お役所の基本的スタンスは官僚主義。形式主義であり前例主義であり申請主義であり文書主義です。
その融通の利かないお役所の、職員個人はしかし、ほとんどが良心的で誠実な方です。
なので難しい対応に迫られた局面では、公務員の方は「黙認」という形で、前例を残さず処理したりします。
ときどき行政に電話で問い合わせをすることがありますが、回答は「後日」「文書で」行われます。
その内容はえてして、私にとって不利なものです。
せっかく知らんぷりしてもらってた事柄なのに、問い合わせたばっかりに「認められません」となります。
問い合わせている最中に「そのことは尋ねてほしくないな」という雰囲気が伝わってくることもあります。
そのような場合は、そそくさと電話を切るのが正解です。
以前、予防接種の説明会で、ある医療機関の方と市の担当者との質疑応答で、面白いことがありました。
医「新型インフルエンザワクチンも、これまで同様に、看護師が接種することは可能か」
市「可能です(と言いかけたら上役からの耳打ちあり)。訂正します。これまで通りでお願いします」
つまりお役所としては、看護師による接種を積極的に推奨するのではなく、あくまで消極的に黙認したい。
そこで「これまでどおり」という表現にとどめることによって、具体的な内容には触れずに済ませたわけです。
そのニュアンスは、質問者にも会場全体にも穏やかに伝わりました。まさしく、あうんの呼吸ですね。