残業2,000時間OK

「勤労統計」問題に揺れる厚労省で今日、「第16回 医師の働き方改革に関する検討会」が開催されました。

この検討会は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2634.html" target="_blank" title="先月">先月</a>には3回も行われ、そろそろとりまとめようという急ピッチな動きが見られます。

やはり「地域医療確保暫定特例水準」として、年1,900〜2,000時間の時間外労働を認める方向のようです。

医師の労働時間を規制すると地域の医療に影響するので、特例で長時間労働を認めようという考え方です。

2,000時間というのは、「過労死ライン」とされる月80時間(年960時間)の2倍を超える残業時間ですよ。

こういったことは多少は報じられていますが、不思議なことに、社会問題としては大きくならないですね。

他の業種では、いくらクライアントに求められても、今後は長時間労働が厳しく規制されることになります。

お役所等でも、いくら市民がサービスを求めても、長時間労働はきちんと規制されることでしょう。

しかし勤務医は、患者が医療を求める限り長時間労働をしなさい、ということなのです。

少し忙しい労働者の残業は規制しても、すごく忙しい労働者の残業は規制できない、ということですか。

「連続勤務上限28時間」と「インターバル9時間」を守っても、年間2,300時間は残業できるとする厚労省。

これは、医師が常に連続28時間働き、その9時間後に出勤して、また28時間働くとした場合の想定値です。

それと比べれば、2,000時間などは「さらに時間が短縮された働き方」だと厚労省はバカなことを言うのです。

さらに問題は、その大甘の残業規制すら遵守せず、サービス残業が横行する懸念です。

私が大学病院に勤務していた頃も、たぶん年に2,000時間以上残業していましたが、その記録はありません。

記録がないどころか、残業手当は1円も出ませんでした。

大学病院においては、時間外労働という概念が、少なくとも当時(90年代まで)は、皆無だったのです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-70.html" target="_blank" title="教育機関">教育機関</a>というのが建前なので、医療行為で残業しても、労働とはみなされないからです。

表向きの2,000時間という数値にも呆れますが、その規制の枠外の医者もたくさんいるということです。

ついにゾフルーザ処方

今頃ですかと言われそうですが、当院では今日初めて抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」を処方しました。

その有効性や安全性を疑っているわけではありませんが、この新薬には、あえて手を出さないできました。

今年のインフルエンザウイルスが特殊なわけではないので、従来薬でも従来通りの効果があると思うからです。

しかしこの数日、インフルエンザが全国的に流行する中、テレビではゾフルーザの話で持ちきりです。

従来の薬と比べて下熱が早いだの、ウイルス消失が早いだのと、コメンテーターらはしきりに持ち上げます。

唯一の欠点は薬が高額なことですが、3割負担で数百円の違い「しか」ない、という論調です。

ここまで報じられるともう私も、ゾフルーザを避けて通るわけにはいきません。

ところで、報道番組等ではよく、3割負担の場合の薬価(薬の価格)について、次のように比較表示します。

成人で3割負担の場合、タミフルの816円、イナビル1284円に対して、ゾフルーザは1437円だと。

しかし実際には、それ以上に価格差が開く場合があることも付け加えておくべきでしょう。

タミフルはジェネリックなら408円ですが、ゾフルーザは体重が80キロ以上だと2874円に跳ね上がります。

これは大きな差です。なので私は、80キロ以上の方に限っては、ひとこと薬価の話もするようにしています。

でも、「新薬は高いけど使います?」みたいな確認をすることが、医学的に正しいのかは疑問です。

あと、前にも書きましたが、40キロ以上は2錠、80キロ以上は4錠という<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2346.html" target="_blank" title="用量設定">用量設定</a>も、いかがなものか。

もっともよく遭遇する、60〜80キロ未満の方には3錠処方したいところですが、規定では2錠なんですよね。

この用量設定は、早急に改定されるべき点だと思います。

診療予約制限への苦情

「19時まで診療するはずなのに、予約が一杯だからといって受付を1時間も前に打ち切るとは何事か」

最近、そのような趣旨の苦情を頂戴しました。

当院の対応のまずさが第一の原因であり、まことに申し訳ないことだと思います。

しかし、予約の受付はどこかで区切らなければなりません。そのことを納得してもらうのは難しいものです。

1人の患者さんの診察等に、私は5〜7分の時間を要しています。実際の診療内容からそのように計算できます。

短めに5分としても、1時間に12人しか診察できません。

平日の診療時間は19時までなので、15時から始まる午後の診療予約受け入れ数は、48名がメドになります。

実際には重症患者が何人か割り込むので計算通りにはいかず、例えば今日の診療を終えたのは20時でした。

実は開院当初の数年間は、診察の予約を何時になっても制限無く受け付ける「青天井」で臨みました。

私が院内に居る以上は診療を拒まない、いわゆる「応召義務」を愚直に遵守したものです。

そのため冬場には、21時を過ぎるどころか23時近くまで診療することもしばしばでした。

標榜診療時間が17時までの土日祝日でも、診察終了が22時台になることは珍しくありませんでした。

しかしさすがに、それを何年も続けるのは厳しくなってきました。ひとつは私の体力的な問題です。

さらに「働き方改革」が叫ばれる昨今、職員に毎日長時間の残業を強いるわけにはいかなくなりました。

そこで最近、午後の予約人数が一定数を超えた時点で、予約受付を原則としてお断りすることにしたのです。

この時期、14時過ぎには夜まで予約が埋まることも多く、受付を早々と打ち切るのは断腸の思いです。

しかしよほど重症の方を除いて、自宅で様子を見ていただくようにお願いしています。

当院はまだ、予約受付をお断りすることに慣れていないので、説明の仕方が下手なのかもしれません。

以前は時間制限無く受付していたので、当院が予約受付を断るはずがないと思われている可能性もあります。

患者さんにとって不便・不都合な方向への診療体制の変化は、なかなか受け入れられないのかもしれません。

標榜している時間(平日19時まで、土日祝17時まで)は目一杯診療しますので、どうかご了承願います。

きつねのお稲荷さん

「きくかわ稲荷(いなり)、良かったですよ〜」と職員が言うので、「ほお」と私。話の続きを聞きます。

どこか、ひなびた所にある「お稲荷さん」なのか、まさか「いなり寿司」の話だったりして、と思いながら。

でも会話を続けるうちに、かみ合わなくなってきます。で、よく聞くと、え?「菊鹿ワイナリー」?

昨年11月に山鹿市菊鹿町にオープンした、菊鹿ワインの醸造所と周辺施設のことですか。知らなかった。

菊鹿町は「キクカマチ」であって「キッカマチ」ではないので、ワイナリーも「キクカワイナリー」です。

URLが “kikuka-winery.jp” なので間違いありません。

でもその親会社(?)の「熊本ワイン」のサイトには、 “kikka wine” とあります。

つまり、会社名は地名に準じて「キクカ」だけど、商品名は「キッカ」なのでしょう(部外者の意見です)。

「菊鹿シャルドネ」は、数年前に漫画『神の雫』で紹介されて以来、品切れ続きの人気ワインとなりました。

人気ならば飲んでみようというのが私流。当時、熊本ワインにまで出かけて、何本か購入しました。

醸造などの製造工程を見学できる小ツアーもあり、ひととおり眺めて廻りました。

あれからしばらく菊鹿ワインにハマりましたが、やがてマイブームは赤ワインへと移りました。

形から入るタイプなので、思い切ってワインセラーを購入。以来、赤ワインの日々が始まりました。

ところがその赤ワインも、熊本地震をきっかけに急速に興味が失せてしまったのでした。

あの地震って、つくづく人の楽しみとか興味とか価値観を変えてくれましたよね。

機内安全ビデオ

いま静かな話題になっているのが、ANAの「歌舞伎ビデオ」。ファンの間では大いに盛り上がっています。

離陸直前に機内で放映される、機内安全ビデオのことですね。先月、大胆にリニューアルされました。

私も何度か見るうちに慣れましたが、最初は驚きました。こんなの流して大丈夫なのかと思うほど。

初回は、食い入るように見入ってしまいました。なにしろ斬新で奇抜。一歩間違えれば、おふざけビデオです。

ところが、演じているのが本物の歌舞伎俳優なので、表情や挙動のひとつひとつが、しっかりしてる。

そのシュールな「演目」を鑑賞し終わったところで思います。もう一度見たいと。

2回目の搭乗では、見る気まんまんで臨みました。俳優の演技のディテールに、あらためて感銘を受けます。

3回目あたりでようやく、ビデオが言わんとする内容(=機内安全)の方に意識が向きます。

これまでに都合5回ほど鑑賞しましたが、もう、違和感はありません。5回目はこっそり撮影録画しました。

江戸時代に旅客機が飛んでいたら、きっとこんなビデオになるんだろうなとさえ、思ってしまいます(うそ)。

以前のビデオでは、救命胴衣を口で膨らませるのは「まねごと」でしたが、歌舞伎ではホントに吹いてます。

そういうところも含めて、何度見ても飽きない、良い作品に仕上がってます。

機内安全ビデオなんて、これまで真面目に見てなかったのに、いまは毎回、ガン見です。

他の乗客もみな、しっかり見てる様子。こりゃあANAさん、大正解でしたね。

流感は普感を駆逐する

「流感」とは、「流行性感冒」つまりインフルエンザのことですが、この言葉、最近はあまり使いませんね。

「普感」とは、「普通感冒(普通の風邪)」のことを略していま私が作った言葉です。無理がありますか。

インフルエンザが全国的に流行しています。

熊本市でもおそらく、今週あたり「注意報レベル(週に10人以上)」になるものと推測(体感)します。

少なくとも当院では、すでにこの土日で、「警報レベル(週に30人以上)」のペースに達しています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2572.html" target="_blank" title="インフル高感度検査装置">インフル高感度検査装置</a>はフル回転です。検査が追いつかず、従来の迅速検査キットも同時使用しています。

病状と状況から疑いが濃厚な場合、検査はしばしば省略しますが、それでも検査件数は相当数に上ります。

毎年思うのは、インフルエンザが流行し始めると、インフルエンザ以外の感染症が減るということです。

もちろん実際には今日も、溶連菌感染や水痘や急性胃腸炎の患者も来院しました。

しかし少なくとも普通の風邪の方は、先月までよりも減っています。こんなに寒いのに。

どうやらこの時期、軽微な風邪で安易に病院を受診するのを控える人が多いようです。

それは、病院で「インフルエンザをもらう」リスクがあると考えるからです。ある意味、正しい考え方です。

そんな理由で受診を控える程度の病状なら、そもそも最初から受診する必要はないと考えてもよいでしょう。

インフルエンザの流行期が終わっても、同じ考え方でよいはずです。

インフルの検査と治療

年が明けて、当院は今日から診療を開始しましたが、インフルエンザは年末からの流行が止まっていません。

近隣の救急病院等の情報でも、今年に入ってインフルエンザ患者がとても増えているようです。

さらに、今シーズンに限った話ではありませんが、熱や症状だけでは判断できないケースが多いですね。

極端なのが、熱の出ない(まったく平熱の)インフルエンザ。症状は軽い風邪症状のみ。けっこう元気。

インフルエンザに罹っている家族がいるということで、念のため検査したらA型陽性。

検査しなければインフルとは疑わず、本人にもその自覚がないので、周囲への感染源となります。

インフルエンザの疑いのなさそうな方に、保育園や職場の事情で「念のため検査」を行うのには反対です。

しかし、疑うべき医学的状況があれば、念のために検査をする意義はあります。その判断は難しいですけど。

インフルエンザに罹っても、必ずしも抗インフルエンザ薬で治療する必要は無い、という考え方があります。

たしかに、2001年にタミフルが発売されるまでは、そのような便利な薬はこの世にはありませんでした。

たいていの場合、タミフルを飲まなくてもインフルエンザは治ります。

しかしそれでも、私がほぼすべてのインフルエンザ患者に抗インフルエンザ薬を処方する理由は、

・少しでも早く治し、社会復帰を早める

・少しでも合併症を減らし、生命予後を改善する

・少しでも周囲への感染力を減らし、流行の拡大を抑える

どれも少しの違いですが、一定の評価を得ている薬がある以上、使わない手はない、というのが私の考え方。

ただしインフルエンザかどうかを確定させてから薬を使いたいので、検査もできるだけ行う方向なのです。

Appleショック

東京株式市場では、大発会日の株価は上昇することが多いそうですが、今日は記録的な下落となりました。

「Appleショック」によって、昨日のニューヨーク株式市場でダウ工業株平均が大幅に下落した影響です。

Appleは、中国でのiPhoneの販売減速を理由に、業績を大幅に下方修正しました。

それもこれも、米中の貿易摩擦(というか覇権争い)が原因。トランプも習近平も、いいかげんにしなさいよ。

Apple製品なんて、ほとんどは中国で製造(組み立て)しています。米中はお互いに依存しあってるのです。

しかも米中の関係が悪化すれば両国が損をするだけじゃなく、日本にもとばっちりが来るのです。

そのような業績悪化を懸念して株価が下がったAppleは、ついに株価総額の首位を奪われてしまいました。

かわってトップに躍り出たのはMicrosoftです。Windowsよりも、クラウドサービスが好調のようです。

Microsoftなんていうのは、Apple信者的に言えば、MacのOSを盗んでWindowsを作って成功した会社です。

そのMicrosoftに破れて破産寸前のAppleが、見事に復活してついに宿敵を抜き返した歴史があるのです。

でもMicrosoftは意外と堅実に仕事していたようで、このたびまたAppleを抜いたというわけです。

そういえば今日、安倍首相は、新元号は4月1日に発表すると表明しましたが、あれもどうかと思います。

私はたまたま自民党保守派と同じ意見なのですが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2508.html" target="_blank" title="新元号の発表">新元号の発表</a>は、遅ければ遅いほど良いと思っています。

「国民生活への影響は最小限に抑える」と首相は言いますが、直接的にはWindows問題じゃないですか。

官公庁などのシステム改修において、Windowsの更新期限が4月1日だからだと報じられているからです。

でも5月改元はずっと前から決まってること。Windows問題の回避策は考案できなかったのでしょうか。

シェアに物言わせて、結果的に新元号の発表時期にまで干渉した形のWindowsには、どうも納得いきません。

地震と台風

熊本でまた大きな地震があったことは、あとで知りました。どうやら大きな被害はなかったようで、なにより。

ただし、いまだに線路上に停止した新幹線の車両の中には、取り残された人がおおぜいいるようです。

熊本空港も一時離着陸が止められましたが、その後は復旧。私も無事、羽田から戻って来ることができました。

夕方が地震なら、今朝は台風です。

私が今朝マレーシアから搭乗したANA便は、行く手を阻む台風を大きく迂回する航路をとって帰国しました。

地震や台風の発生時期と場所がもう少し違ってたら、私はいま東京かクアラルンプールにいたことでしょう。

その「台風1号」の話です。元日に発生したそうで、これは統計開始(1951年)以来「初めて」とか。

「これまでで最も早い発生だ」などと報じられています。でも、何をもって「早い」というのでしょうね。

科学的には気象とは関係のない1月1日という日付で、台風の「発生年度」を区切っていいんでしょうか。

たとえば「初雪」だって、1月1日以降の最初の降雪のことを言うワケじゃないですよね。

1月1日に初雪が降ったから今年は雪が早いね、て言う人はいませんよ。

そんな疑問を感じて調べていたら、ある気象予報士の方が書いていました。1月区切りは意味がない、と。

台風の発生機序を考えたら、北半球の気温が最も低くなる2月下旬が「台風年度」の区切りだと。なるほど。

これを初雪に当てはめるなら、日本の気温が最も高くなる季節(=夏)以降の最初の降雪、となるでしょう。

そう考えると、元日の台風発生よりも、2月の台風の方がよほど珍しいということになります。

で、件の台風1号はいま、タイとマレーシアの間(タイランド湾)を、西向きに進行中です。

「日本への影響はありません」と報じられてますが、「日本人への影響」なら少しはありましたからね。

真冬に南国に行く

真冬の日本から、常夏のマレーシアに移動した今回、直面したのはその気温のギャップです。

そのことは当然わかっていたので、服装についてはネット情報等を参考にして、周到に計画したつもりです。

今後同様の旅行をする方のために、一部反省点も込めて、私の経験を記載しておきます。

一般にこういうときオススメの防寒着は、ユニクロの「ウルトラライトダウンジャケット」となっています。

たたんで専用の袋に入れると、とても小さくにまとまり、機内持ち込み用のスーツケースにも入れられます。

なので最初は私もそれを買うつもりでしたが、実際に店舗で見てみると、う〜ん、なんていうか、アレです。

旅行の時だけとはいえ、還暦近いオッサンが着るのは少しはばからる雰囲気なのです。それ以前に、寒そう。

あれこれ悩んだ末に、メジャーなアウトドア用品メーカーの、しっかりしたダウンジャケットを購入しました。

もちろん、某店舗で試着してサイズと見た目を確認した上で、帰宅後にAmazonで発注しました。

自宅から空港までは、そのゴツいジャケットを着て、福岡空港のラウンジで脱ぎ、圧縮袋に入れて縮めました。

圧縮すれば機内持ち込みスーツケースに入ることは、あらかじめ確認済です。

コート類を空港に預ける方法もあるのですが、今回は出国が福岡で入国が成田なので、それは不可能でした。

ダウンジャケットの下は、冬の空港内や機内の冷房程度には対処できるように、薄手の長袖です。

その下は、南国仕様の半袖ポロシャツ。上から順に脱いでいくという、いわゆる「タマネギ方式」ですね。

でも実際には、仁川もクアラルンプールも、空港内はジャケットがほしくなるぐらい寒かった。

クアラルンプールの屋外は蒸し風呂のように暑いのですが、その反動か、屋内は冷房が効きすぎてます。

かといって本格的なダウンジャケットは、空港内で使うためだけにはオーバースペック。かさばるし暑すぎ。

こういうときは、ササッと脱ぎ着できてたたむとコンパクトな、薄手のダウンジャケットがいいですね。

結論。旅行中に一時的に使う防寒着には、ユニクロの「ウルトラライトダウンジャケット」が一番。