年金では足りません

当院の職員の給与は、私が毎月計算して、銀行のビジネスバンキングで振り込んでいます。手作業です。

まず、基本給等に加えて、残業時間は分単位で表計算ソフトに入力して手当を計算し、総支給額を算出します。

さらに専用ソフトを使い、社会保険料や住民税と所得税等を差し引いて、差引支給額を決めます。

残念なことに、たくさん支給したつもりの給与が、あれこれ「控除」された挙げ句ずいぶんと目減りします。

そのさまざまな控除の中でも、どうしてここまで巨額なのかと思えるのが、厚生年金保険料です。

これは私自身がサラリーマンであった頃から、給与明細を見るたびに思ってきたことです。

ついでに言うなら事業主は、従業員から天引きした社会保険料の合計の、倍額を納付しなければなりません。

さて、いまホットな話題は、金融庁の「夫婦で95歳まで生きるには貯蓄が2千万円必要」という報告でしょう。

公的年金だけでは老後の生活はまかなえませんよと、年金の破綻をも示唆する、ある意味バカ正直な試算です。

これに対して批判が集中すると、首相も財務相も、この報告が「不適切」だと切り捨ててしまいました。

たぶん、このような重要なことを不用意に国民に知らせたことが不適切だったという意味でしょう。

もちろんそんなことは、国民もだいぶ前から薄々気がついているわけで、金融庁の報告にもさほど驚きません。

ただ、あからさまに、年金じゃ足りませんからね、と言われるとムカツクのです。

毎月バカみたいにたくさん保険料を支払っているのが、アホ臭くなるのです。

報道機関の不作為

新年度になって2カ月過ぎましたが、麻疹風疹混合(MR)ワクチン第2期の、接種希望者の出足が今ひとつです。

さらに言うなら、HPVワクチンの接種希望者がまだ、今年度は1人も現れません。

HPVワクチンの積極的な接種勧奨は、すでに6年間差し控えられています。

接種率が対象者の1%未満に下がっていることは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2799.html" target="_blank" title="先日">先日</a>も書いた通りです。

厚労省の「子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的な接種勧奨の差し控えについてのQ&A」にはこうあります。

問 予防接種対象者への積極的な接種勧奨を差し控えることになったのはなぜでしょうか。

答 (略)定期接種を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでした。

  (略)接種希望者の接種機会は確保しつつ(略)積極的な接種勧奨を一時的に差し控えるべきとされました。

「なぜ勧奨差し控えなのか」との問いに「定期接種を中止するほどのリスクは無いから」と論点をすり替える。

肝心なことは何も答えない、まったく無内容な自問自答を演じています。もはや笑うしかありません。

「日本プライマリ・ケア連合学会HPVシンポジウム」では、報道機関の代表者が次のように述べています。

HPVワクチンに対する新聞記事の論調は、「応援期」から「攻撃期」を経て、現在は「不作為期」であると。

ワクチンの副作用報道は減少し、報道機関はそれをまるで過去の出来事のように時折報じていると。

たしかに「不作為」ですけどね、それを他人事のように言いますか。なぜメディアは動かないのですか。

過去の副作用報道が過ちだと気づいたのなら、それをきちんと記事にしたらどうですか。特集組みなさいよ。

毎年3千人の女性が亡くなっている感染症を予防するワクチンです。そろそろ「応援期」に戻りましょうよ。

研修医が執刀

沖縄の病院で、胃がんの手術を研修医が執刀し、術後合併症で患者が死亡したことで、訴訟になっています。

合併症の詳細はともかく、研修医の執刀が「約束違反」だという点も、問題になっているようです。

たしかに、研修医が手術を執刀し、何かうまくいかずに問題が起きるケースがあります。

術前の説明が十分だったか、という点が最大の問題でしょう。

しかし世間は、少なくともマスコミは、「研修医が執刀」という部分に食いつくんですよね。

研修医が執刀する場合、少なくともその術式を初めて執刀するときは、経験豊富な指導医が助手を務めます。

手術を指導をするだけでなく、研修医がミスをした場合に適切に対処・修復することこそ、指導医の仕事です。

その意味では、上級医師の指導下での手術の責任は、指導医にあると考えていいでしょう。

私自身の経験で言うなら、研修医の時の執刀は、極めて重要な危なっかしいものです。

もちろん指導医のカバーは必須ですが、執刀経験を積み重ねないと外科医は育ちません。

だからどうか、修練中の外科医が執刀すること自体は、大目に見てもらいたいですね。

そのかわり、指導医にはしっかりと監督していただきたい。

人口減少と失言

厚労省が発表した人口動態統計によれば、昨年の出生数は過去最低、死亡数は戦後最多を更新したようですね。

出生数と死亡数の二つは切り離して考える必要はありますが、いずれにしても、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2747.html" target="_blank" title="人口減少">人口減少</a>まっしぐらです。

死亡数が増えるのはまあ、しかたない。これは高齢化の「結果」ですから。

やはり問題は出生数。ひと頃よりも少し増えていた合計特殊出生率が、この3年は連続で低下しています。

これだけ少子化が問題になっているというのに、どうしてまた出生数が減り続けてしまうのでしょう。

おりしも、桜田義孝・前五輪相の「子どもを最低3人産むように」という発言がまた、問題となっています。

出生数を増やすためとはいえ、あまりに直接的で気配りのない「解決策」を提示すれば、叩かれるのです。

たしかに、子どもを産むことは強制されるものではないし、それに、出産・育児や職場復帰はたいへんです。

さらに個人的理由や多様な価値観を尊重する意味では、出産するかどうか自体が個人の自由です。

しかし、人口減少を食い止めるためには、合計特殊出生率を2.07以上に上げなければなりません。

産まない事情のある方には強制できないので、産むつもりの人にたくさん産んでもらうしかありません。

それによって目標の出生率に達するためには、1人の女性が1人か2人産んだのではまったく足りません。

桜田氏の舌足らずな発言は、「産むからには3人お願いしますよ」という意味だったと私は解釈します。

一番大事なのは、3人以上でも産み育てやすい社会を作ることです。

その上で、どんな言葉で「3人以上産みましょう」と国民に訴えるか。そこが政治家の腕の見せ所でしょう。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2682.html" target="_blank" title="政治家らの失言">政治家らの失言</a>をメディアが鬼の首を取ったように叩くという悪循環からは、そろそろ抜け出すときです。

サンノゼ

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2800.html" target="_blank" title="WWDC2019">WWDC2019</a>」という、Appleの発表会(開発者イベント)が開催されたのは、サンノゼの会議場でした。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2801.html" target="_blank" title="重大インシデント">重大インシデント</a>」を起こしたANA機が離陸したのも、同じく、カリフォルニア州のサンノゼ空港でした。

つまり過去2日間のブログは偶然にも、「サンノゼ」がらみだったというわけです(だから何?)。

サンフランシスコ湾南岸一帯を「シリコンバレー」といいますが、サンノゼはその中核都市のひとつ。

サンノゼにはCisco、その東のサンタクララにはIntel、隣のサニーベールにはYahooの本社があります。

その東のマウンテンビューにはGoogleの、南のクパチーノにはわれらがAppleの本社があります。

実はずっと以前から疑問でした。なぜ「San Jose」の綴りで「サンノゼ」と言うのか。

どうせスペイン語読みを踏襲したかなんかだろうと思い、ググりもしてきませんでしたが、今日ググりました。

違いました。スペイン語読みだと、むしろ「サンホセ」だそうじゃないですか。

米国人も、ゆっくり正確に発音する時は「サンホゼ」だったり、さらっと発音すると「サノゼ」だったり。

ま、こんなネット上の未確認情報の又聞きの受け売りをここで披露してもしょうがない。

もしかすると、日本語で言う「連声(れんじょう)」みたいなものかもしれませんね(素人の意見です)。

連声というのは、「観音(カン+オン→カンノン)」とか「天皇」とか「因縁」のような音変化のことです。

フランス語の「リエゾン」も、似たような発音規則ですよね(よく知らんけど)。

そしてどうでもいいけど、「リエゾン」と「連声」って発音もそっくり。連声ってリエゾンの当て字?

いつか米国西海岸に行くことがあったら、必ずサンノゼを訪れて、現地人の発音を聞いてみたいものです。

その時は当ブログで、受け売りではない私自身の調査結果をご報告します(10年ぐらいお待ちください)。

重大インシデント

「全日空機が1万メートルを急降下 重大インシデント」

米国から成田に向かっていたANA機(171便)のトラブルが、このような見出しで報じられました。

これだけ聞くと、エンジントラブルかなにかで1万メートルも急降下したのかと、ドキドキしてしまいます。

きりもみ回転しながら急降下、あわや墜落か、機内大パニック、けが人多数、なんて事態まで想像します。

ですが実際にはそうではなく、与圧システムが故障したので緊急で降下しましたよと、それだけの話です。

重大インシデントは空調の故障であって、降下は被害を最小限にするための回避操作にすぎません。

ただし高度1万3千メートルで与圧システムが故障したら、気圧低下のために乗客乗員の身に危険が及びます。

気圧に比例して酸素分圧も下がるからです。一定以下の低酸素になれば、人は意識を失います。

さいわい今回のANA機では、機内の急減圧はなかったため、酸素マスクは使わなくて済んだようです。

降下による気圧の復帰も早かったのでしょう。それも機長の迅速な判断と的確な操縦操作あってのこと。

だからこそ冒頭のような見出しは、本質を見誤ったものです。いや、故意かもしれませんね、あの表現は。

誤解を招く覚悟でキャッチーな見出しを盛るメディアのあざとさは、今に始まった事ではありません。

それがバラエティー番組ならまだしも、報道番組やニュース記事なら、節度をもって正確に報じてもらいたい。

NHKの見出し「全日空機 飛行中に客室内の気圧下がるトラブル」はその点、正確。インパクトに欠けるけど。

Apple製「おろし金」

Macの旗艦モデルである「MacPro」は、長らく新型機の発売がなく、Macファンはヤキモキしてきました。

iMacやMacBookはたびたび新型が発売されているのに、最上位のMacProだけが、沈黙を守ってきました。

しかしついに今日(日本時間)行われたAppleの発表会「WWDC 2019」で、新型MacProが登場しました。

次期モデルのスペックはもちろんですが、デザインはどうなるのか、私はそれがずっと気になっていました。

が、蓋を開けてみると、どうやら現行モデルのあの奇抜な「花瓶デザイン」はやめてしまうようですね。

ご存じない方のために説明すれば、現MacProは、直径17cm、高さ25cmの、真っ黒な円筒形なのです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-807.html" target="_blank" title="5年半前に発表">5年半前に発表</a>された時には、まるで花瓶だゴミ箱だ弁当箱だと、良い意味で揶揄されていました。

もちろん私はすぐに予約・<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-848.html" target="_blank" title="購入">購入</a>し、しばらく院長室で、今は診察室でメインのPCとして毎日使っています。

デザインがあまりにも奇抜ですが、それも考えがあっての「機能美」ということで、私は満足しています。

Appleが考えた究極のカタチなんだろうと、これ以上工夫の余地はないのだろうと、ずっと思って来ました。

しかし、冷静に考えてみれば、円筒形の筐体って部品の配置スペースとしては不利ですよね、多分。

対流を利用した放熱メカニズムも、ホントのところどうなのか。デザインに凝りすぎた気がしないでもない。

案の定、次期MacProは現行モデルとは似ても似つかない箱形です。昔風の「ポリタンク型」と言ってもいい。

ただし、まるで大型の「おろし金」かと思うようなデコボコがビッシリ。実に斬新です。

しかも、同時に発表された「32インチ、Retina 6Kディスプレイ」も、これまた「おろし金」デザイン。

はやりですか。これからは、おろし金がトレンドですか。花瓶デザインとはまた別の意味で、奇抜です。

MacProのCPUは「最大28コアのIntel Xeon」だと言われても、もはや私の用途には完全に無関係のレベル。

この秋発売。5,999ドルから。どっちみち、購入するつもりはありませんけどね。

ただ、6Kディスプレイには、少々興味あるのですが、4,999ドルですか。これも厳しい。

今回のApple製「おろし金」、どちらも手が出ません・・・

ワクチン拒否の国民性

NHKニュース『おはよう日本』が先週、麻疹ワクチン拒否の現状について取り上げていました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2772.html" target="_blank" title="前にも当ブログで書いた">前にも当ブログで書いた</a>ように、デマ情報に基づく誤解によってワクチンの接種率が低下してしまう問題です。

万事に言えることですが、いったん広まったデマ情報を打ち消すには、その何倍ものエネルギーが必要です。

番組では最後に、次のように結びました。

「行政や医療機関も、ワクチンの効果について正確な情報をもっと積極的に発信していく必要がある」

そこまで言うなら、どうしてはっきりと、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2759.html" target="_blank" title="HPVワクチン">HPVワクチン</a>の問題について触れてくれなかったのでしょうね。

これこそ典型的な、デマ情報(=根拠に乏しい情報)による「国をあげての」ワクチン拒否だというのに。

ところで興味深いことには、HPVワクチン拒否運動が起きたのは、日本だけではありません。

ある医療系記事によれば、デンマークやアイルランドも、反ワクチン運動によって接種率が下がったようです。

しかしそれらの国では、接種率の低迷に警鐘を鳴らす啓蒙活動が奏功し、接種率はV字回復したそうです。

日本以外にも、HPVワクチン接種率の低下を経験し、なおかつそれを克服した国があるのは励みになります。

ただし、そんな諸外国で接種率が下がったというのは、80%から40%に下がった、という程度のもの。

日本において、70%もあった接種率が1%未満に下がってしまったのは、きわめて極端。不可思議な現象です。

これほどまでに徹底して、ほぼ全国民がワクチンを拒否してしまう日本人の国民性って、どうなんでしょう。

ケチが付いたら全否定。疑わしきは罰しまくる。なんかちょっと怖いですね。

もう少し科学的で、合理的で、客観的で、冷静な判断ができないものかと、驚きと同時に悲しくなります。

手足口病と登園許可

「夏のノド風邪」と題してちょうど<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2055.html" target="_blank" title="2年前">2年前</a>にも書きましたが、今年もこの時期、同じ状況が起きています。

いずれもノドに病変が見られる、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」「溶連菌感染」の流行です。

手足口病について、今日覚えて帰っていただきたいことは2つ。

(1)原因となるウイルスは何種類もある→何度でも罹る

(2)発疹が消えても感染力はしばらく続く→キリがないので元気なら登園OK

この病気は、下熱して食欲が戻れば登園が許容されていますが、その場合でも発疹は気になります。

手足に水疱がビッシリできているお子さんが登園するのは、さすがに勇気が要りますね。少し待ちましょう。

頼まれれば登園許可証を書きますが、「まだ感染力はありますけどね」というニュアンスは伝えます。

なのでその登園許可証に「感染の恐れが無くなったので」という文言が印刷されているのは困ります。

登園許可とはいったい、園のためなのか、本人のためなのか。

前者は園内への感染拡大を恐れたものであり、後者は患児の体力を配慮したものです。

たとえば風邪は、まだ鼻水が垂れていても本人が元気なら登園でき、登園許可証など不要です。

手足口病も登園許可証を必要としないとする考え方が一般的ですが、まだ許可証を求めてくる園もあります。

「感染力はありますが登園を許可できる体調です」と書くのが正しいでしょうけど、そこまでは書きません。

園の立場もあるでしょうから、そこは阿吽の呼吸です。

郵便物チェキラ

休診日明けの今日は、クリニックのポストに郵便物などがぎっしりと詰まっていました。

かさばるのは新聞や雑誌です。とくに雑誌が何冊も届くと、重くてしょうがない。

当院の開業当初の郵便受は、キャパオーバーの日々に耐えきれず破損してしまいました。

その後、大型の郵便受に変えたので、いまは5連休の新聞と郵便物だってへっちゃらです。10連休はわからん。

さて今朝最初に開封したのは、某病院からの診療情報提供書。こちらから紹介した患者さんの経過報告でした。

ただの「ご報告書」では点数(診療報酬)はとれませんが、「診療情報提供書」にすればとれます。

もちろん、それなりの内容(診療情報)があるからこそなわけで、形だけではNGです。

熊日広告社からは、毎度おなじみの、「禁煙外来啓発企画」と銘打った新聞記事への協賛広告の依頼です。

この企画ではかつて一度だけ広告を出しましたが、その後はやめてます。広告料のコスパが少しアレなので。

禁煙啓発の重要性はわかっています。なので当院では、おもに院内掲示物等で啓発させていただいてます。

製薬会社から、インフルエンザワクチンの「接種上の注意改訂のお知らせ」が何通が来ていました。

改訂項目は、「重大な副反応」として「急性汎発性発疹性膿疱症」が追記された点です。

だからといって、接種の可否にはあまり影響しませんけどね。接種後の留意点(観察項目)が増えた形です。

大きな緑色の封筒が届いていました。熊本労働局から毎年来る、「労働保険料」を申告するための書類です。

この封筒は下端から開封せよとの注意書きがありますが、それに気づくのはたいてい上端から開封した後です。

おそらく、上から開けると中身の書類を傷つけるおそれがあるため、念のため下から開けろというわけです。

でもそれなら、最初から書類を上下さかさまに封入しておけば良いだけの話じゃないですか。

もっと国民目線で柔軟な仕事しなきゃダメでしょう。労働局にこそ、働き方改革が必要なようです。