「殷墟」から「甲骨文字」が出土した話が、今朝の新聞のコラムに書いてありました。
そう聞くとすぐに、「隠居」から「恍惚」の流れを連想してしまう私です。
まだまだ働きますよ。働きますけども、じつは隠居生活には興味があります。むしろワクワクしています。
例のちりめん問屋の御隠居のように、全国を漫遊し、興味が湧けばちょっかいを出し、満足して高笑いをする。
その一方で悪党を成敗するなどの社会的貢献もできるのであれば、隠居生活としては理想的でしょうね。
一方で恍惚と聞けば当然、「恍惚の人」(有吉佐和子著)を思い出します。
小説で描かれたのは「痴呆老人」でした(今風に「認知症老人」と言ったのでは、あと一歩ピンときません)。
その小説の影響で、恍惚と痴呆が同義語のように以前の私は理解していましたが、もちろん違います。
本来「恍惚」は悪い意味ではなく、極度に感情が高揚して意識レベルが下がった状態のことだと思うので。
一般的な勤め人には「定年退職」というものがあります。しかし私のような自営業には定年がありません。
それじゃあ自分で定年を決めればいいじゃないかと言うでしょうけど、それが難しい。
医者に限らず人間には、働く体力と機会があるうちは働きたいという本能があるからです。
たとえ会社を定年退職した人でも、そのあと何かの仕事に就きたいと思う方は多いはずです。
当院に定期的に訪れる成人の患者さんの年齢層は、若い方から後期高齢者まで連続して分布しています。
定年退職した後、再就職した方もいれば、楽隠居を堪能している人もいます。
再就職して数年働いた後、完全にリタイアして、精力的に海外旅行を楽しみ始めた方もいます。
私の場合、「生涯現役」とまでは言いませんが、ある年齢でスパッと現役引退するなんて無理です。
年齢とともに徐々に仕事量を減らしていく、「ソフトランディング」を選択することになるのでしょうね。
隠居生活もたぶん、中途半端になりそうです。