65歳以上の高齢者全員を対象とした、肺炎球菌ワクチンの定期接種の「経過措置」が、今年度で終了します。
現時点で65歳以上の高齢者はすべて、この5年間の経過措置の間のどれかの年度に、接種対象となりました。
来年度からは、ちょうど65歳の方だけが対象となり、66歳以上の方は二度と接種対象とはならない方向です。
ワクチンの接種率は、年度によって多少ばらつきますが、おおむね35%前後という低い数値だったようです。
ではなぜ、約3分の2の高齢者が接種対象なのに接種しなかったのか。私なりに総括すれば、
(1)無料ではなかった
小児のワクチンとは異なり、「定期接種」なのに自己負担額がけっこう大きい。熊本市は4,600円。
対象者が多すぎて(毎年700万人以上!)無料にはしにくいとしても、もっとずっと安くできなかったのか。
(2)経過措置ということがわかりにくかった
「5の倍数の年齢」の高齢者が対象と聞いて、5年ごとに接種対象の年齢になるのかと勘違いした方が多い。
たとえば平成26年度は80歳以上、次の年度は75歳以上と、年々対象年齢を広げていく方法もあったのに。
(3)国や自治体の広報活動がヘタ
TV–CMを使ったりもしてますが、対象者への個別の通知文書に、説得力と親切心がない。
国や市のサイトには、詳しい解説もありますが、高齢者相手にネット上で解説してもね。
このような低接種率に終わったことを踏まえて、国も自治体も、なんらかの手を打つことになるでしょう。
自治体のアンケート調査によれば、約3分の1の自治体が、経過措置終了後の独自の助成を考慮中とのこと。
つまり、経過措置の期間中に接種しなかった(できなかった)高齢者への救済措置です。
熊本市は残念ながら、このような独自の助成にはあまり乗り気な自治体ではありません。
しかしせめて、全国平均的なレベルでの助成は検討してほしいものです。
本当は自己負担額も下げて欲しいですが、すでに接種した人から苦情が出るので、今さら下げにくいですね。