熊本でも風疹

ついに熊本県内でも<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2520.html" target="_blank" title="風疹">風疹</a>患者が出ました。県北部に住む30代の男性で、昨日診断されたようです。

その男性と、風疹の免疫をもってない妊婦さんとの接触がないことを、祈るばかりです。

風邪かと思うような微熱と同時に、からだに発疹が出ます。「風邪+発疹=風疹」です。

じゃあ「邪発」はどこ行ったのか、という疑問は残りますが、今回そこは掘り下げません。

怪しいと思ってもいきなり受診せず、まず電話でご連絡ください。診察時には隔離する必要があるからです。

ところで「疹」の字は、「常用漢字表」に含まれていません。平成22年の改定でも追加されませんでした。

日本新聞協会は同年、常用漢字表にない漢字(表外字)のうち5字を、「新聞常用漢字表」に追加しました。

その5字というのが、「磯」「絆」「哨」「疹」「胚」でした。

それ以来、「麻しん」「風しん」などの表記が徐々に、「麻疹」「風疹」に変わりつつあります。

漢字のほかに、どうしても気になるのが「発疹」の読み方ですね。「ほっしん」か「はっしん」か。

NHKは平成22年から、それまで認めていなかった「ほっしん」も、優先順位2位で採用すると決定しました。

しかし第1位は「はっしん」なので、ニュースでメインキャスターが「ほっしん」と言うことはなさそうです。

ただし地方局や民放や、アナウンサーではない方の発言などでは、「ほっしん」も耳にします。

医療現場では間違いなく「ほっしん」です。だからニュースで「はっしん」と聞くと、違和感があります。

「はっしん」には「発信・発進」等のよく使う同音異義語があるので、「ほっしん」に合理性がありますよね。

マイル二重取り

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2484.html" target="_blank" title="JALで行ってANAで帰った話">JALで行ってANAで帰った話</a>を前に書きましたが、じつはこのたび、マイルの積算に進展がありました。

ANAのボーイング787型機がエンジンの整備改修を行うため、航空便に大きな影響が出た問題の後日談です。

日頃私は主にANAに乗っているので、たまに乗ったJALでマイルが付いても、それほど嬉しくないものです。

とは言いながら、あわててJALのマイレージ会員になった私の貧乏人根性には、あまり触れないでおきます。

ご存じかどうか、ANAには、マイルのほかに積算される「プレミアムポイント(PP)」というのがあります。

JALの場合だと「FLY ONポイント」と言いますが、両者の仕組みや目的はほぼ同じです。

これらのポイントは、買い物でも貯まるようなマイルとは異なり、実際に飛行機に乗らなければ貯まりません。

なので多くの方は、ANAかJALのどちらかに的を絞って、このポイントを一生懸命貯めているはずです。

かく言う私も、多少PPが貯まってきた時点から、もっと貯めたいと思い始めています。PP地獄の始まりです。

たびたび海外出張するような人でもない限り、普通の生活では、PPなどそれほど貯まるはずがありません。

しかしそれでもPPを貯めたい人は、PPを貯めるためだけの目的で、飛行機に乗ります。

これを「修行」と言い、さらに一定のPPに達して特定のステイタスを得ることを「解脱」と言うそうです。

予約していたANAの運航便が欠航してJALに振り替えられたとき、たしかに私はとてもガッカリしました。

マイルだけでなく、PPの獲得もみすみす逃したのですから。

ところがこのたびANAから、JALに振り替えたため搭乗しなかったANA便のマイルとPPの積算がありました。

通常、台風等による欠航に対しては、マイルやPPの保証はありません。実際に搭乗しなければダメです。

なのでB787がらみの欠航については、どうやら例外的な扱いです。利用者への手厚い保障が出るようです。

もしかすると、欠航に伴う費用の一切合切を、すべてロールスロイスに補償させるつもりなのかもしれません。

まあいずれにしても、私はANAとJALのマイル(とPPの)二重取りとなったわけで、悪い気はしていません。

病院で熱中症

岐阜市の病院で、80代の入院患者5人が相次いで死亡した事件。病院は殺人容疑での家宅捜索を受けました。

死因としては、エアコンが故障した後の冷房対策に不備があったことによる、熱中症が疑われています。

病院長がまた、すっとぼけたコメントをするものだから、世間の批判が強まっています。

「エアコンが故障し、修理に1カ月かかるため、扇風機を9台ほど出した」

「患者さんの中に暑い部屋の方がいいという人もいて、その人たちには(元の部屋に)残ってもらった」

報道番組の出演者らは、次のようにコメントしています。

「高齢者は体温調節が苦手なので、エアコンの故障で熱中症が発生することは容易に予測できる(はず)」

「(エアコンが故障したのなら)地域で連携している病院に転院すべきだ」

「医者だったら、そういう結果になることはわかっていたでしょ、ということですよね」(羽鳥慎一氏)

ひどい話に聞こえますが、しかし、病院を厳しく非難する前に、事実関係を明らかにすべきだと思います。

・全員80代という5人の死亡患者の、原疾患や病状、QOL、意識レベルはどうだったのか

・どのようないきさつで入院し、家族との関わりや面会の頻度等はどうだったのか

・エアコンが故障したからといって、依頼すれば他病院が受け入れてくれる可能性はあったのか

メディアはこの病院の行為を「未必の故意殺人」だと断じていますが、まずは、真実を知りたいものです。

基礎疾患を抱えた超高齢者が「終の住み処」として死ぬまでの日々を過ごす病院は、全国に無数にあるはず。

なかには、意思の疎通もできず、鼻と尿道に管を入れられ、24時間ずっとベッド上にいる方も大勢います。

私は若い頃にアルバイトで、そのような老人病院の当直をしたことが何度もあります。

たしかに、今回の病院のエアコン故障への対処のまずさは、責められるべきかもしれません。

しかし同時に、今回亡くなった5人の方々の、もともとの病状がどうだったのか、それを知りたいのです。

首都圏で風疹流行中

首都圏で、風疹の患者数が急に増えています。いまの状況は、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-624.html" target="_blank" title="5年前の大流行">5年前の大流行</a>の時の前兆に似ているそうです。

風疹で怖いのは、免疫のない妊婦が感染することによる、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-554.html" target="_blank" title="先天性風疹症候群">先天性風疹症候群</a>(CRS)の発生です。

妊娠後の血液検査で風疹の免疫が無いことが判明しても、妊婦さんは生ワクチンを接種することができません。

夫やその他の同居者が、あわててワクチンを接種することになります。

しかし妊婦さんが外出すれば感染の危険があるわけで、妊娠20週ごろまではずっと心配が続きます。

「風疹患者に接しないように」と言われても、症状の軽い患者ならそこらのスーパーにいるかもしれません。

症状が出ない「不顕性感染」という状態の方もいます。症状がなくても周囲への感染力はあるから困ります。

どっちみち、発症する1週間ぐらい前から感染力があるので、どうにも避けようがありません。

だからこそ、妊娠前に、風疹抗体価の検査や、必要ならワクチンの接種をしておかなければならないのです。

今後妊娠する可能性のある方。悪いことは言いません。自信が無ければ、検査か接種を受けてください。

無料検査を受けるには一定の条件があるので、保健所等に問い合わせるか、医療機関で相談してみてください。

風疹とはまた別ですが、今年の春には、沖縄や愛知、福岡などで<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2422.html" target="_blank" title="麻疹">麻疹</a>の発生(局地的流行)がありました。

当時、麻疹を予防する目的で多くの方がワクチンを接種しました。

麻疹単独のワクチンはほとんど流通していないので、接種したのは麻疹/風疹混合(MR)ワクチンです。

MRワクチンによって、麻疹だけでなく風疹の免疫も獲得できるという副産物も、実は期待していました。

ところが、麻疹流行から数カ月を経たこのタイミングで風疹が流行するとは、どういうことなんでしょう。

今後さらに、MRワクチンの接種の啓蒙活動が必要なのかもしれません。

自民党総裁選へ

「我が胸の 燃ゆる思ひに くらぶれば 煙はうすし 桜島山」

安倍総理は鹿児島で昨日、桜島をバックに平野国臣の歌を引用しつつ、総裁選出馬への決意を表明しました。

弱点の地方票を少しでも多く獲得するために、全国各地を飛び回っているようです。

山口が地盤の安倍氏が、「薩長で力を合わせて、新たな時代を切り開いていきたい」と語るサービスぶり。

ちょうど昨夜の大河ドラマ『西郷どん』が「薩長同盟」を描いた回だったことを、うまく利用しています。

世の中には、NHKが安倍氏とコラボしたなどと、面白い発想の方もいるようです。

鹿児島における出馬表明会見に、ドラマの薩長同盟の回の方を合わせたのだという考えの方もいます。

いずれにせよ、人気のある西郷どんに便乗する戦術は、淡々と政策を述べる演説よりは効果的かもしれません。

もともと安倍首相は演説が上手いとは思いませんが、ディベートはもっと下手なので避けるのが得策。

石破茂氏と真っ向勝負せず、イメージだけで乗り切ることこそが、安倍氏にとっては最善の策なのでしょう。

まあ、なんのかんの言って、結局は安倍氏になるんですかね。

国民の無党派層には石破支持が多いようですが、総裁選の有権者は無党派じゃないですからね。

国民にとっては結果的に一大事の自民党総裁選なのに、直接的にはまったく参加できないところが悔しい。

自由国民会議に入会して、自民党友として投票に関与する手もありますけどね。私はそこまではやりませんが。

医師の残業規制

国が導入しようとしている時間外労働の上限規制の、医師を別枠とする考え方には、何かと問題があります。

(1)一般業種においては、残業時間は原則として、年360時間まで

(2)特例として労使が合意した場合においても上回ることができない残業時間の上限は、年720時間

(3)医師については、残業時間は別途省令で定める(医師の特例条項)が、年960時間になるという話も

(4)さらに救急や産科などで働く医師には、上限を定めないという意見もあるとか

働き過ぎを防ぐための規制のはずが、医師は忙しいので残業を規制しないという、本末転倒な理屈です。

残業規制の趣旨は労働者の健康確保や仕事と家庭の両立にあり、ひいては女性の社会進出を促進することです。

ところが医師には厳格な残業規制を適用せず、健康や家庭への配慮よりも患者さんのために頑張れということ。

これまで医師の労働環境はずっとそうでしたが、今後変わるかと思いきや、それほど変わらないわけです。

医師はこれからも、自分の健康と家庭を多少犠牲にしてでも、国民の健康のために貢献することになります。

しかし、女性医師を男並みにコキ使うわけにはいきません。妊娠・出産・育児等では、守られるべき存在です。

せめて育児の部分だけでも、男が役割分担をすればいいのでしょうけど、それは個々の家庭の事情もあります。

女性医師が、忙しくない部署(診療科)に偏れば、忙しい科の医師は不足してますます忙しくなります。

忙しい部署でも働かせやすい男性医師の割合を増やしたいという気持ちは、どの大学や病院にもあるでしょう。

医師の長時間労働が前提となっている現在の医療現場は、今後もあちこちで問題が出てきそうです。

ビールから下剤

「クラフトビール」には以前から興味がありましたが、今朝の日経に、そのランキングが紹介されていました。

ところが、その中で飲んだことのあるのは、わずかに1銘柄。これはいけませんね。挽回しなくては。

ビールは、醸造法の違いによって「ラガー (Lager) 」と「エール (Ale)」にザックリ分類されます(詳細略)。

そして日頃(ほぼ毎晩)私が飲んでいるプレモルなどの国産大手のビールはみな、ラガーです。

ですがたまに、マイナーなメーカーの香りの良いビールも飲んだりします。これらはエールです。

本来は、毎晩エールを飲み比べたいのですが、ついつい安易にメジャーなラガーを買ってしまいます。

国産ラガーのほとんどが「ピルスナー」という種類ですが、今日はその語源が「プルゼニ」だと知りました。

チェコ第4の都市プルゼニのドイツ名「ピルゼン」が、ピルスナーの語源だそうですね。

ですが、プルゼニと聞くとどうしても「プルゼニド」を思い出してしまいます(なので話がそれていきます)。

プルゼニドは、「センノシド」を成分とする下剤の名前(商品名)です。

センノシドはマメ科の植物「センナ」に由来する成分で、大腸を刺激して運動を活発にして排便を促進します。

私がよく処方するセンノシドは、錠剤ならプルゼニド (Pursennid) 、顆粒ならアローゼン (Alosenn) です。

後発品の場合には一般名が商品名となり、センノシド錠12mg「ファイザー」、みたいな名称になります。

ピュア (Pure) なセンノシド (Sennoside) という意味で、プルゼニド (Pursennid) と命名されたそうです。

一方でアローゼンは、生薬センナを丸ごと使った顆粒なので、オール (All) センナ (Senna) が由来だとか。

ピュアかオールか、まるで本家と元祖のような関係ですね。

子どもと航空機

最近、学会参加のほかに初孫に会いに行くことなど、上京する口実がいろいろあります。

そういうわけで、飛行機に乗る頻度がとても増えています。良いコトです。

ところが今日は、東京往復の飛行機の出発が、どちらも遅延しました。

「使用する飛行機の到着が遅れたために、出発が遅れますことをお詫びいたします」

というアナウンスが流れました。つまり、機材繰りによる遅延です。

前にも書きましたが、1機の旅客機はたいてい、1日に6便の運航をこなしています。

途中で何かの理由で遅延でもあれば、その後の便がみな、遅延します。

欠航でもあれば、その後のやりくりがつかなくなり、欠航の連鎖が起きます。

ちなみに今日の帰熊時に私が搭乗したNH647便の機材JA709Aは、2000年6月に投入されたベテラン機。

今朝から、羽田ー福岡、福岡ー那覇、までは定刻だったのに、次の那覇ー福岡が58分遅れ。何があったのか。

その影響を引きずって、福岡ー羽田も55分遅れで出発。しかし機長の頑張りで、羽田到着は21分遅れに改善。

それなのに、私の羽田ー熊本が63分遅れで出発した理由は不明です。

今日は3つ隣の席に1歳ぐらいのお子さんが、お母さんに抱かれて乗ってました。

3歳未満だとチケットは必ずしも必要なく、誰かが抱っこして搭乗します。

離着陸時には、シートベルトを装着した保護者が、そのお子さんを抱っこしていました。

お子さん自身はシートベルトをしてませんが、でも、それでいいんでしょうかね。

万一の時、いくらしっかりと抱っこしていても、お子さんはきっと投げ出されてしまうでしょう。

お子さんが飛び出してしまうのを防ぐ装具かチャイルドシートが、本当は必要だと思います。

禁煙したら糖尿になる

禁煙すると体重が増えますからと患者さんはよく言いますが、仮にそうだとしても、禁煙した方がマシです。

なかには、禁煙したら太ったのであわてて喫煙を再開しました、などという臨機応変な方もいらっしゃいます。

しかも、喫煙を再開したけど体重が思うように戻らないという、妙な悩みも聞きます。

太るから禁煙したくないなどという理屈は、言い訳に過ぎません。ずっと私はそのように指導してきました。

しかし、禁煙したら糖尿病になりやすくなることは、じつは医学的事実です。ある有名な研究によると、

・新たに禁煙したら、その後5年間は、糖尿病になるリスクが高くなる

・禁煙後にたとえ体重が増えなくても、男性では糖尿病になるリスクが増える

・もともとの喫煙量の多かった男性が禁煙すると、よけいに糖尿病になりやすい

そんなデータが禁煙外来の逆風になって困っていましたが、最近、禁煙に軍配を上げる研究が発表されました。

・禁煙後に体重が増えると糖尿病のリスクは上昇するが、それは一時的なもの(禁煙後5〜7年)である

・禁煙によって最終的な死亡リスクは減った

つまり、禁煙によって体重が増えようが糖尿病になろうが、その人の寿命は延びるということです。

それほどまでに、タバコの害は強いということなんでしょうね。

体重が気になる喫煙者は多いですが、四の五の言わずにまず、禁煙しましょう。減量はその次ということで。

エレベーターの制御

「エレベーター」と「エスカレーター」を混同する人は今時いないでしょうけど、昔はけっこういましたね。

自分は1階にいて上の階に行きたい時、3階に止まっているエレベーターを下向きボタンを押して呼ぶ人も。

いつ頃からでしょうか、「カゴ」が何階にいるのかを表示するインジケーターがなくなり始めました。

待たされている側としては、あとどれだけ待てばいいのかが直感的にわからないイラつきがあります。

しかし、すべてのカゴが遠く離れた階にあるような場合、そのような事実は知りたくありません。

待ち時間が短いことは知りたくても、待ち時間が長いことは教えてほしくないのです。

カゴの所在を明らかにしないのは、人が待っている階を通過するカゴを察知されないためだそうですね。

イライラして待っている目の前をエレベーターが素通りしたら、そりゃあムカつきますからね。

エレベーターは、利用者のイライラを最小限にするためのアルゴリズムによって、運行されているようです。

いうなれば、「最大多数の最大幸福」を目指して稼働しているのでしょう。

その結果、必ずしも近い階のカゴがくるわけではなく、近い階のカゴは別の階に直行したりするわけですね。

そういえば、エレベーターの内部に行き先ボタンが2系統ありますよね。健常者用と車いす用。

実は私はつい、車いす用のボタンを使ってしまうことがあるのです。

エレベーターに乗り込んだその体勢のままで自然に押しやすい場所に、そのボタンが設置されているからです。

しかし、車いす用のボタンは、同じ階にに2台のカゴを配車するような指令を出す、特殊なボタンのようです。

「健常者がエレベーターの車いす用のボタンを押すのはやめてほしい」と、関係者は言っています。

私が何気なく押してきたボタンは、エレベーター全体の流れを悪くしていたかもしれません。反省。