛行機が推力を増して上昇に転じました。

何のアナウンスもなく、乗客のざわつきもなく、むしろ機内は気味の悪いほど静まりかえっていました。

私は恐怖を感じる以前に、何が起きたのかがわからず、遠ざかる地上を機窓から眺めていました。

飛行機は上空を旋回した後に、高度を下げて普通に着陸。乗客はみな、何食わぬ顔で降りていきました。

こういうのが「正常性バイアス」なのか。たぶん私の表情も、他人から見れば平然としていたのでしょう。

当時としては、沈黙を貫いて事を荒立てないのが、乗員の正しい対処法だったのかもしれません。

でも今のように、早め早めによく説明した上で、乗客を安心させる方が良いに決まっています。