幻のゾフルーザ顆粒

体感的には峠を越えたように感じるインフルエンザの流行ですが、地域によってはまだ、これからでしょう。

先日来、そして今日のNHKでも盛んに報じているのは、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の耐性問題。

数日前にも書いた通り、他の薬よりも耐性ウイルスが生じやすいのが問題だといわれています。

抗インフルエンザ薬は「耐性ウイルスが出ることを考えて慎重に選択すべき」だと専門家は言います。

でも「慎重に選択」せよと言われても困ります。具体的な指針を、学会には打ち出してもらいたい。

私が処方する際は、薬の特徴を簡単に説明して患者さんに選んでもらうのですが、次のような回答になります。

(1)新薬をお願いします

(2)従来の薬でお願いします

(3)先生にお任せします

ゾフルーザの処方に年齢制限はなく、体重さえ10キロ以上あれば10ミリ錠を1錠処方できます。

12歳未満の場合、20キロ以上なら20ミリ錠を1錠、40キロ以上なら20ミリ錠を2錠です。

でも10キロ台と言えば1〜6歳児の体重。錠剤が飲める子はあまりいません。

実はゾフルーザには、「顆粒2%分包」という製剤があります。1包=10ミリ錠1錠に相当する成分量です。

体重10キロ台の、錠剤の飲めないお子さんにも使える便利な剤形、に思えます。

ところがその顆粒は、20キロ以上のお子さんに限定して販売が承認されてしまいました。

つまり、20キロ以上なら錠剤か顆粒を選べますが、10キロ台だと錠剤しか処方できないのです。

そんなバカな。顆粒1包は10ミリ錠1錠と同じ用量なんだから、10キロ台の子どもには顆粒を処方すればいい。

・・・という考えの医者が出現する可能性を考慮して、メーカーは結局、顆粒の発売を延期してしまいました。

「適応外使用」のリスクを回避するためだそうですが、どうしてそんな杓子定規なことしますかねぇ。