あ・らへん

女の子のお腹を触診しながら「どこが痛い?」と訊くと、「真ん中らへん」という返答。

若者言葉でよく耳にする「らへん」ですが、目くじらを立てるほど嫌いな表現じゃありません。

それが間違いなのはわかっています。

「ここらへん」=「此処等(ここら)+辺(へん)」を、「此処+らへん」のように誤解した結果です。

このように誤った解釈で言葉が変化する現象を「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1601.html" target="_blank" title="異分析">異分析</a>」と呼ぶことは、前にも書きました。

異分析はたいてい、言葉の分かりやすさや使いやすさを追求した結果なので、しばしば親しみがもてます。

「等(ら)」と「辺(へん)」を重ねた「らへん」には、よりアバウトに表現しようという遠慮を感じます。

若い方に何かを尋ねると、「あ、○○です」と、冒頭にいちいち「あ」が付くことがありますね。

将棋の藤井聡太七段も時々、そのようなしゃべりをしているのをテレビで見かけます。

「ああそれは」を短縮した形の「あ」なのか、ワンクッション置いて答えようとする表現なんでしょうね。

若い人は敬語や婉曲表現に自信が無いので、それを補おうと、新表現を繰り出してくる傾向があります。

「大丈夫ですか」とか「よろしかったですか」などもみな、その範疇と言えるかもしれません。

冒頭の女の子に、腹部を押さえながら「痛い?」と訊いたら「あ、痛い」と、「あ」付き表現。

すかさず「誰に会いたい?」とツッコんだのですが、スルーされました。