メール内のリンク

「厚生労働省 健康局 結核感染症課 新型インフルエンザ対策推進室」なる発信元から、メールが届きました。

「改めてログインIDをお知らせします」

「パスワードをご失念の場合は、システムより再設定をお願い致します」

そのように書かれたメール内のURLへのリンクを、躊躇なくクリックしても良いものでしょうか。

さらにリンク先のページでログインIDとパスワードを入力しても、危険は無いのでしょうか。

私は原則として、メール内のリンクはクリックせず、オリジナルのサイトからアクセスするようにしています。

例えばカード会社からは、「カードご利用金額をお知らせします」と、リンクへのクリックを求めてきます。

でも絶対クリックなどしません。利用金額を知りたければ、必ずカード会社のサイトからログインしますので。

いつぞやは、銀行から届いたメールが絶対怪しいと思い、その銀行に電話して確認したことがあります。

銀行は銀行で、あとで折り返しますと言って電話を切りました。向こうも私を怪しんだのかもしれません。

「フィッシングメールにご注意ください」と書かれたメール自体が、フィッシングでない保証はありません。

注意喚起が強調してあるメールがかえって、うさん臭く見えてきます。

インターネットやメールは、世の中を格段に便利にしてきたのは事実です。

しかし昨今のフィッシングメールの氾濫によって、何でも疑ってかからねばならず、便利さも台無しです。

「憮然」を間違う世代

文化庁が昨日発表した「国語に関する世論調査」の結果を、多くのメディアが一斉に報じています。

たとえば「憮然」の意味を、「失望してぼんやりとしている様子」だと正解した人はわずか28%だったと。

テレビのキャスターらは、「これはゆゆしき問題ですね」と言わんばかりに、苦々しい顔をします。

詳しくは報じてくれないので、視聴者はなんとなく、最近の若者の日本語は乱れてる、という意識を持ちます。

ところが、実際に文化庁の報告を見てみると、報道がとんだミスリードだということが分かりました。

「憮然」の正解率は、平成15年度は16%、19年度は17%でした。今回の28%は、劇的に改善した数値です。

まず、この経時的変化をきちんとおさえている報道が、私の見た限りではひとつもありません。

さらに、一部の新聞では言及していますが、年齢が若いほど正解率が高いという、予想外の結果が出ています。

正解率は、16〜19歳で約7割なのに対し、50代は24%、60代以上は2割を切っています。

「憮然」を間違えて理解しているのは、若者ではなく、中高年世代なのです。

そういえば昔、学生時代に、「現役:偶然、一浪:当然、二浪:平然・・・」と続く言葉遊びがありました。

その三浪が「憮然」で、以後「唖然、愕然、慄然、呆然」などが登場します(順序には諸説あります)。

当時の私は恥ずかしながら、憮然を、「腹を立てている様子」という誤った意味で認識していました。

今思えば、その解釈ではシックリこないことに気付くべきでした。

乳児のインフルワクチン

インフルエンザワクチンは、規定上は0歳6カ月から接種を受けることができます。

しかし当院ではこれまで、原則として1歳に近い月齢の乳児にのみ、限定的に接種を行ってきました。

0歳児への接種にあまり積極的ではなかった理由は、乳児ではインフルワクチンの効果が弱いからです。

生ワクチンは弱毒化したウイルスであり、体内で増殖して免疫系を刺激するので、強い免疫が獲得できます。

一方で不活化ワクチンは不活化したウイルスなので体内で増殖せず、誘導される免疫も弱いものとなります。

それでも、ウイルス全体を不活化精製した「全粒子ワクチン」はまだ、ある程度の免疫反応を引き起こします。

しかし、ウイルスの一部のみを精製した「スプリットワクチン」では、体内での免疫反応はごく弱いものです。

インフルエンザワクチンはかつて全粒子ワクチンでしたが、発熱などの副反応が多く、嫌われました。

その副反応を減らすべく、厚労省はスプリットワクチンへと方針転換し、現在に至ります。

当時の開発者によれば、「副反応がなければ効き目などはどうでもいい」というのが国の考え方だったとか。

残念ながらスプリットワクチンには、すでに免疫獲得済の抗体産生細胞を刺激する程度の効果しかありません。

つまり現在のインフルワクチンは、過去にインフル感染歴がなければ、ほとんど無効だということです。

そのような理由で、乳児への接種にはあまり積極的ではありませんでしたが、今シーズンは考えを変えました。

0歳6カ月以降であれば、すべての希望者に、原則として制限無く接種を行っています。

なぜなら、今回接種しておけば来シーズンの接種が2回目となり、多少でも効果が増えると思うからです。

いずれにせよ乳児への接種効果は弱いので、そのほかの家族がしっかりと予防することが肝要です。

当院では、家族全員がワクチンを接種することが、乳児へのインフルワクチン接種の条件となります。

マイナンバー必要?

皆さんはもう、「マイナンバーカード」を作りましたか? 私はまだです。

カード取得の手続きが煩雑だとか、作る意味あるのかなどと言われていますが、私の考えは少し違います。

このシステム、ポシャるんじゃなかろうかと、密かに危惧しているからです。

さまざまなIT機器やシステムの、アーリーアダプターか、しばしばイノベーターの私ですら、慎重になります。

縦割り行政の日本では、そもそもマイナンバー自体が、有機的に機能するような気がしないのです。

たとえば、職員を新規雇用した際に事業主が役所に提出する書類が、何年経っても簡便になりません。

健康保険・厚生年金保険関係の届出は年金機構に提出し、ハローワークには雇用保険関係の書類を出します。

同じ厚労省管轄の別々の役所に別々の書類を、それぞれマイナンバーを記載して出さなければなりません。

給与や賞与の金額に関しては、年金機構と税務署に、算定基礎届や年末調整資料を提出する必要があります。

法人税や消費税の納付とは別に、住民税や源泉所得税を、それぞれ別々の役所に納付しなければなりません。

国民を1つのナンバーで管理するというのなら、さまざまな書類の提出窓口も1つにしてくれませんかね。

社会保障と国税ですら、マイナンバー制度による恩恵が、少なくとも利用者にはまったくありません。

それなのに、マイナンバーカードを保険証代わりに使えるようにしようなどという動きには、少々呆れます。

役所が便利になるために、カードを普及させようという考えが見え見えなのです。

マイナンバー制度やカードの普及は、役所の都合ではなく、国民の便利のためでなくっちゃ。

インフル接種専用枠

インフルエンザワクチンを接種しつつ、また別の時間帯にはインフルエンザ患者の診療を行うような日々です。

昨日はまだ流行期ではないと書きましたが、やはりいま、まさに流行期に突入しつつあることを実感します。

予防接種の最大の目的は、感染症の予防です。感染する前にワクチンを接種しなければ、間に合いません。

なので一般に、ワクチンは対象年齢(月齢)になったらなるべく早く接種するのが寺田の鉄則です。

また、予防接種を効率よく進めてできるだけ早く完了するためにの有効な手段が、同時接種です。

ときどき、同時接種には懐疑的(不安)な方がいらっしゃいます。その気持ちはわかります。

しかし、同時接種の安全性と優位性を丁寧にご説明することで、多くの方が納得して接種を受けられます。

当院は以前から、インフルエンザワクチンと他の定期接種ワクチンとの同時接種を推奨してきました。

そうすれば何度も来院する必要がなくなり、早めの接種完了が見込めるからです。

延び延びになっていた日本脳炎ワクチンを、インフルエンザのついでに接種する、なんてこともできます。

しかし、同時接種をすれば接種に時間を要し、全体の流れが悪くなってしまうデメリットがあります。

インフルエンザワクチンは、ネット予約の接種時間枠をギチギチに設定しているので、時間のズレは問題です。

そこで今年はネット予約枠をインフル専用とし、その枠内での同時接種は原則として行わないことにしました。

おかげで、インフル接種はとてもスムーズになりましたが、定期接種にどうしてもしわ寄せが来ます。

今年のやり方はたぶん、少し修正する必要がありそうです。そんな感じで毎年、試行錯誤が続くのです。

インフルと他のワクチン

「今年はインフルエンザの流行が早いらしいですね」「そうみたいですね」

インフルエンザワクチンの接種をしながら、あるいは一般診療中にも、しばしばこのような会話になります。

ところが、国立感染症研究所の報告によれば、定点あたり報告数は必ずしも増えておらず、むしろ減ってます。

沖縄を除いてまだまだ報告数は少なく、今年の流行が早いなどと言うこと自体が、時期尚早なのでしょうか。

それでも、やはり早めに接種を行った方がよさそうな雲行きです。

2回接種をする12歳以下のお子さんはとくに、1回目の接種はとりあえず、早めに済ませた方がよさそうです。

1回接種の成人の方にも、今シーズンは10月中の接種をオススメしているぐらいですから。

その成人ですが、例の風疹第5期接種の対象者では、インフルエンザワクチンとの接種間隔が問題となります。

MRワクチンという生ワクチンを接種してしまうと、次のワクチンが接種できるのは4週間後になるからです。

風疹対策は大事ですが、インフルエンザワクチンの接種をみすみす4週間も先延ばしたくはありません。

一方で、先にインフルエンザワクチンを接種した場合には、その1週間後にはMRワクチンの接種ができます。

そこで当院では、インフルエンザワクチン接種の予定がある方には、MRより先に打つように勧めています。

実は、そのような接種間隔の規定は、日本独自の「ローカルルール」です。医学的根拠はありません。

そもそも不活化ワクチンは他のワクチンとは影響しないので、接種間隔を気にする必要などないのです。

現に海外では、不活化ワクチンを接種した翌日に別のワクチンを接種したりしています。

この非科学的なルールを見直す動きが厚労省内部にもありますが、その実現には時間を要すでしょうね。

ならばせめて、インフルエンザワクチンだけでもいいから、接種間隔の規定を撤廃してくれませんかね。

他のワクチンとの接種間隔をまったく気にしなくても良いのなら、どれほど接種計画が楽になることか。

年長児のワクチン

「いま、年長児が接種すべきワクチンは何でしょう?」と問われたら、何ワクチンだと答えますか?

(1)インフルエンザワクチン

ひっかけ問題です。年長児でなくても、この時期には最優先で接種すべきワクチンだと思います。

(2)麻しん/風しん混合(MR)ワクチン第2期

定期接種としては、真っ先に思いつくのがコレ。まだ接種していない方は急ぎましょう。

(3)おたふくかぜワクチンの2回目

1歳の時に1回接種しただけって方がとても多い。通常は2回接種します。2回目は4〜6歳がオススメです。

(4)<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2524.html" target="_blank" title="3種混合ワクチン">3種混合ワクチン</a>(DPT)

定期接種としては、ポリオ(IPV)を加えた4種混合ワクチン(DPT-IPV)を、0歳で3回、1歳で1回接種します。

しかし1歳の時の接種の数年後には免疫切れを起こすので、年長児頃の追加接種(任意)が推奨されます。

4種混合ワクチンの5回目の接種が認められていないので、DPTとIPVを別々に接種する必要があります。

(5)<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1631.html" target="_blank" title="不活化ポリオワクチン">不活化ポリオワクチン</a>(IPV)

日本では4種混合ワクチンとして1歳までに4回接種したら終了しますが、そんな先進国は、他にありません。

なぜなら、4歳以降に追加接種をしないと、長期間の免疫が維持できないことがわかっているからです。

欧米のほとんどの国では、0歳で2〜3回、1〜2歳頃に1回、4〜7歳以上で1回以上接種しています。

最近、不活化ポリオワクチンの通算5回目の接種をしたいという、年長児の問い合わせがありました。

われわれの啓蒙活動不足に加えて任意接種の料金も高いので、このような接種希望者はまだ少数派です。

厚労省も数年前から、不活化ポリオワクチンの第2期接種(=通算5回目の接種)を検討しています。

しかし、もっと急ぐワクチン(<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2915.html" target="_blank" title="ロタ">ロタ</a>や<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2578.html" target="_blank" title="おたふくかぜワクチン">おたふくかぜワクチン</a>)の導入検討が優先されるのはやむを得ません。

でもそれなら、いい加減になんとかして欲しいのは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2805.html" target="_blank" title="HPVワクチン">HPVワクチン</a>の積極的勧奨接種の再開でしょう。

インフルエンザワクチンを接種しに来た女子中学生にはHPVワクチンも勧めていますが、反応は鈍いですね。

Googleの「超計算」

「ソフトバンクG、強気の投資岐路」

ソフトバンクホークスが日本1になった翌朝のトップ見出しがこれ。明らかに狙ってますね、日経は。

日経はしばしば、世間が注目する話題をあえて外して経済記事をトップにすることがあり、驚かされます。

しかしそれでも日経が面白いのは、良い意味で、「とばし記事」が多いからです。

前にも書いたように、悪く言えばガセ、しかし実態は時にインサイダー情報ギリギリなのかもしれません。

Googleの「量子コンピュータ」関連報道も、とくに日経が精力的に報じています。

冒頭のソフトバンクGの記事のすぐ下に「グーグル、量子コンピューターの『超計算』成功発表」とあります。

最先端のスパコンが約1万年かかる計算問題を、量子コンピューターは3分20秒で解いたといいます。

1万年もかければ、コンピュータどころか、人類が進化してしまいますが、まあそれはヨシとしましょう。

Googleの発表には異論も出ていて、IBMは同じ計算問題を従来のスパコンで2日半で解いたと言ってます。

だいたいどんな問題なのか、知るよしもありません。聞いても意味がわからないでしょうけど。

量子コンピューターの特徴については、日経を含めてたいていの報道記事が、次のように「解説」しています。

「『0であり、かつ1でもある』という特殊な状態を利用して大量の情報を一度に処理できる」

こういった記述には、読者に理解させようという気力を感じません。たぶん書いた本人もわかってないのです。

少なくとも私は、量子コンピュータについての解説記事を読んでも読んでも、ちっとも理解できません。

でも、世界中の情報を握るGoogleが、「超計算」能力を身につけることの恐ろしさは、容易に想像できます。

吠える犬

犬嫌いの方って、かつて犬に吠え立てられたり噛まれたり、そんな恐怖体験が大元にあるのかと推測します。

犬好きの私でも、道を歩いているだけで脇の家の庭から激しく吠えられたら、けっして良い気はしません。

そういう犬に敢えて近寄って、生垣越しに「よーしよし」などとなだめても、火に油を注ぐ結果になります。

わが家の花ちゃんも、極めて強力な<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2796.html" target="_blank" title="番犬">番犬</a>本能を有しているためか、外敵に対しては激しく吠えます。

庭の外の犬の散歩やスクーターや軽トラックに対してはほぼ例外なく吠え、庭を走り回って威嚇し続けます。

近所迷惑にならないように、朝晩にはなるべく花ちゃんを庭に出さないように気をつけています。

そのかわり昼間には本領を発揮します。なので近隣から見れば、うちの花ちゃんは「昼ほゆる犬」です。

庭に出てなくても、他の犬に対しては屋内からでも窓越しに吠えるので、その実態は「朝晩もほゆる犬」です。

それでは、一日中吠えている犬なのかというと、そうではなく、概ね穏やかに過ごしています。

オモチャをかじっているか、外をのんびり眺めているか、そうでなければグースカいびきをかいて寝ています。

寝ていても眠りは浅く、かすかな物音で覚醒し、ミーアキャットのようにスクッと顔を上げて遠くを見ます。

でも本気で眠いときには、耳だけ動かします。次いでゆっくり薄目を開けますが、とても充血しています。

犬好きの方なら、お近くにおいでの節はぜひわが家にお立ち寄りください。犬嫌いの方はやめときましょう。

犬好きの方を絶対に吠えないという保証はありませんが、犬嫌いの方には確実に、激しく吠え続けますので。

即位礼正殿の儀

天皇陛下が即位を内外に宣言される「即位礼正殿の儀」が、本日、皇居 宮殿で行われました。

その荘厳な雰囲気や陛下のお言葉と静寂、大人しくしている各国の王や大統領たちの姿も珍しい光景でした。

儀式が始まると雨がやみ、日が差し、しかも皇居の真上に虹が出たと、ほとんど奇跡のように喜ばれています。

虹がどの地域の上空に出ているように見えるかは、見る場所によりけりですが、それはまあいいです。

同じ昭和35年生まれだと口にするのも畏れ多いですが、幼少期からずっと、私と同い年だった天皇です。

早生まれの天皇は1学年上ですが、何かと感慨深いものがあり・・・この話、膨らませるのはやめときます。

今日は特別に、今年限りの休日(祝日扱い)でした。休診日だったので、私はずっとNHKを見ていました。

祝日だから診療してるだろうと、もしかすると来院された方もいたかもしれません。

それだとまことに申し訳ありません。当院は、祝日診療よりも火曜・金曜の休診の方を優先しているのです。

「天皇の即位の日」の5月1日も休日でした。そのおかげで空前の「10連休」が誕生しました。

「前日と翌日を祝日に挟まれた平日は休日となる」という規定が、とんでもない威力を発揮したわけです。

ならば、一昨日の日曜と今日の祝日の間に挟まれた月曜は休みになるのかと、勘違いした方もいるでしょう。

かくいう私も先日、あれ、どうだっけ?と、一瞬自信がなくなって、あらためてカレンダーを繰りましたから。

「即位礼正殿の儀」がもしも10月16日だったら、10月14日の体育の日と挟まれる火曜日も休日になります。

そうなると、土曜から水曜まで5連休になったのですが、その発想は政府にはなかったのでしょうかね。

まあ10連休には懲りましたから、今回はこれで良かったと思いますけど。