「からすまがりのようなったですもんね」
来院早々そのように経過報告をされた方に先月処方したのは、「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」。
「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1237.html" target="_blank" title="からすまがり">からすまがり</a>=こむらがえり」でお困りの方によく処方する漢方薬です。
かくいう私も、今朝久しぶりに、ふくらはぎにこむら返りが起きました。泣きそうになる痛さですね。
もともと「こむら(腓)」は「ふくらはぎ」の意味ですが、私のこむらがえりは、足背部によく起きます。
その場合、本来は「こむら」返りではないのかもしれませんが、病態は同じでしょう。
しかし今朝は、もっとも一般的な部位である「腓腹筋」に、その激痛発作が起きました。
もう痛くてたまらないのですが、数分以内に必ず治ることを経験上知っているので、なんとか耐えられます。
これが1,2分で止まるのか何時間も続くのかわからないとなると、もう、絶望しますね。
「からすまがり」というのは熊本の方言かと思いきや、調べてみると似たような表現が全国にありました。
山形県の「からすがえり」とか、愛知県の「からすなえり」とか、沖縄県の「がらさまある」とか。
さすがに沖縄の方言には、少々エスニックな(ガラムマサラの)香りがします。
古い言葉を調べる時に見る「和名類聚抄」に、「古无良加倍利」と「加良須奈倍利」の記載がありました。
10世紀の辞書ですが、たぶんこれは「こむらかへり」と「からすなへり」と読むのだと思います。
「こむら」や「こぶら」は、ふくらはぎの意味だとして、では「からす」とはなんぞや。烏?
諸説ありますが、やはりふくらはぎの意味らしいですね。でも私としては「烏曲がり」語源説に一票。
漢方薬に頼る前に、寝る前に水分を摂って、深酒せず、運動不足を解消するよう、患者さんには勧めています。
そして、人に偉そうに言うばかりの自分の不養生に、ときどき罰が当たるのです。