世の中には、物事を悲観的に捉えがちな人と、楽観的に済ませてしまう人がいます。
とくにからだの不調や病気については、その考え方が両極端です。
自分の病状をいつも悪い方向に考えてクヨクヨ心配する人もいれば、まったく平然と構えている人もいます。
でもよく考えてみると、両者には本質的な違いは無いのかもしれません。
心配性な方は、自分が重病ではないことを早く確認して、いつも安心しておきたい気持ちなのでしょう。
楽観的な方は、自分は重病ではないのだから心配無用なのだと、そう思いたい気持ちがあるのかもしれません。
結局どちらも、自分が重病なのはイヤなのです。早く確認したいか考えないようにするか、その違いです。
予防医学の観点からは、前者(心配性)の方が良く、楽観主義ではしばしば早期発見のチャンスを失います。
しかし一方で、過度な心配はよけいなストレスを生み、病状悪化の悪循環を生じかねません。
そこで心配性の方に対しては、「心配無用」であることの根拠を理詰めで示すのが、医者の腕の見せ所です。
一方で楽観的に過ぎる方には、適度な心配をすることを勧めつつも、安心できる医療を提供することが肝要。
メディア等による医療情報はしばしば、一般人に無用な心配を煽り、医療をやりにくくしている面があります。
しかし逆に、その心配をうまく利用すれば、適切な予防医療を提供するキッカケにできるかもしれません。
そんなことが最近私もわかってきたので、テレビ番組等による情報を頭ごなしには否定しない方針です。
医療は基本的に、多少心配性気味なスタンスで良いのかもしれません。