NHKの『サラメシ』という番組で、今日は航空自衛隊静浜基地が紹介されていました。
番組の趣旨は「働くオトナの昼ご飯」なのですが、私が注目したのは候補生の訓練風景です。
ちょうどその時は、教官が後部座席に乗らず、候補生が初めて一人で飛行機を操縦する段階でした。
眼下には地域の町並みが広がり、万一墜落したら大惨事になりかねない、そんな究極の状況での訓練です。
そんな訓練は危険すぎるでしょうか。万一に備えて、いつも教官が後部座席に乗っておくべきでしょうか。
いや、それではダメです。訓練生が誰にも助けてもらえない状況に追い込まれるからこそ、意味があるのです。
千尋の谷に落とされた獅子のごとく、独り立ちのためには甘えのない試練が必要なのです。
<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-644.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>ことがあるように、このような訓練方法はちょうど、外科医の修練と似ています。
たとえば、外科手術の基本中の基本「虫垂切除術」をとってみても、次のような修練段階を私もたどりました。
(1)手術書(いまならビデオを含む)による勉強や手術見学
(2)助手(指導医や先輩医師が執刀)
(3)執刀(指導医が助手に付くか、指導医が手術室内にいて手術を監督)
(4)執刀(指導医不在)
この(2)から(3)への飛躍は大きいですが、指導医がそばにいるとどうしても、甘えが出てしまいます。
最高レベルの緊張は(4)のときです。これをクリアして初めて、自分が執刀したことを実感できるのです。