「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)」の定期接種対象学年は、小学6年から高校1年までです。
「まだ接種してるのですか?」とか「任意接種ですよね?」という、やや認識不足な質問を時々受けます。
なにしろ国が積極的勧奨を中断しており、したがって公的には誰も推奨していないワクチンですからね。
インフルエンザワクチンの接種にやってきた小6から高1の女の子(の保護者)には、必ず勧めています。
「毎年1万人の女性が罹患し、そのうち3千人が亡くなっている病気を防ぐために、有効なワクチンです」と。
「いまでも定期接種ワクチンです。無料で接種できます。任意接種したら5万円かかりますよ」とも。
任意接種料金は余計かもしれませんが、しかし5万円という金額はかなり大きく、インパクトはあります。
啓蒙活動が奏功したのか、最近になってHPVワクチンの接種希望者がチラホラ現れています。
もっとも切迫している接種対象者は、高校1年生(相当)のお子さんです。
このワクチンは3回接種するのですが、最短の間隔で接種しても、全部で4カ月ほどかかります。
したがって高1の場合、定期接種を完了するためには今月(11月)中に接種を始める必要があります。
もうあと1週間しかありません。事態は極めて切迫しているのです。今すぐにでも接種を開始しましょう。
後になって、接種を逃した対象者を救済する措置(特例接種の設定)が講じられるかもしれません。
同様の特例接種は、かつて積極的勧奨接種を中断したことのある日本脳炎ワクチンで、いまも行われています。
しかしHPVワクチンは、接種年齢に「旬」があり、あとで特例接種しても間に合わない可能性があります。
それがわかっているはずの厚労省は、勧奨接種を中断したことの責任を、どのようにとるつもりなでしょう。