人一倍飲む

かつて「成人病」と呼ばれ、いまは「生活習慣病」ですが、本来は「生活悪習慣病」というべきでしょう。

その診療を行っている立場としては、自分自身の生活習慣に改善の余地があることを、苦々しく思っています。

いわゆる「休肝日」など、年に3日あるかないかというのが、つい最近までの私のアルコール摂取習慣でした。

ところが最近、次のように考えを改めたのです。「深酒をする予定があれば、その数日前から断酒しよう」と。

実はコレ、私がずっと続けている「1日1食生活」にも通じます。すなわち「楽しみの前の我慢」です。

明日2倍飲む予定なら、今日は断酒する。5倍飲むつもりの宴会があれば、その前の4日間は断酒しておく。

肝臓への負担等が、そのような単純計算で手当できるとは思いませんが、断酒しないよりはマシでしょう。

それに、4日断酒したあげくの5日目に5倍も飲めるはずがありません。結局、総飲酒量は減らせるのです。

そう言えば、「倍飲んだ」って言ったら、「2倍飲んだ」ってことですよね。つまり「倍=2倍」。

辞書(日国)を引くと、「一倍」とは「二倍の古い言い方」とあります。ちょっと考えると不思議です。

じゃあ、「1倍=2倍」ならば、数学的には「倍=0」となるのかというと、そういうわけでもありません。

たとえば「人一倍」という場合には、厳密には「人の二倍」ではないにしても、比喩的には二倍なのでしょう。

つまり「人一倍」とは、「人 + もう1倍」という、加算的な意味だと理解すれば腑に落ちます。

ちょうど楽天などのポイントでいうところの「2倍」が、「+1倍」の意味になるのと同じですね。