個性的な医薬品名

当院初診の高血圧の患者さんが、前医で「アテレック」という降圧剤の処方を受けていました。

私はこの薬を処方したことが過去に一度もなかったので、新鮮というか、どうにも違和感がぬぐえません。

なぜなら、日頃よく処方する抗アレルギー薬「アレロック」に、名前が似ているからです。

「アレロック」は、アレルギー症状をブロックする、という意味から命名されています。わかりやすい。

一方で「アテレック」は、「動脈硬化(arteriosclerosis)」が由来だそうですが、ちょっとピンときません。

それよりも、「無気肺(atelectasis)」の意味で、「アテレク」という言葉を医療現場ではよく使います。

なので「アテレック」という薬が、気管支拡張剤だったら、しっくりくるんですけどね。

そう言えば昔、「アロテック」という気管支拡張剤がありました(今は販売中止)。これも名前が似てます。

調べてみると実際に、「アレロック」と「アテレック」の処方の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-799.html" target="_blank" title="取り違え">取り違え</a>事例もあるようです。

単に「ア」と「レ」と「ク」が共通しているだけでなく、「ンンンック」ていう構造も似てますよね。

医薬品に限らず、世の中には「ンンンック」がずいぶん多い気がします。だから妙に落ち着くんですかね。

アイマック、クラシック、マニアック、エスニック、カトリック、SIMロック、紙パック、四苦八苦・・・

薬の取り違えでは、薬剤名の冒頭の2文字とか3文字が同じ場合などが問題にされます。

とくに「一般名」は似た名称だらけです。同一系統の薬物はみな、似たような一般名なのでしかたありません。

たとえば抗生剤「セフカペンピボキシル」と「セフジトレンピボキシル」は、ややこしい上に似ています。

でもそれらを商品名(先発品名)にすれば、「フロモックス」と「メイアクト」です。個性的で覚えやすい。

後発医薬品が増える中で、先発品のネーミングセンスこそが、取り違え事故を防ぐための要かもしれません。

適度なストレス

人間は生きている限り、何らかのストレスを、しかも複数のストレスを受けていると感じているはずです。

それは自分自身の内面的な部分であったり、明らかに外的なモノ、人や物事であったりします。

家族や、知人友人、同僚、近隣住民、それ以外の多くの人物からも、ストレスを受けるでしょう。

地域や国、他国、地球、宇宙の何かからも、ストレスを感じている人がいるかもしれません。

最近ある人から、「毎日ブログを続けるって、ストレスじゃないですか?」と尋ねられたので、驚きました。

いや、もちろんそれは、ストレスかもしれませんが、そう感じていない自分に驚いたのです。

いや、そうじゃなくて、たぶんストレスを感じているのでしょうけど、悪い意味のストレスじゃないのです。

肩のマッサージを受けていると、少々痛くて苦痛なんだけど気持ちいい、「イタキモ」な気分になりますね。

あれと同じです。ギリギリの痛さといいましょうか、ギリギリのストレスなのです。

高血圧の治療をしている方には、朝晩の血圧を自宅で測って、専用の手帳に記録してもらっています。

それを折れ線グラフに描いて持ってきていただければ、月に1回の診療の際に、大いに役立ちます。

もちろん、グラフ化どころか、月に1回か2回しか血圧を測らない方もいますが、まあ無理は言いません。

一方で、朝晩の血圧推移を、きちんと折れ線グラフに描いて来る方も、もちろん大勢いらっしゃいます。

なかには、1日3回以上の血圧測定を自らに課し、極めて精細なグラフに仕上げる方もいます。

いずれにせよ、血圧記録・測定にストレスを感じるのでは、高血圧治療にとっては逆効果。

どうか記録はほどほどに。大まかな経過がわかればいいので。もちろん、マニアックなグラフも歓迎しますが。

高感度インフル検査

インフルエンザがボチボチ出始めました。近隣の某中学校で流行しているとの情報もあります。

治療の前段階として、外来でインフルエンザかどうかを診断するための迅速検査法も、徐々に進化しています。

最近はとくに、発症(発熱)からの時間経過が短い方でも判定できる、高感度の検査法が広がりつつあります。

当院も遅ればせながら、高感度で判定できる新しい検査装置を購入しました。

これによって、「発熱したばかりなので明日また来てください」と言うことは、今後少なくなるはずです。

もちろん、病状や状況を考慮して、インフルエンザの可能性がある方しか、検査はしませんが。

「5秒で正確判定可能なインフルエンザ検査機器を発売」 先日、医師系サイトでこんな記事を目にしました。

大塚製薬とデンカ生研が発売した、読み取り装置「クイックナビリーダー」です。

5秒とは驚異的。これはインフルエンザ診療にパラダイムシフトを起こすのではないか、とさえ思いました。

ところが、違うのです。5分間待ってから読み取り装置に挿入したら、5秒後に表示が出るという意味でした。

装置の動作時間が5秒というだけであって、検査全体に要する時間は別です。これって誇大広告じゃないの?

新型インフル流行の頃からでしょうか、インフルエンザの検査がやや過剰で、世の中が神経質になっています。

幼稚園や学校のみならず一般企業までが、念のためのインフルエンザの検査を求めます。

これは、医療費の無駄遣いというだけにとどまりません。早すぎる検査には別の問題もあります。

陰性判定=インフルエンザではない、とのお墨付きを与えることになりかねないからです。

そのような、偽陰性問題を解消する意味でも、高感度検査装置には期待しているところです。

免震装置データ改ざん

大手油圧機器メーカー「KYB」による、免震・制振装置のデータ改ざん問題には、驚くばかりです。

「不正担当」社員の間で、秘密裏に改ざんが引き継がれていたようですが、経営陣の関与はあるのでしょうか。

シェアの大きい企業だけに、不適合品の使用範囲はきわめて広く、日本中の重要な建造物に及んでいます。

国交省は「震度7の地震でも倒壊の恐れはないので、安全性に問題はない」と表明し、無知を晒しています。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1665.html" target="_blank" title="震度階級">震度階級</a>って7までしかないのですよ。熊本地震の震度7の、100万倍の強さの揺れでも、震度7ですよ。

「震度7の地震でも倒壊しない」というのは、どれほど巨大な揺れでも倒壊しないと言うことに等しいのです。

国交省所管の気象庁の地震担当者が聞いたら(もう聞いてるでしょうけど)、呆れますよ。

無知に加えて、この事件の対象が広すぎるためか、問題を矮小化したい意図があるのかもしれません。

東日本大震災のときもそうでしたが、危機的な大問題に対してお役所は、どういうわけか平静を装います。

監督責任逃れなのか、事なかれ主義なのか。それとも国家機関が、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2101.html" target="_blank" title="正常性バイアス">正常性バイアス</a>に陥るものなのでしょうか。

東京オリンピックを誘致する際の、安倍首相の “<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2250.html" target="_blank" title="under control">under control</a>” だという発言も、まさにそれでしょう。

言霊の国ですから、願望を口にすれば叶い、不吉な事を喋れば災いを呼ぶのです。

建設中の新しい熊本市民病院にも、KYBの不正な免震オイルダンパーが使われていることが判明しました。

熊本地震で事実上倒壊し、そこからの復興のシンボルとも言える<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1684.html" target="_blank" title="新病院">新病院</a>が、いい面の皮です。

市民病院のサイトには、「工事の進捗状況」として、写真が掲載されています。

そのうち6月30日撮影分の、「免震工事」と題した少々誇らしげな写真が、今となっては痛々しいばかりです。

パスポート偽造で詐欺

積水ハウスが55億円をだまし取られた「地面師詐欺」事件は、なかなか興味深い。まるで小説ですね。

その筋書きを、少しデフォルメして書いてみると、こんな感じですか。

・誰もがほしがる好立地だが、地主がどうしても売ろうとしない土地が、都会のど真ん中にあった

・その土地の売買話を、ひょんなところで知り合った仲介業者から持ちかけられ、前のめりに契約した

・地主が本人であることを証明する公正証書を持っていたので、多少おかしな点はあっても、疑わなかった

地主になりすましたのは、パスポート偽造→印鑑登録・印鑑証明取得→公正証書取得、という手口でした。

スパイ映画の世界では、偽造パスポートなど当たり前のツールですが、現実に国内でも使われてるんですね。

おりしも今日は、偽造しにくい「次世代パスポート」を外務省が導入する計画も、報じられていました。

もしかすると現在のパスポートは、プロの手にかかれば簡単に偽造できてしまうのかもしれません。

ただし今回の事件では、詐欺を疑う不審な点がいくつも見過ごされており、むしろそっちの方が問題でしょう。

・本当の地主からの連絡(内容証明郵便)は、「怪文書」と見なして無視した。

・警察に相談した本当の地主の行為を、「取引を妨害しようとしている人の仕業」と判断した。

地主が本人であると最初に信じ込んだら、それからはもう、多少不自然なことがあっても疑わなくなるのか。

そこが詐欺グループの狙いであり、巧妙さなんでしょうね。これはホントに、映画になりそうです。

自動運転車に追突

自動車運転中には、自分がいくら安全運転を心がけても、自分に過失のないもらい事故に遭うことはあります。

昨日は、路地から出てきた車にぶつかりそうになり、ヒヤッとしました。

車が出てきそうな状況はわかっていましたが、当然、私の車が通り過ぎるのを待つだろうと思っていました。

ところがその車の運転手は、明らかに私の車に気付いていながら、私の前に割り込んできました。

無理に割り込めば、私が急減速するだろうと思っていたのでしょうか。現に、私は急ブレーキをかけました。

ただ、運転手はかなりご高齢の方のようで、単なる不注意または判断ミスだったのかもしれません。

もっと怖いのは、対向車線の右折待ちの車です。直進する私の前に飛び出されたら、大事故につながります。

相手の判断力、運動神経、覚醒状態、そして良心など、あらゆる状況が適正であることを願うしかありません。

最近、自動運転の実験車両が関連した交通事故が、しばしば報じられます。

自動運転技術が未完成だというのなら、まだわかりますが、人間との相性の問題もあるようです。

今年8月、Appleの自動運転実験車(レクサスRX450h)が、一般車に追突される事故がありました。

幹線道路に合流しようと時速1マイル以下で徐行中だった実験車両に、前方不注意の車が追突したようです。

実験車には落ち度のない、もらい事故だったわけですが、事故を誘発した可能性はないのかが気になります。

あまりにも極端な徐行運転が、後続車を運転していた人間の常識の範囲を超えていたのかもしれません。

やがて市中には、自動運転車が混じり始めるでしょうけど、その非人間的な運転には惑わされそうです。

マックとミスド

こんどこそ、消費税率が上がるのでしょうか。来年10月から、ついに10%になる方向のようです。

まあ、まだ確定じゃないですけどね。政治的駆け引きで、直前になってまた延期されるかもしれませんから。

今回は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1009.html" target="_blank" title="軽減税率">軽減税率</a>が導入されるので、前にも書いた通り、けっこう面倒なことになりますよね。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1531.html" target="_blank" title="テイクアウトは軽減税率で、イートインは標準税率">テイクアウトは軽減税率で、イートインは標準税率</a>」って規定の線引きには、ツッコミどころ満載です。

たとえばファストフード店で節税したいなら、とにかくいったん店の外に出ることでしょう。

「軽減税率が適用される取引かどうかの判定は、飲食物を提供する時点で行う」と国税庁のサイトにあります。

つまり、店員の「お持ち帰りですか」に対して「はい」と答えた時点で、軽減税率確定ってことでしょう。

そのあと気が変わって店内で食べたとしても、それは持ち帰りのバーガーをたまたま店内で食べたに過ぎない。

たぶん店内には、「お持ち帰りのバーガーは、店内では食べないでください」みたいな掲示が出るでしょうね。

だから商品を買ったら、いったん外に出るのです。となると、駐車場の車の中で食べる人が出てきますね。

すると「お持ち帰りのバーガーは、駐車場では食べないでください」という掲示が張り出されますね、きっと。

あるいは、モスのバーガーを買ってきて、マックの店内に持ち込んで食べるヤカラが現れるかもしれません。

こうなると、税率はともかくとして、迷惑行為ですね。

でも、店側が故意に他店の商品を持ち込ませ、食べる場所を提供するサービスなら、登場するかもしれません。

たとえばファストフード店が隣接している場合、両店が結託して、互いの店内で食べさせるという手もある。

当院の隣にあるサンピアンだと、マクドナルドとミスタードーナツの店舗がちょうど、向かい合ってます。

この場合、マックのバーガーをミスドで食べれば、当然、持ち帰り扱いなので軽減税率が適用されますよね。

「イートインの方は当店で、テイクアウトの方はあっちの店で食べてください」

店員がそのように案内し、客はゾロゾロと向かいの店に移動する。面白い風景ですね。

太陽光発電の出力制御

北海道胆振東部地震では、大規模停電「ブラックアウト」が起きました。

主力発電所の停止によって北海道全体で電力供給量が急減し、需給バランスが大きく崩れたのが原因でした。

九州電力は昨日と今日、大規模停電を防ぐために、太陽光発電の「出力制御」を実施しました。

北海道の件とは逆に、電力供給が多すぎて需給バランスが崩れるのを防ぐための措置だといいます。

土日で電力のオフィス需要が減るのに、好天で太陽光発電量が増える見込みだったからとか。

需要を増やせというなら、スマホとノートPCをフル充電するぐらいの協力はできますが、焼け石に水ですか。

なんなら家人を説得して、家中の衣類にアイロンがけをしてもらいますけど、それでも間に合いませんか。

理屈は理解できますが、太陽光がせっかく発電してくれるというのに、なんとももったいない話です。

原発は稼働させておきながら太陽光発電の方を先に止めるということも、わかっちゃいるけど複雑な心境。

発電量が需要を大きく上回りそうなとき、大規模なバッテリーに蓄電するようなシステムはないのでしょうか。

科学技術が進歩したというのに、いまだにそのような蓄電システムが作れないとはどういうことなのか。

さいわい、世の中が電気自動車にシフトしていけば、至る所に大容量の蓄電池が増えることになります。

バッテリーの単価もどんどん下がるでしょうから、加速度的に世界中の蓄電量が増えていくことでしょう。

太陽光発電の固定価格買取期間が、やがて終了します。いわゆる「2019年問題」です。

その後は九州電力に買いたたかれることになります。わが家の場合は2年後です。

この機会に、自宅に太陽光蓄電池システムを導入するのも手かもしれませんね。社会のためにもなるだろうし。

風疹ワクチン同時接種

首都圏を中心とした風疹の流行を受けて、ワクチンの接種を希望する若夫婦などが、ときどき来院されます。

生ワクチンなので、妊婦さんが接種することはできません。どうか、妊娠前に接種してください。

授乳中の方なら、むしろ最優先の接種対象です。もちろんその場合も、夫婦でどうぞ。

講談社の漫画アプリが、医療漫画『コウノドリ』の風疹エピソード部分を、緊急無料公開しました。

さっそく読んでみましたが、さすがです。読むとワクチンを接種したくなります(たぶん)。

単に漫画を使って学術的な解説をするのではなく、感動的なストーリーを作り上げているところがミソですね。

日々の診療で、口を酸っぱくしてワクチンの接種を勧めるよりも、漫画の方がはるかに説得力があります。

でも本来こういうことは、国や自治体が、強力に推し進めるべきですよね。テレビでも使えばいいのに。

当院としては、人気漫画のような強力な啓蒙力はありませんが、当院なりにやれることを考えました。

それは、インフルエンザワクチンと風疹ワクチン(またはMRワクチン)の同時接種です。

健康な成人が医療機関を訪れるこの機会を利用して、一気に風疹対策を進めようという作戦です。

通常の同時接種は前もって予約していただく必要がありますが、風疹対策に限っては予約不要とします。

希望すれば全員、インフルエンザワクチンとの同時接種ができることにしました。

ただし、風疹ワクチンは流通量が少ないので、MRワクチンでの接種になる場合が多いことをご了承ください。

風疹ワクチンやMRワクチンはしばしば品不足になります。ご希望の方には早めの接種をお勧めします。

弁護士ドラマ

弁護士モノのドラマが2つ始まったので、観てみました。

月曜がフジテレビの『SUITS/スーツ』で、昨日はテレビ朝日の『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子』。

小鳥が遊ぶところには鷹は居ない、ということで「小鳥遊」と書いて「たかなし」と読むのですか。へぇ。

『スーツ』は視聴率14.2%。そこそこの数字だと言いますが、評判は必ずしも芳しくありません。

たしかに、海外ドラマの『SUITS』と比べたら少しガッカリする完成度ですが、今後に期待しましょう。

できれば、もっと徹底的にオシャレに、キザに、そしてストーリーはもっと重厚にしてもらいたい。

一方の『リーガルVは』は、視聴率の15%こそ拮抗していますが、わりと好評価ですね。私も賛同します。

医者モノの『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1127.html" target="_blank" title="ドクターX">ドクターX</a>』の弁護士版なわけですが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-677.html" target="_blank" title="カタルシス">カタルシス</a>の得られるストーリー展開も悪くない。

癖のあるキャラがあちこちに居て、伏線も十分です。来週も観たくなりました。

初回の印象はどうしても、前評判や期待とのギャップに影響を受ける嫌いがあります。

シリアスで重厚な展開を期待した『スーツ』と、破天荒な主人公の活躍を期待した『リーガルV』の違いか。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1302.html" target="_blank" title="医者モノのドラマ">医者モノのドラマ</a>を観てガッカリするのとは違って、畑違いの弁護士モノは単純に楽しめますね。

少々説明調なセリフが出てきても許せるし、ディテールのあら探しをすることもないですから。