来年から始まる大学入学共通テストへの英語の民間試験の導入が、突然、延期されることになりました。
この試験は検定料が高く、また試験会場が少ない地方に不利だという問題が、以前からわかっていました。
難易度の異なる試験を合否判定に使うことも難しく、民間に丸投げする文科省の姿勢も批判されていました。
それだけの問題がありながらも導入は決定事項だったのに、萩生田文科相の「鶴の一声」で覆りました。
なんのことはない、大臣が「身の丈発言」への批判をかわすために、苦し紛れの行動に出ただけの話でしょう。
まさに遅きに失した方針転換ですが、これはちょうど、東京五輪のマラソン・競歩の開催地変更と似てますね。
猛暑の中のマラソンを避けるための札幌開催は、医学的には「アスリートファースト」だと思います。
しかし、前からわかっていた猛暑問題を黙殺してここまで突き進んできながら、いまさらひっくり返しますか。
おかげで関係者やアスリートさえも困惑しています。開催地の変更がもっと早ければ良かったのでしょうね。
英語の民間試験の導入延期も、その決断が遅いから騒動になっていますが、もっと早ければ良かったのです。
決定事項を変更できない官僚に、それは不可能。混乱は招きましたが、萩生田氏の決断はヨシとしましょう。
受験生や関係者の批判には耳を貸さなかった文科省の方針が、新参者の大臣の失言で覆されるとは皮肉です。
「受験生の皆様にお勧めできるシステムになっていない」という、萩生田文科相のいまさらな正論が笑えます。
「身の丈発言」が批判されたら真逆の「受験生ファースト」を言い出す萩生田氏って、どんだけ二枚舌なの。