「え〜見事に、あの〜今年のノーベル化学賞を受賞いたしましたことを、ご報告したいと思います」
満面の笑みでこう語る、吉野彰氏の開口一番を聞いて、私はズッコケました。もちろん、良い意味で。
「仲間たちのおかげで」とか「まことに光栄なことに」などの修飾語がなく、喜びがストレートなのです。
記者会見が実にざっくばらん。笑顔もいいというか、笑いすぎでしょう、このオッサン(失礼)。
ファラデーの『ロウソクの科学』を小学時代に読んで、理科が好きになったそうですね。
それなら私も小学生の頃に読んだような気がするのですが、読んだあとの生き様はだいぶ異なったようです。
この機会にまた読んでみたら何か得られる発想があるかもしれぬと、いまAmazonで1冊発注しました。
現代のIT機器に欠かせない「リチウムイオン電池」ですが、吉野氏らが開発したのは数十年前の話です。
画期的な研究業績にノーベル賞が与えられるのには、それぐらいの年月がかかるってことですね。
NHKを見ていたら吉野氏は、数年前まで携帯電話を持っていなかったとカミングアウトしていました。
これはある意味、世界のために研究したのであって自分のためではない、ってことの象徴みたいな逸話です。
電池応用の最終目標のひとつは、発電所に匹敵する規模の「蓄電所」を作ることでしょう。
太陽光発電は日中しか発電できないのがネックですが、蓄電が可能ならそのデメリットは消えます。
発電は全部太陽光に一本化でき、原子力発電所も火力発電所も不要になります。
そのような、世の中を変える次世代電池の登場が待たれます。電池研究はまだまだ盛り上がりそうですね。