3千万円を超える薬価の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2780.html" target="_blank" title="キムリア">キムリア</a>」で先日は驚いたばかりですが、はるかに上を行く超高額薬が現れました。
1本が2億3千万円です。FDAに承認されたその薬は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬「Zolgensma」です。
400万ドル以上になるという話もあった薬なので、今回決まった212万ドルはまさに「お値打ち価格」。
キムリアの時のように、日本で承認されたらかなり低価格になると思われますが、それでも億単位でしょう。
どうしてそこまで高額なのか、キムリアよりも10倍近くも高いのはなぜか。私にはよくわかりません。
キムリアは、患者の血液を原料にしてその中のT細胞の遺伝子を改変して増やし、それを体に戻す薬です。
高度な技術と手間ひまがかかることを考慮すれば、3千万円やむなし、みたいな気になります。
一方で今回のZolgensmaは、言ってみればただの注射薬です。静脈注射を1回するだけで、治療は完了します。
ただし、注射液の中身は「アデノ随伴ウイルス」というウイルスで、遺伝子の運び屋として使われています。
運ぶのは、SMAの異常遺伝子と置き換わるべく挿入された、正常な運動神経細胞生存遺伝子です。
このウイルスが病的な神経細胞に侵入して正常遺伝子を放出。それがDNAのしかるべき場所に入り込みます。
これによって、その病的細胞は正常な神経細胞となり、その働きも正常化するというわけです。
SMAのほか、さまざまな遺伝性疾患やがんの遺伝子治療が進みつつあります。医学の進歩には恐れ入ります。
でも、1本2億円のバイアル(薬瓶)って、うっかり落として割ったら大変ですね。私は扱いたくありません。