積水ハウスが55億円をだまし取られた「地面師詐欺」事件は、なかなか興味深い。まるで小説ですね。
その筋書きを、少しデフォルメして書いてみると、こんな感じですか。
・誰もがほしがる好立地だが、地主がどうしても売ろうとしない土地が、都会のど真ん中にあった
・その土地の売買話を、ひょんなところで知り合った仲介業者から持ちかけられ、前のめりに契約した
・地主が本人であることを証明する公正証書を持っていたので、多少おかしな点はあっても、疑わなかった
地主になりすましたのは、パスポート偽造→印鑑登録・印鑑証明取得→公正証書取得、という手口でした。
スパイ映画の世界では、偽造パスポートなど当たり前のツールですが、現実に国内でも使われてるんですね。
おりしも今日は、偽造しにくい「次世代パスポート」を外務省が導入する計画も、報じられていました。
もしかすると現在のパスポートは、プロの手にかかれば簡単に偽造できてしまうのかもしれません。
ただし今回の事件では、詐欺を疑う不審な点がいくつも見過ごされており、むしろそっちの方が問題でしょう。
・本当の地主からの連絡(内容証明郵便)は、「怪文書」と見なして無視した。
・警察に相談した本当の地主の行為を、「取引を妨害しようとしている人の仕業」と判断した。
地主が本人であると最初に信じ込んだら、それからはもう、多少不自然なことがあっても疑わなくなるのか。
そこが詐欺グループの狙いであり、巧妙さなんでしょうね。これはホントに、映画になりそうです。