「感染症は、罹って免疫をつけるもの」という考え方は矛盾していると、昨日書きました。
すると今日、そのことについて、もう少し詳しく説明して欲しいとのご意見を頂戴しました。
では、おたふくかぜを例にとって、想定問答をしてみます。
「おたふくかぜに罹って免疫をつけたいとお考えのようですが、その理由は何ですか?」
「実際に罹ったほうが、ワクチンを接種するよりも強い免疫がつくからです」
「では、強い免疫を付ける目的は何ですか?」
もしもその目的が、「2度目のおたふくかぜに罹らないようにするため」なら、おかしな話です。
2度目に罹らないために、1回罹っておくなど、本末転倒と言わざるを得ません。
難聴や髄膜炎や精巣炎などの合併症が心配なら、おたふくかぜには最初から罹らないようにすべきなのです。
毎年100万人が罹患するありきたりの感染症だった水痘は、定期予防接種によって発生数が激減しています。
「罹って免疫を付ける」派の方は、今後は水痘に感染しにくくなって免疫を獲得しにくい時代を迎えます。
幼稚園や学校で水痘に感染する機会を逃し、ついには水痘に罹らないまま成人になる方も増えることでしょう。
成人の水痘って、けっこう重症です。発疹がやたら多いし、肺炎になることもあります。
妊婦さんが感染するともっと大変で、とくに周産期の感染では、新生児の致死率がかなり高くなります。
おたふくかぜも水痘も患者数が減っており、「罹って免疫を付ける」こと自体がもう現実的ではないのです。