「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)」について、興味深いアンケート調査が行われました。
このワクチンの「積極的な接種勧奨」を再開すべきかどうかを、参議院選挙の立候補者に尋ねたものです。
調査を行ったのは「予防医療普及協会」です。この協会の理事にはホリエモンも名を連ねています。
候補者へのアンケート調査をすることで、HPVワクチン問題を政治に働きかけるのが目的だといいます。
その目論見はしかし、必ずしも面白い結果にはなりませんでした。
299人の立候補者に尋ねたら、93人(31.1%)という低い回答率だったことが、まずひとつ。
さらに、接種勧奨を「再開すべき」とした人が22%、「再開すべきでない」が54%という残念な結果でした。
政党によって回答率と回答内容に偏りもあったようですが、その詳細はは割愛します。
どうやら候補者の方々には、この微妙で面倒な質問には答えない方が賢明と思っている方が多かったようです。
では、国会議員(候補)の先生方がそういうスタンスであるならば、医者の先生方はどういう考えなのか。
数か月前に、医師3千人あまりが回答したアンケートでは、積極勧奨を「再開すべき」が78%でした。
私には驚きだったのは、「勧奨する必要なし」という医師が22%もいたことです。
興味深いのは、「勧奨する必要なし」の理由です。いくつかの回答をまとめると、次の3パターンでした。
(1)まだ不安要素が残っている
(2)国民のかなりが反対している
(3)子宮頸がんを完全に予防できるわけではない
このうち(1)は科学的な発想に欠け、(2)は大衆迎合主義、(3)は屁理屈だと、私は思います。
どの理由があっても、毎年3千人の女性が命を失う感染症を予防するワクチンを止める理由にはなりません。
それなのに「接種は積極的にはお勧めしません」と言い続けている厚労省の姿勢には、心底ガッカリします。
そして、その厚労省を動かせる立場の国会議員(候補)も、残念ながら及び腰、または無関心のようです。