そろそろインフル季節?

インフルエンザが、そろそろ流行期にさしかかろうとしています。

すでに8月にはチラホラ出始めたのですが、よく考えたら、5月頃にもインフルエンザ患者はいました。

5月は前シーズンの名残り、8月は今シーズンの走り、なんて区別することに意味はないのかもしれません。

日本が猛暑にあえいでいる頃、真冬の南半球ではインフルエンザが大流行していました。

地球規模で考えたら、インフルエンザには特定の流行期などないのです。

「今年は流行が早そうですね」などとよく聞きますが、それは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2551.html" target="_blank" title="昨年も">昨年も</a>聞きました。しかも9月に。

「今年は暑いですね」と言うのと同じで、今回は特別だと思いたがる、一種のバイアスかもしれません。

昨シーズン、新しいインフルエンザ治療薬「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2576.html" target="_blank" title="ゾフルーザ">ゾフルーザ</a>」が華々しく登場しました。

しかし前評判が高かった割に、その<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2732.html" target="_blank" title="耐性が問題">耐性が問題</a>となってシーズン後半は尻すぼみでした。

日本感染症学会は今月、12歳未満の小児へのゾフルーザ投与は慎重にすべきだとする見解を発表しました。

このような考え方が主流になりつつある今期、当院としてもゾフルーザの処方はかなり限定的になりそうです。

一方で塩野義製薬は、ゾフルーザをインフルエンザの予防に使えるように、効能効果の追加申請を行いました。

医学的には有益なのかもしれませんが、耐性問題に揺れているの最中のそのような動きには疑問を感じます。

そういえば8月にインフルエンザと診断した患者さんから、「こんな真夏にも罹るんですか」と尋ねられて、

「南半球はいま2月ですよ」と言ってしまいましたが、その場では、2人とも間違いに気づきませんでした。

デクラークのクルクル

ラグビー・ワールドカップの準々決勝、残念ながら日本は南アフリカに敗れましたが、よく健闘しました。

前半見てるときは、後半で逆転しそうな気さえしてましたが、さすがに南アフリカは強かった。

敗れたというのに、ゲーム後の日本選手たちの表情がいい。もしかして勝ったのかと思うぐらいの笑顔でした。

こうなったら南アフリカには優勝してもらいたいと、素直に応援できるような、後味の良い試合でした。

大事な場面で、よく無意識にボールペンをクルクル回す人がいますが、私はそのクセは好きじゃありません。

でも、スクラムハーフのデクラークがスクラムの前でボールを指でクルクル回す仕草は、なぜか許せます。

たぶんそれは、彼なりのルーティンなのでしょう。それに、そのあとのキックが絶妙すぎますから。

ラグビーには、ハンドとかオフサイドとか、サッカーと同じ名の反則もありますが、内容はだいぶ違いますね。

概して、説明調の長い名前の反則が多く、そこはちょっとイケてないと感じるところ。

何か、気の利いた1語に置き換えるわけにはいきませんかね。

どのようなスポーツでも、大きな国際大会が日本で開催され、しかも日本代表が強いと、ファンが増えます。

私も典型的な「にわかファン」です。日本は敗れましたが、決勝戦までの残り4試合がとても楽しみです。

ただ、そのキックオフが18時とか17時なのがちょっと痛い。土日は診療時間と少しかぶるんですよね。

なので当日は、試合の放送を予約録画しておいて、帰宅後に時間差観戦する、という作戦で臨む予定です。

うっかりネット上の速報を見てしまわないように、観戦終了までは、MacもiPhoneも見ません。

ハワイアンな広告

ハワイアン航空の、福岡–ホノルル直行便が来月就航するというテレビCMを、最近ときどき目にします。

ネット広告では以前から、おもにFaceookの画面で、この広告をたびたび見てきました。

いつもは一瞥をくれるぐらいで済ませていたのですが、今日はつい、クリックしてみました。

ふんふん。とハワイアン航空のサイトをしばらく眺め、その場はそれで終了。

ところがです。その直後から異変が起きました。

新聞社のサイトを見ても、ヤフーで天気予報を見ても、どこを見ても出てくるんですね、ハワイアンが。

ネット広告システムのすごさを感じるというよりも、気味が悪い。

診察室で患者さんに、ある医療系記事を見せようとしたら、そのMacの画面にもハワイアン。しかも楽しげ。

こんなタイミングでその広告出す? TPOっちゅうものを考えてくださいよ。

似たような経験は、これまでに何度も経験してきました。

大事な場面で菅乃屋の馬刺し広告が出てきたり、ウェーバーのBBQコンロが出てきたりしました。

これを見られたら、「あ、この人はこんなことに興味があるのか」と、趣味嗜好がすぐバレてしまいます。

無料検索というネットツールには、個人情報の提供だけでなく、それを開示させられるリスクもあるんですね。

これからはもう人前では、うかつにブラウザを開けなくなってしまいました。

まあそれ以前に、あとで見られて恥ずかしい事柄では検索しないことですね。

口は災いの元

小学校で、激辛カレーを無理矢理食べさせるという事件が起きました。

この問題を受けて、責任者である校長が保護者説明会で述べたひと言が、たまりません。

「給食のカレーやめます」

いやいやソコですか、反省点は。まさかウケ狙いですか。大炎上を覚悟した上での、一世一代のボケですか。

NHKの「LIFE! 人生に捧げるコント」で、ウッチャン扮する校長先生が言いそうなセリフです。

東京五輪のマラソンの猛暑対策として、IOCが突然、札幌開催を提案してきました。

これを青天の霹靂だと批判する小池百合子・都知事は、「それなら北方領土でやれば」と発言。

これは単なるブチギレですね。面白味も何もない。残念ながら、後々まで残ってしまうレベルの失言です。

おまけにその発言を、失言では右に出る者のいない森喜朗・元総理に笑われる始末。

つくづく思いますが、悔し紛れ・苦し紛れの失言をするほどなら、沈黙を守った方がよほどマシですね。

失言映像は何度も何度も放送されて叩かれ、おまけにネットでは永久に笑いものになります。

「口は災いの元」ということわざは、昔とは比較にならないほど、現代ではとても重要な教えですね。

未曾有の災害

台風19号がもたらした災害を「未曾有」だというなら、その言葉の意味を考え直す必要がありそうです。

「未(いま)だ曽(かつ)て有らず」=「今までに一度も無かったこと」というのは、あくまで狭義。

実際には、「滅多に起きない」とか「自分では経験したことがない」ぐらいの意味でしかありません。

台風被害について、「まずまずに収まった」と二階・自民党幹事長が発言したことが、激しく非難されました。

被害者への配慮のなさや無神経な態度は責められるべきですが、その発言内容自体は誤りではありません。

例えば千曲川の氾濫は、ハザードマップに示されていた洪水範囲よりも狭く、まったく想定内の被害でした。

そのマップも、改訂版が2カ月前に、浸水想定エリアの全戸に配布されており、準備万端の状態でした。

要は、専門家や自治体等が想定する被害を、住民がどれほど現実的に捉えるか、という点につきます。

きちんと科学的に検討されていても、受け取る側が想定をないがしろにしたのでは、意味がありません。

今回の台風19号の規模や風雨被害は、1000年に1度のレベルなどといわれました。

しかし1000年に1度というのは、1000年間隔で起きるという意味ではありません。

毎年1000分の1の確率で、そのような大災害が起きるということであり、今年も来年も確率は同じです。

確率でいうなら、今後30年以内に70%の確率で起きるとされている、未曾有の天災がありますね。

これは政府の地震調査委員会による「首都直下地震」の発生確率ですが、とんでもない大きな数値です。

ところが不思議なことに、住民が大挙して東京から逃げ出すような気配がありません。

日本人は、自分で想定した結果が不本意なら軽視して、算出した確率を客観視できないようです。

ブルーシートで囲う

台風災害で屋根をブルーシートで覆った家々のニュース映像を見ると、熊本地震を思い出して胸が痛みます。

あの地震の直後に降った大雨で<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1680.html" target="_blank" title="天井が落ちて">天井が落ちて</a>、それが原因で住めなくなってしまったという人がいました。

屋根を覆う以外に、災害や事故現場で犠牲者の姿を隠すために、ブルーシートはよく使われます。

警察や消防関係者らが数名がかりで、四方をブルーシートで囲いながら移動するあのシーンです。

犠牲者の姿を公に晒さないように、とりわけ、撮影をされないようにするためでしょう。

撮影された映像が何度も何度も報道番組で使われでもしたら、犠牲者の遺族もやりきれませんからね。

法律的にはどうなんでしょう。事故・事件の犠牲者の撮影や放送を禁止する規定はあるのでしょうか。

それが明文化されていないのであれば、これはモラルの問題ということになります。

おそらく、かつてマスコミの犠牲者撮影が問題となり、シートで隠すようになった経緯があるのでしょう。

ケータイが普及して、一般人もカメラを持ち歩くので油断なりませんが、元々の原因は報道機関にあるはず。

電車の人身事故現場で、シートの中を映そうとした一般人のことが、最近問題になりました。

しかしこのことをメディアがモラルの問題だと偉そうに論じることには、違和感があります。

もしも事件・事故現場で、犠牲者をシートで隠さなかったら、メディアは撮影を自粛するでしょうか。

仮にメディアが自主規制したとしても、一般人が撮影してすぐネットに上げるでしょうけどね。嫌な時代です。

そういえば私が機上で行った<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2278.html" target="_blank" title="心肺蘇生">心肺蘇生</a>シーン。誰かが撮影していましたが、アレどうなったんでしょうかね。

予約のない来院者

寒くなってくると、インフルエンザや風邪などの感染症が流行して、熱の高い方が朝から大勢来院されます。

当院の診療は予約制なので、診察は原則としてネットや電話で受け付けた予約の順番です。

ただし、病状の重い方は、予約の有無やその順番にかかわらず、早めに診察するように配慮しています。

しかし、すべての患者さんを重症順に診療していたら、軽症の方はいつまでたっても順番が回ってきません。

なので、病状と待ち時間の両方を勘案して、診察順を決めなければなりません。

高熱が出たと、予約なしで朝いちばんに来院してすぐに診察を希望する方が、この時期には結構多いです。

一方で、そこそこ病状の重いお子さんでも、ネット予約を入れた方は予約時間まで待ってから来院されます。

予約なしで直接来た方は、比較的軽症でも、あまりお待たせせずに診察せざるを得ません。

しかしそのような予約外の方を多く受け入れると、その分、予約患者の診察がどんどん遅れてしまいます。

真面目に予約した方が損をしないように配慮したいのですが、なかなか思った通りにはいきません。

「予約の無い方は一切受け付けません」などという強硬な対応ができるはずもありません。

しいて言うなら「予約の無い軽症の方は受け付けません」でしょうけど、それも判断が難しいし角が立ちます。

結局、現実には、予約外で軽症の方はそこそこお待たせしてから診察する、というスタンスで対応しています。

「予約が無い場合はお待ちいただきますよ」ということを、わかっていただくための、苦しい運用です。

悲しすぎる救助ミス

多くの犠牲者が出た台風19号ですが、もっとも悲しいのは、救助ヘリからの落下死亡事故でしょうか。

病人でもけが人でもない健常な77歳の女性が、やれやれ助かったと思いきや、命を落としてしまいました。

最初にこのニュースを聞いたとき、突風やその他の突発的な原因による転落を想像しました。

しかし東京消防庁の会見で、救助手順の「単純ミス」が原因であることがわかりました。

救助隊員が、自分と被救助者の両方に固定すべきフックが、隊員の方にしか固定されていなかったとか。

何かバタバタしていて、フックの装着を忘れたのかといえば、それも少し違うようです。

どうやらそのフックは、第3者(別の隊員)が装着したようですね。つまりこういうことだと思います。

隊員Aは、自分と女性Bにフックを装着すべきところ、別の隊員Cが手伝ってくれたので彼に任せた。

ところが隊員Cは、Aのフックだけ取り付け、Bには着けなかった。

それなのに隊員Aは、隊員Cが、AとBの両方にフックが取り付けてくれたと思い込んでしまった。

根本的な問題は、Aが手順通りの操作を行わなかった事に尽きます。

そしてその誘因は、Cがイレギュラーな介入を行ってAのルーティンを乱したことです。

現場での臨機応変な対処だったとはいえ、通常の手順を逸脱する場合には、極めて厳格な確認が必要です。

似たようなことは、医療現場でも別の業種のあらゆる現場でも、起こり得ます。

重要な作業を他人に任せる際には、双方に油断や思い込みがないか、細心の注意を払わなければなりません。

私がいつも、ダブルチェックはリスキーだと言ってるのは、そういう側面があるからです。

本当に重要な局面では、自分がすべき手順は自分の責任で全うすること。そのことに尽きますね。

人命救助のような緊急事態でも、基本的なことをおろそかにしてはならないという教訓のような出来事でした。

ラグビーが面白い

ラグビー・ワールドカップの日本対スコットランド戦は、日本が見事に勝ちました。良い試合でした。

台風19号の影響も心配される状況でしたが、試合が開催されてホントによかった。

試合中止で決勝トーナメントに進出するのと、勝って進出するのとでは、大違いです。

それにしてもラグビーって、サッカーとも野球とも違う、見ててすっごく力が入るゲームですね。

多分それは、格闘技だからでしょう。緊張と興奮が波状的に持続するので、まったく気が休まりません。

日本代表メンバーの顔ぶれは、とても国際色豊かですね。

調べてみると、日本人の次に多いのがトンガとニュージーランド出身者で、5人ずついます。

そのほか、南アフリカやオーストラリアなど。地球外からも1人(プレデター)。

近年、試合の放送やそれに伴う解説を目にすることが増え、日本人のラグビーへの理解が深まってきました。

私も元々はラグビーには疎かったのですが、いまでは見れば見るほど面白いスポーツだと感じています。

今回のラグビー・ワールドカップの日本誘致に、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1388.html" target="_blank" title="森喜朗元総理">森喜朗元総理</a>が尽力したことは、否定はしません。

失言の多かったタヌキ親父ですが、今日のゲームを見ていると、なかなか良いことしたなと思ってしまいます。

2011年の開催招致に敗れたとき、森氏はラグビー界の閉鎖性を批判して、次のように語ったといいます。

「あなたたちはいつまで仲間うちでパスを回していれば気が済むのか」

森氏にしては、まともな事を言ってますが、裏を返せば、仲間に入れて欲しいことの現れかもしれません。

でもラグビー界の歴史がどうであれ、ともかく日本が強くなりゃいいのです。きっと発言力も増すはずです。

ダムの緊急放流

台風19号のニュースを見ながらこれを書いていますが、あちこちで河川が氾濫し始めていますね。

そこへ追い打ちを掛けるように、各地のダムの「緊急放流」が次々に始まっています。

これは、河川の氾濫を防ぐために放流量を調節するというダムの基本的な機能が、破綻した状態です。

昨年の西日本豪雨では、愛媛県のダムの緊急放流によって下流が氾濫し、8人の住民が犠牲になりました。

緊急放流という、いかにも人為的な操作によって流域の人命を失ってしまったのは、なんとも辛いことです。

しかしそのように思えてしまうのは、「緊急放流」という名称が悪いのです。

緊急放流と聞くと、もう限界なので一気に放流しちゃいますからね、という意味のように誤解されかねません。

そうではなく、これ以上新たに水を貯めるはのはムリです、というダムのキャパオーバー宣言にすぎません。

水が一杯に溜まって、ついにダムの縁から水が溢れ出した状態と考えても、意味はほぼ同じでしょう。

なので「緊急放流」される水量は、降雨によって流れ込む水量そのものであり、それは自然が決めることです。

ならば、素人考えかもしれませんが、事前に多めに放流して貯水量を減らしておけなかったのでしょうか。

なにしろ、太平洋のはるか南方に台風が発生したのはだいぶ前のことですから。

いやそれだけでなく、台風シーズンのダムはいつも空っぽにしておく、なんてのはダメなんですかね。

昨年の愛媛県のダムでは、豪雨に備えて4日前から事前放流を行っていたそうですが、結果的に不十分でした。

放流しすぎてダムが空っぽになったら、雨が降らなかったときに何かと問題が起きるからでしょうか。

治水の難しさはわかりますが、水不足よりも洪水の方が問題だと思うのですが。