「正当な事由がない限り、医師は患者の診療の求めを拒否できない」という、医師の「応召義務」。
ややもすると理不尽な規定なのですが、昨今の働き方改革の影響を受け、少々風向きが変わりつつあります。
すなわち、医師という労働者としての「人権」も考慮すべきではないか、という至極まっとうな論調です。
このような、医師に対する優しい配慮について、メディアはなかなか好意的には取り上げてきませんでした。
過去の「優遇税制」とか「薬漬け医療」等による医師への偏見が尾を引いているのかもしれません。
ところで、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1556.html" target="_blank" title="医療費不払い患者">医療費不払い患者</a>に対してどこまで「応召義務」を果たすべきか、という記事を最近目にしました。
当院にも、所持金が無いから後日支払うと言いながら、未払いのままになっている患者さんが何人かいます。
そのようなことを繰り返し、その都度、所持金が無いが後日必ず払いに来ると言って久しい方が1人います。
いつも症状が重いので診察と処方を行ってきたのですが、医療費請求の電話をかけてもつながりません。
このようなケースに対して、ある弁護士の回答はこうです。
(1)特段の理由なく保険診療の未払いが重なっている場合には、診療しないことが正当化される
(2)その場合であっても、病状が重篤で緊急対応が必要な場合には、診療をする必要がある
これを、たとえば飲食店に当てはめて考えてみると、こうなります。
(1)特段の理由無く無銭飲食を繰り返す客には、食事の提供を拒否することが正当化される
(2)しかし、腹が減って死にそうだという客には、所持金が無くても食事を提供する必要がある
重い症状で来院された場合には、たとえ不払いの常習者に対しても、診療を行う義務が医師にはあります。
そういった場合には、公的な資金で未払い医療費を補填するような制度ができないものですかね。