「憮然」を間違う世代

文化庁が昨日発表した「国語に関する世論調査」の結果を、多くのメディアが一斉に報じています。

たとえば「憮然」の意味を、「失望してぼんやりとしている様子」だと正解した人はわずか28%だったと。

テレビのキャスターらは、「これはゆゆしき問題ですね」と言わんばかりに、苦々しい顔をします。

詳しくは報じてくれないので、視聴者はなんとなく、最近の若者の日本語は乱れてる、という意識を持ちます。

ところが、実際に文化庁の報告を見てみると、報道がとんだミスリードだということが分かりました。

「憮然」の正解率は、平成15年度は16%、19年度は17%でした。今回の28%は、劇的に改善した数値です。

まず、この経時的変化をきちんとおさえている報道が、私の見た限りではひとつもありません。

さらに、一部の新聞では言及していますが、年齢が若いほど正解率が高いという、予想外の結果が出ています。

正解率は、16〜19歳で約7割なのに対し、50代は24%、60代以上は2割を切っています。

「憮然」を間違えて理解しているのは、若者ではなく、中高年世代なのです。

そういえば昔、学生時代に、「現役:偶然、一浪:当然、二浪:平然・・・」と続く言葉遊びがありました。

その三浪が「憮然」で、以後「唖然、愕然、慄然、呆然」などが登場します(順序には諸説あります)。

当時の私は恥ずかしながら、憮然を、「腹を立てている様子」という誤った意味で認識していました。

今思えば、その解釈ではシックリこないことに気付くべきでした。