佐薬のもどかしさ

子どもに抗生剤を投与するときには、たいていは整腸剤を混ぜた形で処方します。

抗生剤を飲むことで下痢をする可能性があるので、その予防のために、最初から整腸剤を加えておくわけです。

副作用を防ぐために、あらかじめ胃薬や整腸剤を処方しておくことは、保険診療上も認められています。

このように同時投与しておく薬を「佐薬(さやく)」といいます。「佐」は「助ける」の意味です。

佐薬と似て非なるものに、ていうか私には厳密には区別がつきませんが、消炎鎮痛剤と胃薬の問題があります。

アスピリンとかロキソニンとかイブなどの薬を、非ステロイド消炎鎮痛剤(NSAIDs)といいます。

これらの薬は胃粘膜の血流を障害し、胃潰瘍を引き起こす場合があります。

なのですでに胃潰瘍がある方には、熱や頭痛があっても、NSAIDsを処方できないキマリ(禁忌)です。

NSAIDsを飲み過ぎてひとたび胃潰瘍になった方は、胃潰瘍が治るまでは頭痛薬の処方はストップです。

いやいや、NSAIDsと一緒に胃潰瘍の薬を飲めばいいんじゃないの、って思いますよね。

私もそう思いますが、ダメなんです。いったんNSAIDsを中止して、胃潰瘍を治さなければなりません。

そののちNSAIDsの処方を再開したとき、胃潰瘍が再発するのを防ぐためなら、胃潰瘍治療薬を処方できます。

しかし、もしも胃潰瘍がぶり返してきたら、またNSAIDsの処方ができなくなります。この繰り返しです。

それぞれが必要な薬なのだから、用法用量を調節しながらでも同時処方させてもらえると助かるんですけどね。