不毛な「開票速報」番組

不毛な番組なのにいつも見てしまうのが、「開票速報」です。今夜も途中まで(眠くなるまで)見ました。

開票結果はやがて出ます。翌朝テレビかネットで結果を確認すれば、それで十分なはずです。

大事なのは、選挙結果を踏まえて、日本の政治経済や社会外交問題などの方向性を議論することだからです。

それなのに、誰それが当確だの獲得議席がどうのと、途中経過をいちいち報じる意味なんてあるんでしょうか。

これがスポーツなら、翌朝その試合の結果だけを知ればよい、というものではありません。

白熱するゲーム、選手のプレー、そして勝敗の行方を、手に汗握って見守り応援するのが楽しいからです。

一方で開票速報においては、候補者はもう戦ってはいません。戦っているのは選管の職員です。

国民と候補者は、投票の集計作業を見守り、勝敗が決するのを待つのみです。

そもそも、開票結果を深夜に「速報」されても、翌朝報じられても、国民生活にほとんど差はないですね。

むしろ、途中経過をいちいち報じない方が、国民の寝不足を防ぐ意味では、国民のためになります。

将来、完全ネット投票となった場合には、午後8時の投票終了時刻=全候補者の当落確定時刻、となります。

8時からの選挙番組では、当選者や与野党の獲得議席数を元にした、有意義な議論が行われるはずです。

それこそが「開票速報」のあるべき姿でしょう。早くそうなってほしいものです。

HPVワクチンと選挙

「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)」について、興味深いアンケート調査が行われました。

このワクチンの「積極的な接種勧奨」を再開すべきかどうかを、参議院選挙の立候補者に尋ねたものです。

調査を行ったのは「予防医療普及協会」です。この協会の理事にはホリエモンも名を連ねています。

候補者へのアンケート調査をすることで、HPVワクチン問題を政治に働きかけるのが目的だといいます。

その目論見はしかし、必ずしも面白い結果にはなりませんでした。

299人の立候補者に尋ねたら、93人(31.1%)という低い回答率だったことが、まずひとつ。

さらに、接種勧奨を「再開すべき」とした人が22%、「再開すべきでない」が54%という残念な結果でした。

政党によって回答率と回答内容に偏りもあったようですが、その詳細はは割愛します。

どうやら候補者の方々には、この微妙で面倒な質問には答えない方が賢明と思っている方が多かったようです。

では、国会議員(候補)の先生方がそういうスタンスであるならば、医者の先生方はどういう考えなのか。

数か月前に、医師3千人あまりが回答したアンケートでは、積極勧奨を「再開すべき」が78%でした。

私には驚きだったのは、「勧奨する必要なし」という医師が22%もいたことです。

興味深いのは、「勧奨する必要なし」の理由です。いくつかの回答をまとめると、次の3パターンでした。

(1)まだ不安要素が残っている

(2)国民のかなりが反対している

(3)子宮頸がんを完全に予防できるわけではない

このうち(1)は科学的な発想に欠け、(2)は大衆迎合主義、(3)は屁理屈だと、私は思います。

どの理由があっても、毎年3千人の女性が命を失う感染症を予防するワクチンを止める理由にはなりません。

それなのに「接種は積極的にはお勧めしません」と言い続けている厚労省の姿勢には、心底ガッカリします。

そして、その厚労省を動かせる立場の国会議員(候補)も、残念ながら及び腰、または無関心のようです。

被雷で大幅遅延

飛行機の欠航・遅延につていは時々話題にしますが、昨日は「被雷」が原因の遅延を経験しました。

私が乗る予定の熊本–羽田便(ANA650便)は、羽田–熊本便(ANA647便)の機材を使うことになっていました。

647便の到着予定時刻は19時45分、650便の出発予定時刻は20時25分。その間隔は40分です。

この40分というのは、決して長くはないけれども、短すぎるわけでもない、よくある(短めの)間隔です。

しかし、前便の到着が遅れれば、次の便も当然、出発が遅れます。いわゆる「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2478.html" target="_blank" title="機材繰り">機材繰り</a>」による遅延ですね。

さて、昨日はひどい目に遭うとは予想だにせず、仕事を終えて大慌てで空港に向かいました。

大雨でしたが、当初は、搭乗予定の650便には遅延の表示がなかったので、安心して待っていました。

ところが出発の30分前になって、647便の到着遅れのアナウンスあり。悪天候のため熊本上空を旋回中だと。

なぬ。さっそく647便の飛行状況を、いつものアプリ(Flightradar24)で確認してみました。

飛行機は、高度900フィートまで下げたものの着陸を諦めて再上昇し、熊本上空を旋回中のようでした。

滑走路に接地はしていないので、厳密にはタッチアンドゴーとは言えませんが、それに近い状況です。

そうこうするうちに、647便が着陸できない場合は650便は欠航になります、とのアナウンス。

私を含め、ラウンジ等で待っている人々はみな、イヤ〜な雰囲気に包まれます。

その後647便は、有明海から天草上空を旋回した後に熊本空港に向かうと思いきや、あろうことかUターン。

私以外にも、飛行状況をチェックして一喜一憂している人がいるようで、あちこちからため息が聞こえます。

647便はさらに、熊本上空をグルグル旋回。全部で4周。おや、だんだんと直径が小さくなってますよ。

と思ったら、飛行機はついに滑走路へ向かって一直線、無事着陸。アナウンスも流れる。場内から小さな歓声。

結局647便は40分遅れで到着しました。ならば私の650便は40分遅れで出発か、と期待しますよね、普通。

ところがどっこい、それからさらに2時間と5分、みっちり待たされました。

どうやら647便は、上空で被雷していたらしく、着陸後の機体の点検に時間がかかったようです。

被雷した場所に穴があくこともあるそうで、もしもそれがエンジンだとオオゴトですからね。

点検整備が終了したので搭乗を開始します、とのアナウンスには、そこそこ大きな歓声が上がりました。

期限切れワクチン

期限切れのワクチンを接種してしまった、という医療過誤の報道をときどき目にします。

最近報じられたのは、有効期限を9日ほど過ぎた4種混合ワクチンを乳児に接種した、某県立病院の件です。

当初の接種日が延期となったため、準備していたワクチンが実際の接種日には期限切れになっていたようです。

期限切れはもちろん規則違反。でも期限を9日過ぎたぐらいならワクチンの効果にはまったく問題無いはず。

しかしそれでも期限切れがダメな理由は、その医療機関のチェック体制全般に疑問が生じるからです。

期限切れに気づかないようだと、別のもっと重大な問題も見逃される可能性がある思われても仕方ありません。

県立病院の記事には、例によって「今のところ乳児に健康被害はないという」という記載が続きます。

毎度のことですが、笑ってしまいます。だって、期限切れのワクチン接種による「健康被害」って何でしょう。

期限切れを接種して危惧されるのは、そのワクチンの接種によって獲得できる免疫が不十分である可能性です。

なので問題が起きるとすれば、そのワクチンで予防しようしていた感染症に、将来罹患してしまうことです。

そんなことが、ワクチンを接種した直後に、「健康被害」となって出現するはずがありませんよね。

ところで当院に在庫してる4種混合ワクチンは、今日の時点で19本あり、期限はすべて2020年6月でした。

検定合格日は今年1月となっているので、このワクチンの有効期限は製造後1年半程度と推測されます。

つまり、当院で使用中のワクチンは、製造から半年以内の、有効期限まであと1年近くあるものばかりです。

そう考えてみると、冒頭の県立病院の在庫管理って、ちょっと解せませんね。

接種日が延期になったら期限切れになるような、期限ギリギリのワクチンを在庫してること自体が疑問です。

今村夏子ついに芥川賞

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2141.html" target="_blank" title="芥川賞">芥川賞</a>は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1750.html" target="_blank" title="今村夏子">今村夏子</a>の『むらさきのスカートの女』に決まりました。選考会では断トツの高評価だったとか。

今村氏は近年、私のイチオシの作家なのですが、芥川賞候補になったのは3度目。まさに3度目の正直でした。

さっそく今夜、Kindleで読みました。ていうか、この作品、まだ読んでなかったのです。スミマセン。

(以下、内容の詳細は書きませんが、当然ながらネタバレ注意です)

例によって、今村流の不隠な雰囲気が全体を包んでいます。もう最初っから、ヤな感じが漂います。

あいかわらず中学生が書いたような平易な文章ですが、ヘタに文学的過ぎる小説よりは私はよっぽど好きです。

「今村さんは独自の、狂気を突き抜けた先にある哀れさのようなものを描ける人だと再認識できました」

こう語るのは、選考委員の小川洋子氏。まあ、どうなんでしょう。そこまで言いますか。

今村作品では、3年前の芥川賞候補作になった『あひる』がいちばん好きですね。たぶん、短いからでしょう。

それと比べると、2年前の『星の子』も今年の『むらさきのスカートの女』も、ちょっと冗長に感じました。

今村氏は若い頃に清掃のアルバイトをしていたそうで、その経験が今回の受賞作にもつながっています。

これはちょうど、『コンビニ人間』の村田沙耶香がコンビニでバイトをしていたことと同じパターンです。

そういえば、『むらさきのスカートの女』と『コンビニ人間』って、なんか似ています。

今日も読んでてデジャブがあったのは、そういうことか。

バイトって、その弱く不安定な立場と難しい人間関係が、リアルな小説の題材になりやすいのかもしれません。

さて、私は若い頃、どんなバイトをしてきたっけな。ちょっと思い出してみましょう。(で、小説書く?)

ルームランナー買う?

「形から入る」なんていう表現がありますね。私の場合はまさに、それです。とくに健康関係で。

数年前に「運動公園を走ろう」と思いつき、靴やウェアやウエストポーチを一揃え購入したことがあります。

しかし残念ながら、その後数年たった今まで、ただの一度も運動公園を走ったことがありません。

形から入る、というよりも、形だけで終わったパターンです。計画倒れです。よくあります。

「腹筋を鍛えよう」と、話題の健康器具を通販で購入してリビングに設置したのも数年前のこと。

残念ながら、使ったのは1回か2回。その後しばらく書斎に安置してましたが、やがて廃品回収に出しました。

似たような腹筋器具は、だいぶ前にも買ったことがあります。30年ぐらい前にはエアロバイクも買いました。

昔の健康器具はすごく重くて、引っ越しの際に業者に処分してもらいましたが、だいぶ嫌がられました。

そんな既往歴のある私ですが、ルームランナーなら続けられそうな気がしてきました。根拠はありません。

計画はこうです。仕事から帰ったらまず、1時間ほど走る。そして風呂。それからビール。食事。ブログ執筆。

時間がもったいないので、走っている間に、録画しておいた映画やテレビ番組を見てもいいでしょう。

なんなら、ブログ執筆等をしながら走れれば、それもいい。デスク付のルームランナーもあるようだし。

機種選定において、高額品を購入すればもったいないから続けるだろうという理屈は、私には通用しません。

しかし、安物は壊れやすいというネット情報も考慮するなら、やはり一流品を購入すべきかと考えています。

どうせ壊れるまでは使わないだろう、という考え方もありますが、最初からそんな弱気ではいけません。

予算以外で問題となるのは、設置場所です。毎日のように使いたくなるためには、リビングに置くべきです。

この件については今後、関係各所への根回し、もしくは便宜供与(金品贈与)等が必要になると思われます。

というわけで、まだ買うかどうか決まってもいないうちから書いてしまいました。計画段階が楽しいもので。

悲観論者と楽観論者

世の中には、物事を悲観的に捉えがちな人と、楽観的に済ませてしまう人がいます。

とくにからだの不調や病気については、その考え方が両極端です。

自分の病状をいつも悪い方向に考えてクヨクヨ心配する人もいれば、まったく平然と構えている人もいます。

でもよく考えてみると、両者には本質的な違いは無いのかもしれません。

心配性な方は、自分が重病ではないことを早く確認して、いつも安心しておきたい気持ちなのでしょう。

楽観的な方は、自分は重病ではないのだから心配無用なのだと、そう思いたい気持ちがあるのかもしれません。

結局どちらも、自分が重病なのはイヤなのです。早く確認したいか考えないようにするか、その違いです。

予防医学の観点からは、前者(心配性)の方が良く、楽観主義ではしばしば早期発見のチャンスを失います。

しかし一方で、過度な心配はよけいなストレスを生み、病状悪化の悪循環を生じかねません。

そこで心配性の方に対しては、「心配無用」であることの根拠を理詰めで示すのが、医者の腕の見せ所です。

一方で楽観的に過ぎる方には、適度な心配をすることを勧めつつも、安心できる医療を提供することが肝要。

メディア等による医療情報はしばしば、一般人に無用な心配を煽り、医療をやりにくくしている面があります。

しかし逆に、その心配をうまく利用すれば、適切な予防医療を提供するキッカケにできるかもしれません。

そんなことが最近私もわかってきたので、テレビ番組等による情報を頭ごなしには否定しない方針です。

医療は基本的に、多少心配性気味なスタンスで良いのかもしれません。

Amazonのお節介

Amazonから、たびたびオススメメールが来ますが、その文言が最近ちょっと不快ですね。

(1)「お客様が最近チェックされた商品からおすすめ商品をピックアップ」 ←あっそう。

(2)「当社は、お客様がこれについて知りたいだろうと思いました」 ←なにそれ。

AmazonやGoogleやFacebookは、こちらの閲覧履歴等を収集分析して、広告を繰り出してきます。

なかでもGoogleとFacebookは、メールやメッセージの中身まで読んでいることを認めています。

このような個人情報の収集は、それがAI等による機械的な処理である限りにおいて許容されているはず。

ところが前述した(2)のような文言には、人間による、しかも上からな介入を感じてしまいます。

もはや、Amazonという人格にすべてをのぞき見られている気がして、気持ち悪いですね。

そういえばAmazonは数年前に、「予測出荷」システムを特許出願してましたけど、どうなったんでしょうね。

予測出荷とは、利用者の購買傾向とタイミングを予測して、商品の発注を待たずに出荷することです。

もしも予測がうまくいけば、発注の直後(場合によっては数分後!)にはもう、商品が届くというわけです。

しかし多くの場合、頼んでもいないのに、しかもそこそこ興味のある商品が届くということになるでしょう。

これを押し売りとみるか、ナイスタイミングと喜ぶか、気持ち悪いと感じるか。まさに驚くべきお節介ですね。

ハンセン病差別への謝罪

ハンセン病の元患者らに対する国の賠償責任を認めた熊本地裁の判決を受けて、政府は控訴を見送りました。

安倍首相は謝罪しましたが、しかしその謝り方に問題があり、かえってメディアからの批判を浴びています。

「今回の判決では、いくつかの重大な法律上の問題点がありますが、・・・」という前提がダメなのです。

「判決には不服があるが患者救済を第一に考えた」と謝罪されても、誠実な気持ちを感じません。

国にも言い分はあるのでしょうけど、少なくとも謝罪をする場においては、言い訳などすべきではありません。

控訴しないという温情を見せて、選挙に有利に持っていこうとしたのであれば、残念ながら逆効果です。

そのずるいやり口は、国民にとっくに見透かされています。

選挙を考えるのならなおさら、「判決への不服」など口にせず、真摯な態度で謝罪だけすれば完璧だったのに。

良くも悪くも、いまの安倍政権は圧倒的に強い力を持っています。そして強ければこそ、優しくなれるはず。

過去の自民党政治や官僚を少々批判しても、安倍首相の立場が危うくなることはないでしょう。

選挙結果がどうなるかわかりませんが、今後の安倍首相には、歴史に残る善政を敷いていただきたい。

『新聞記者』

映画『新聞記者』を観てきました。

ネット等でやたらに話題の「政権批判」映画です。ここは、参議院選挙前に観ておかなければなりますまい。

ところが、いつものように近所のTOHOシネマズのサイトを見たら、なんと上映してないじゃないですか!

熊本県内では唯一、イオンシネマだけです。全国的にも、TOHOシネマズでは一切上映していないようです。

まさかTOHOは、政権に忖度してるのでしょうか(ホントは配給会社の関係だと思いますが)。

いつものTOHOなら自宅から車で2分なのに、イオンシネマまでは九州自動車道に2区間ほど乗りました。

出かける前にネット予約しておいたのですが、慌てていたので「夫婦50割引」を適用するのを忘れました。

高速代とガソリン代まで加えたら、映画1本観るためとしては、かなりの出費となりました。

さて、映画の内容については、ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、それでもネタバレ注意です。

(以下は、自己責任でお読みください)

映画の冒頭からいきなり、カメラワークに酔いました(悪い意味で)。画面が揺れるのでムカムカしてきます。

何らかの効果を狙ったのでしょうけど、ちょっとやり過ぎ。乗り物酔いしやすい人は見ない方がいいかも。

事実を元にしたストーリーですが、あくまでフィクションです。フィクションなので自由に描けます。

そのために、最も重要な部分が少々荒唐無稽に感じられて、ややリアリティーを失ったのは残念です。

映画が終わってエンドロールが流れている間、誰一人立ち上がる観客がいませんでした。

ひどく考えさせられるラストシーンのため、立ち上がる気分になれないのです。

館内の照明が灯ってからようやく、観客はみな重苦しい雰囲気で立ち去って行きました。

ある意味で予想外の結末でしたが、かといって驚きはなく、全体的にはやや消化不良のまま終わりました。

「政権を批判します」という映画ではなく、「政権批判は難しい」という映画だったのかもしれません。