9月29日のネタとして「苦肉の策」に触れるのは、意外にも、今回が初めてです。
その語源とされている、私の好きな三国志の名場面は、あえて身内を痛めつけて相手をだます計略でした。
偽りのいさかいによって激しくムチ打ちされた部下が敵に偽装投降し、敵陣内で放火を敢行した作戦です。
映画『レッドクリフ』でも描かれた「赤壁の戦い」の中のエピソードなので、結構知られている話ですよね。
投降が偽装であることを悟られないためには、次の条件が重要でした。
(1)ムチ打ちの刑に処されるまでの経緯が自然であること
(2)ムチ打ちの程度があまりにもひどく、敵に寝返ることが自然に見えること
(3)それらの一部始終を、敵のスパイが見ていること
つまり、偽装とは思えないほど重い刑罰を、敵のスパイに目撃させることが、成功の秘訣だったわけです。
身内(=肉)を苦しめれば苦しめるほど、敵はだまされるわけで、ムチ打ちのリアリティーがカギですね。
「苦肉の策」とは、それほどまでに味方を痛めつけることを前提とした計略なわけです。
なので「苦し紛れにひねり出した妙案」ぐらいの意味で「苦肉の策」を使うのは、厳密には間違っています。
苦肉の策とは、「自らを傷つけて相手をだまし、信用させて油断を誘うこと」とすべきでしょう。
その意味では今日のブログも、苦肉の策と言うにはおこがましい、単なる苦し紛れのダジャレネタです。