統計不信

厚労省の毎月勤労統計のみならず、他省庁の基幹統計でも、その4割で誤りが見つかったとのこと。

このような重要な統計は政策を左右する情報なのに、それを官僚が都合良く操作したのではどうしようもない。

マスコミはこの件を厳しく非難していますが、でも私に言わせれば、同じ穴のムジナです。

たとえば報道番組でよく使われる「街の人に聞いた結果」には、結論を誘導するインチキが目立つからです。

勤労統計が3分の1の抽出で行われたのが問題なら、少人数の意見を国民世論のように報じるのはどうなのか。

少なくともテロップで、「個人の意見です」ぐらいは表示しておくべきでしょう。

街角アンケートの集計程度では、国民全体の意見を推計する結論は出せないと言いたいのです。

それとは反対に、たった1つのケースでありながら医学的にはとても有意義な報道を、最近目にしました。

インフルエンザに罹った子どもの「異常行動」についてNHKが大きく取り上げていた、ある家族の事例です。

その母親がジェスチャー付きで、時系列を明確にして、7歳の子どもの病状経過について語るには、

(1)発熱後に、天井に向かって叫び続け、壁に向かって走り出した

(2)病院を受診して、インフルエンザと診断された

(3)抗インフルエンザ薬の処方を受けて下熱し、異常行動は消えた

ここで重要なのは、異常行動が治療よりも前であったということです。この前後関係はきわめて重要です。

少なくともこのケースでは、異常行動と抗インフルエンザ薬とは無関係であることが証明できるからです。

過去の多くの事例で「熱→薬→異常行動」の順番だったために、薬が濡れ衣を着せらてきた経緯があります。

このたびNHKがわかり易い反例を報じたことは、メディアが真実を認めつつあることの証かもしれません。