闘犬かつ番犬

闘犬の血が流れているわが家の「花」ちゃん(フレンチブルドッグ)は、何にでも噛みつくのが得意です。

幼犬の頃は家具調度を噛みかじっていましたが、3歳にもなると、かじることは減りました。

今なお激しく噛みつくのは、ダスキンモップです。これはもう定番ですね。TV-CM等でもおなじみです。

あんな風に、モフモフしたものには目がなくて、モップやブラシ類が大好物なのです。

あるいは、クロックスのサンダルのような、適度な弾力があるものにも好んで噛みつき、振り回します。

泥の付いた庭のサンダルを、まるで獲物を「採ったぞー」的に、口にくわえてリビングに駆け込んでできます。

目を剥いてブンブン振り回し、フローリングに激しく打ち付けます。

勢い余って口から離れたクロックスが床にバウンドすると、いっそう敵意を剥き出しにして飛びかかります。

そんなとき、興奮した花ちゃんを落ち着けるための秘密兵器が「いりこ」です。

いりこを見せると、クロックスなどほったらかして、こっちに来ます。闘争心よりも食欲優先です。

風呂場の脱衣室のドアを開けっぱなしにしていると、花ちゃんは下着をゲットして、口にくわえて出てきます。

口からむりやり引き剥がすと下着が破れかねないので、この場合にも「いりこ作戦」が適用されます。

最近の花ちゃんは、下着そのものにはあまり興味はなくて、ただ、いりこ欲しさに下着を持ってきます。

いりこが役に立たないほど興奮して暴れるのは、宅配業者が来たときです。狂ったように吠えまくります。

トラックやバイクが近所を通っただけで激しく吠え始め、チャイムが鳴ったらもう、手が付けられません。

番犬としては優秀です。強盗が来たときには頼みます。でもそんなときに限って、おじけ付くんでしょうね。

かみ合わない会話

ご高齢の方と会話すると、よくトンチンカンなことになりますが、かく言う私もすでにその域に達しています。

わが家でもしばしば、互いに思い違い・聞き間違いをしたまま、家人とそこそこ会話が成立したりします。

言いたいことだけ言って人の話は聞いてないという、一方通行の会話の応酬なのに、しばらく続いたりします。

「最近こんなことがあったらしい」「それはさっき私が話したけど」「知らん」となります。

実家の父からの電話は、途中で母が通訳に入り、父がまた繰り返すので、正味の2.5倍ほど時間を要します。

その正味の話も、3日前に聞いた話と9割方かぶります。

91歳だというのに、父はiPadを駆使してメールを送って来ます。

「朝早くからすまんが、」などと冒頭に書いてありますが、メールにその文言は不要です。

たまに実家に行くと、私のiPhoneから父のiPadへ、ひ孫の写真や動画をAirDropで受け渡します。便利です。

メールに添付して送ればいいようなものですが、実家のネット環境が弱いので(電話回線!)、こうなります。

iPadを持っているのに、父の携帯電話はガラケーです。スマホの必要性を見いだせないようです。

そのガラケーは当初、携帯されることがなく、いつも充電器にセットされて固定電話の横に並んでいました。

iPadはいまでも、最初に買った時の箱に収めてあり、使うたびに開封し、使い終わったら箱に収納します。

昭和ひとけた生まれの方々には、どのような物品であれ、使用後には必ず片付ける習慣があるのでしょう。

史上最高額の医薬品登場

3千万円を超える薬価の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2780.html" target="_blank" title="キムリア">キムリア</a>」で先日は驚いたばかりですが、はるかに上を行く超高額薬が現れました。

1本が2億3千万円です。FDAに承認されたその薬は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬「Zolgensma」です。

400万ドル以上になるという話もあった薬なので、今回決まった212万ドルはまさに「お値打ち価格」。

キムリアの時のように、日本で承認されたらかなり低価格になると思われますが、それでも億単位でしょう。

どうしてそこまで高額なのか、キムリアよりも10倍近くも高いのはなぜか。私にはよくわかりません。

キムリアは、患者の血液を原料にしてその中のT細胞の遺伝子を改変して増やし、それを体に戻す薬です。

高度な技術と手間ひまがかかることを考慮すれば、3千万円やむなし、みたいな気になります。

一方で今回のZolgensmaは、言ってみればただの注射薬です。静脈注射を1回するだけで、治療は完了します。

ただし、注射液の中身は「アデノ随伴ウイルス」というウイルスで、遺伝子の運び屋として使われています。

運ぶのは、SMAの異常遺伝子と置き換わるべく挿入された、正常な運動神経細胞生存遺伝子です。

このウイルスが病的な神経細胞に侵入して正常遺伝子を放出。それがDNAのしかるべき場所に入り込みます。

これによって、その病的細胞は正常な神経細胞となり、その働きも正常化するというわけです。

SMAのほか、さまざまな遺伝性疾患やがんの遺伝子治療が進みつつあります。医学の進歩には恐れ入ります。

でも、1本2億円のバイアル(薬瓶)って、うっかり落として割ったら大変ですね。私は扱いたくありません。

電話番号認証が律速段階

「カートにチケットを入れたまま、抽選申込受付が完了していないお客様へご案内いたします」

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から、本日そのようなメールが届きました。

公式チケット販売サイトで、カートに入れたまま申込忘れになっているチケットの、購入を促すものです。

ええ確かに、抽選申込が始まった<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2774.html" target="_blank" title="5月9日">5月9日</a>に私が行った申込操作は、完了できないまま途中で止まっています。

じつはあの日、開会式のチケットを、つい勢いで申し込んでしまったのです。

万一チケットが入手できたら、クリニックを休診日にしてでも開会式に行こうと、そこまで考えていました。

ところが、申込操作が最終段階で行き詰まってしまいました。認証用の電話がつながらなかったからです。

何度かけてもつながらず、そうこうするうちに興ざめしてしまい、私はチケット申込をやめてしまいました。

熱が冷めた今となってはよく覚えていませんが、カートにチケットが残ったままだったかもしれません。

気がつけば今日は、当初のチケット抽選申込締め切り日でしたが、どうやら明日まで延長されるようですね。

「受付締め切り5月28日(火)23:59から5月29日(水)11:59まで受付を延長することといたしました」

とあるので、丸1日ほど延長するように勘違いする方がいるかもしれませんが、違います。半日延長です。

今日になって延長を発表したのは、急遽決定したことなのか、前々からそのつもりだったのかもしれません。

でも、延長幅が半日だけというのは、混雑回避への効果が疑問ですね。

それに、「電話番号認証」というある種アナログな手続きは、混雑をひどくするだけだと思います。

赤ちゃん誕生

2人目の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2415.html" target="_blank" title="孫">孫</a>が、今日生まれました。仕事のあとすぐ、産婦人科病院に向かいました。女の子です。可愛いです。

こんどは長女の里帰り出産なので、今後しばらくたいへんですが、そのかわり毎日孫を見ることができます。

予定日を5日過ぎてもさしたる兆候がなく、昨夜は遅くまで、長女と私はリビングでテレビを観ていました。

『チャングムの誓い』第24話です。ちょうど、ハン尚宮が最高尚宮になった直後のあたりです。

そのドラマを見終わった深夜0時半頃、「そういえば1時間ほど胎動が止まってる」と娘が言いました。

「でも、チャングムに集中してたから、胎動に気づかなかっただけかもしれん」とも。

しかし、胎動が止まったとすれば、胎児に何らかの異変が起きた可能性を考慮すべきだと思いました。

大げさかもしれませんが、こういうことは心配しすぎてもいいのです。後で笑い話になったっていいのです。

夜中の1時過ぎに、産婦人科病院に行ったところ、すでに少し破水していたことが判明。入院となりました。

それから約半日して、本日午後、無事出産。なんと3,736グラム。40週6日にしても、立派な体格です。

今日の診療中に、何人かの赤ちゃんが予防接種を受けに来ました。

どのお母さんも、付き添いのお父さんも、慣れない手つきで赤ちゃんを抱いています。

背中の聴診をするとき、新米ママやパパは、赤ちゃんをどのように支えたら良いか、まごついていました。

自分に血のつながった赤ちゃんがいると、ほかの赤ちゃんに対しても、以前よりも親身な気持ちになりますね。

それぞれのご家庭に、苦労と心配と幸せと喜びがあるのだということが、よくわかります。

外科医の無力感

5夜連続のドラマ『白い巨塔』が完結しました。ズッシリと重い最終回でした。

天才外科医が登場し、大学内の権力闘争を経て、医療過誤から裁判劇。昨日まではただ、面白いドラマでした。

ところが今日は打って変わって、人間味のある深いドラマになっていました。

すでにわかっているストーリーなのですが、全体を見終わってみると、良い作品だったと思います。

主人公が最後に、人の優しさと医師の良心を思い出してくれたことで、彼も周囲の者も救われました。

医療現場のリアリティーを完璧には求めてない点も、今となっては許せます。そんなこと重要じゃないのです。

よくある「医者モノ」のドラマと比べて、手術シーンは少なく、抑制的だけど効果的でした。

とくに試験開腹に終わった最後の手術は、私自身の昔の経験を思い出してしまう、ショッキングなものでした。

腹膜播種を目にした瞬間の無力感と悲しみは、本当にやりきれません。

外科医はしかし、そのようなケースにたびたび遭遇します。

だから私のように、すでに外科から離れて久しいと、色んな意味で手術が恐ろしく思えて仕方がありません。

自分が人の命を左右するという点と、外科医の力ではどうにもできない事があるという点においてです。

泉佐野最終キャンペーン

泉佐野市のふるさと納税サイトで、「泉佐野史上、最大で最後の大キャンペーン!」なるものが始まりました。

佐野史郎を思い出しながら詳細を読んでみると、これがひどい。

なんと「返礼率50%+Amazonギフト券20%」という、合計70%のあり得ない返礼率をぶちかましています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2778.html" target="_blank" title="前回">前回</a>の60%が「最後っ屁」だと思ってたのに、もっとヒドイのをひり出して来たって感じですね。

ただ、前回は「あっぱれ」と思ったのですが、今回はちょっと印象が違います。なんか、やな感じ。

泉佐野市を含む4つの自治体が、6月1日から、ふるさと納税の制度から除外されることが決まっています。

6月からは総務省に従うと言ってるのになぜ新制度の対象から外されたのかと、泉佐野市は息巻いています。

その理屈はわからないでもないですが、自分が蒔いた種でしょう。あなたは総務省に喧嘩を売ったのですよ。

泉佐野市は、この非常識とも思える「最終キャンペーン」の趣旨を2つ挙げています。

(1)住民税控除対象とならない除外期間に逸失するであろう寄附額の補填

(2)これまで泉佐野市のふるさと納税事業に参加してくれていた地元民間事業者の救済・雇用の維持

こんなこと言うから、やな感じがするのです。私は賛同できません。

さんざん荒稼ぎしてきたというのに、逸失益の補填を求め、市民ではなく返礼品調達業者を心配してやるとは。

こうなったら、泉佐野市への抗議の意味を込めて、泉佐野市から70%の返礼品をむしり取ってやるのみです。

さて、今度は肉にしますか。さっそく、ポチッと。

ホヌ就航

ANAの「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2725.html" target="_blank" title="フライングホヌ">フライングホヌ</a>」(NH184便)が、成田からホノルルへ向かって飛び立ちました。本日就航です。

ホヌはこの1カ月半、慣熟飛行のために、おもに成田と関空の間を何度も飛んできました。

ときにはセントレアや、まれに新千歳や羽田にも離着陸してきました。ダイバートに備えたものでしょう。

さらに、ホノルルまでも2回、飛んでいます。現地での細かいチェックも兼ねた、予行演習ですね。

先週の飛行では、乗員22人に加えて、乗客役のANA社員が104人乗っていたといいます。役得だなあ。

航空オタク用アプリで確認してみると、ホヌは今、成田とミッドウェー島の中間あたりを順調に飛んでいます。

離陸した滑走路は、成田空港の「RWY16R」。西側の長い方の滑走路を、南向きに飛び立ったわけです。

この滑走路は4,000mの長さがあり、離陸滑走距離3,000mを要するエアバスA380でも、楽々離陸できます。

成田には、東側に並行してもう1本滑走路(RWY16L)がありますが、諸事情によりその長さは2,500mです。

これがもっと長ければどれだけ運用が楽だろうと思いますが、ここで掘り下げるのはやめておきましょう。

先日ホヌのことを「熊本に立ち寄るときは、早めに教えてください」と書きましたが、もちろん冗談です。

熊本空港の滑走路長は3,000m。もしもホヌが着陸できても(着陸滑走距離は2,100m)、離陸は不可能です。

いや、滑走路の突端から滑走を開始したら、計算上はギリで離陸できるのか?

念のため、東の農地側に1,000mほど、滑走路の延長工事しておくといいと思いますけどね、万一に備えて。

医師自らの人体実験

『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎』(夏秋優 著)という医学書を、何年か前に買いました。

そしたら、昨日のNHKの「ガッテン!」が、この本と夏秋先生を取り上げていたと聞きました。

さっそく録画を見てみましたが、夏秋先生って、自分でいろんな虫に刺されてその経過を撮影してたんですか。

どうりで、生々しい写真がたくさんあると思いました。まったく驚異的です。

そんな風に、自分が実験台になって病気になり、原因や病態や治療法を研究する人が、今でもいるんですね。

先日「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2781.html" target="_blank" title="日本住血吸虫症">日本住血吸虫症</a>」に触れましたが、この病気の感染経路は、一人の医師が人体実験で証明しました。

ただし、皮膚感染を否定するために自己の体で実験したら、見事に感染してしまったという逆転劇でした。

動物実験も行われたのですが、それよりも自分で人体実験するところに、昔の医者の研究者魂を感じます。

野口英世が、研究していた「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1594.html" target="_blank" title="黄熱病">黄熱病</a>」に罹って死亡したのは、91年前(1928年)の5月21日でした。

黄熱病の病原体をしばらくは誤認していた野口ですが、死亡する少し前に、その誤りに気づいたようです。

決して意図した感染ではないものの、感染を覚悟した研究であったことは間違いないでしょう。

野口英世の肖像を見ない日はありませんが、その<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2584.html" target="_blank" title="千円札">千円札</a>の肖像は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1263.html" target="_blank" title="北里柴三郎">北里柴三郎</a>に変わることが決まっています。

北里柴三郎もかなりの偉人です。細菌学のみならず教育や実業にも携わり、医学界への貢献度は絶大です。

でも、子どもの頃に伝記で読んだ思い出が強く残っているのは、苦学して最後に殉死した野口英世の方ですね。

『白い巨塔』始まる

5夜連続ドラマスペシャル『白い巨塔』(テレビ朝日)が、今夜始まりました。

山崎豊子の原作刊行から50年を経て、内容はかなり今風にアレンジされているはずです。楽しみです。

ドラマとしての面白さは全体を見なければ評価できませんが、とりあえず「第一夜」の感想を書いておきます。

医者(とくに外科医)が主人公のドラマには、とくに厳しい視聴態度で臨むのが、いつもの私のスタンス。

その観点で言うと今日最もガッカリしたのは、主人公が「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1304.html" target="_blank" title="腹腔鏡">腹腔鏡</a>」を「フククウキョウ」と発音した事です。

「フククウキョウ」なんて発音を、少なくとも私は医療現場で聞いたことがありません。

もう何度も何度も言ってきましたけど、「腹腔鏡」の現実的な発音は「フックウキョウ」なのです。

「腹腔」の読みは本来「フクコウ」が正しかったのですが、最近のメディアは「フククウ」を使い始めました。

さらに医療現場では、「フククウ」ではなく「フックウ」と促音化して発音するのが普通です。

よく使われる言葉は、発音しやすい方向に変化するもの。

「腹筋」の読みが「フクキン→フッキン」へと促音化したのは、この言葉がよく使われてきたからです。

「腹腔」の読みが「フククウ→フックウ」と変わるのも、この言葉をよく使う医療現場では自然な流れです。

NHKは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1459.html" target="_blank" title="4年前の放送用語委員会">4年前の放送用語委員会</a>でようやく、「フックウ」も許容することに決めました。

しかし、あくまで推奨する読み方は「フククウ」であり、放送で「フックウ」は登場しません。

民放もおおむね、NHKに準じて「フククウ」を使っているのだと思われます。

でも、私は異を唱えたい。これは報道番組でもなければ教育番組でもない、ドラマなのです。

医者や病院や医学部や医療現場をリアルに描くのであれば、臨床場面とくに手術シーンでは手抜き厳禁です。

だからこそ、ドラマで医者の口からは「フックウキョウ」としゃべらせて欲しかった。

どっちみち、「フックウキョウ」が一般的な言い方になるのは、時間の問題ですから。