期限切れワクチン

期限切れのワクチンを接種してしまった、という医療過誤の報道をときどき目にします。

最近報じられたのは、有効期限を9日ほど過ぎた4種混合ワクチンを乳児に接種した、某県立病院の件です。

当初の接種日が延期となったため、準備していたワクチンが実際の接種日には期限切れになっていたようです。

期限切れはもちろん規則違反。でも期限を9日過ぎたぐらいならワクチンの効果にはまったく問題無いはず。

しかしそれでも期限切れがダメな理由は、その医療機関のチェック体制全般に疑問が生じるからです。

期限切れに気づかないようだと、別のもっと重大な問題も見逃される可能性がある思われても仕方ありません。

県立病院の記事には、例によって「今のところ乳児に健康被害はないという」という記載が続きます。

毎度のことですが、笑ってしまいます。だって、期限切れのワクチン接種による「健康被害」って何でしょう。

期限切れを接種して危惧されるのは、そのワクチンの接種によって獲得できる免疫が不十分である可能性です。

なので問題が起きるとすれば、そのワクチンで予防しようしていた感染症に、将来罹患してしまうことです。

そんなことが、ワクチンを接種した直後に、「健康被害」となって出現するはずがありませんよね。

ところで当院に在庫してる4種混合ワクチンは、今日の時点で19本あり、期限はすべて2020年6月でした。

検定合格日は今年1月となっているので、このワクチンの有効期限は製造後1年半程度と推測されます。

つまり、当院で使用中のワクチンは、製造から半年以内の、有効期限まであと1年近くあるものばかりです。

そう考えてみると、冒頭の県立病院の在庫管理って、ちょっと解せませんね。

接種日が延期になったら期限切れになるような、期限ギリギリのワクチンを在庫してること自体が疑問です。