採血の難しさ

採血に失敗して、患者さんに痛くて不快な思いをさせたことが、最近ありました。

その失敗の瞬間の当方の対応にも問題があり、まことに申し訳ない出来事でした。

患者さんの言い分を聞き、謝罪し、やり直し採血にも成功し、最終的には円満解決しました。たぶん。

血管が出にくい方の採血に失敗することはしょうがないとしても、大事なのはその時の対応なんでしょうね。

好きで採血されているわけでもなく、やたら痛く、それをまた失敗されたのでは、だれでも不愉快です。

小児心臓外科の勤務医時代、手術の前に最初にする準備は、子どもにたくさんの点滴を入れることでした。

手足に点滴を2,3カ所、中心静脈にカテーテルを1,2本、さらに動脈圧監視用の管も入れる必要があります。

同時に複数の心臓外科医や麻酔科医が点滴に取りかかり、ときには小児科医にも手伝ってもらいます。

毎日毎日、赤ちゃんに点滴を何本も入れる仕事を何年も続ける中では、困難なケースに何度も出くわしました。

点滴用の特殊な留置針を、多いときは一人当たり20本も30本も使ってしまいます。

何時間トライしても点滴が入れられず、ついに手術そのものを中止・延期したことも、一度ありました。

開業して、小さな赤ちゃんに点滴を入れることは減りましたが、大きな子でも手こずる場合はあります。

また、大人の血管は赤ちゃんよりも何倍も太いはずなのに、驚くほど針が入りにくい方にも出くわします。

採血に苦労した患者さんが、「私は入りにくいからね」と笑ってくれると救われます。ありがたいことです。

そのような方にこそ、次はスパッと入れて見せたいものです。