禁煙すると体重が増えますからと患者さんはよく言いますが、仮にそうだとしても、禁煙した方がマシです。
なかには、禁煙したら太ったのであわてて喫煙を再開しました、などという臨機応変な方もいらっしゃいます。
しかも、喫煙を再開したけど体重が思うように戻らないという、妙な悩みも聞きます。
太るから禁煙したくないなどという理屈は、言い訳に過ぎません。ずっと私はそのように指導してきました。
しかし、禁煙したら糖尿病になりやすくなることは、じつは医学的事実です。ある有名な研究によると、
・新たに禁煙したら、その後5年間は、糖尿病になるリスクが高くなる
・禁煙後にたとえ体重が増えなくても、男性では糖尿病になるリスクが増える
・もともとの喫煙量の多かった男性が禁煙すると、よけいに糖尿病になりやすい
そんなデータが禁煙外来の逆風になって困っていましたが、最近、禁煙に軍配を上げる研究が発表されました。
・禁煙後に体重が増えると糖尿病のリスクは上昇するが、それは一時的なもの(禁煙後5〜7年)である
・禁煙によって最終的な死亡リスクは減った
つまり、禁煙によって体重が増えようが糖尿病になろうが、その人の寿命は延びるということです。
それほどまでに、タバコの害は強いということなんでしょうね。
体重が気になる喫煙者は多いですが、四の五の言わずにまず、禁煙しましょう。減量はその次ということで。