宅配便と休診日

火曜と金曜の休診日には、敷地の入り口にチェーンを半分張り、車が出入りできない雰囲気にしています。

私が雑務で休日出勤していても、車はガレージ(物置のでかいやつ)の中に入れており、外からは見えません。

休診日の当院の敷地内には車も人気もなく、閑散とした雰囲気なわけです。

なので宅配便の方が休診日に配達に来ると、かつては不在連絡票を入れて立ち去ってしまいました。

私があとでドライバーに電話するとたいてい、「今日はお休みのようでしたので」という返答です。

「休診日でも院内にいることがあるので、ダメ元でチャイムを押してみてください」と私。

それ以来、休診日に荷物を受け取れる機会が増えました。再配達も減り、運送業者にも良かったでしょう。

ところが先日は、その逆のことが起きました。日曜日(←診療日)に受け取る予定の荷物が、届かない。

診療終了後に、配送業者のサイトで検索すると、あろうことか「お休みなので持ち帰りました」とある。

なに言ってんの。こっちは朝から夜までず〜っと、診療してたのに。駐車場には車が何台も停まってたのに。

すぐに配達担当ドライバーに電話すると、「日曜なのでお休みかと思っていました」だと。

荷物の宛先がクリニックなので日曜は休みだろうとタカをくくり、配達にすら来ていなかったというのです。

ドライバーの方は平謝り。私がもう帰宅すると言うと、ではご自宅の方に今日中に再配達しますとの返事。

その夜、22時頃に配達に来られました。ほかの配達で忙しくて、遅くなったそうです。

いえいえこちらこそ、申し訳なかったですね。私のわがままで、余計な残業をさせてしまいました。

宅配業界がブラックであることが問題になっていますが、私のような顧客が原因の一端なのでしょうね。反省。

なに紫陽花な

雨です。今週はずっと雨のようです。やはり梅雨はうっとおしい季節です。

そんな気持ちを爽やかにしてくれるのが、パステルカラーのアジサイ(紫陽花)ですね。いまが見頃です。

当院のアジサイはしかし、色が薄く、茶色くくすんでいまいちです。すみません。そのぶん自宅のは綺麗です。

アジサイの花びらに見えるのは、実は「萼(がく)」。その色は、土壌の性質と時間経過によって変わります。

変色のメカニズムについては、あちこちのサイトに詳述されているので、ここでは省きます。

アジサイ(あぢさゐ)の「あぢ」は集まることで、「さゐ」は「真藍」の意味だと、事典にあります。

青いのが集まった様子から命名されたわけですから、花じゃなくて萼であっても間違いではありませんね。

アジサイの「アジ」が「味」に通じると考えて、「味彩」なんて造語をよく目にします。

熊本のJAはこの季節こそ、「くまもとの味彩牛」を全国に売り出すべき好機でしょう。「和王」も一緒に。

このさい、日本最大級のアジサイ園を作って、味彩牛とコラボするってのはどうですか。

震災被害も受けた、西原村の萌の里の近隣が、勝手ながら私のイメージではアジサイ園によい気がします。

海の幸でいうなら、天草あたりで「鰺祭(あじさい)」なんて催すのもアリでしょうか。アジ食べ放題。

逆に街中では、全国の活動家を集めて演説を競わせる「アジ祭」。アジビラまき放題。

地震でブロック塀倒壊

今朝大阪で、最大震度6弱の地震が起きました。

千葉→群馬→大阪と、3日連続で地震が起きています。最大震度は4→5弱→6弱、というのが不気味です。

いやそんなことよりも、ブロック塀です。

今回の地震では、これまでに判明した4名の死者のうち2名が、倒壊したブロック塀の下敷きになりました。

しかもひとりは、登校中に学校の塀に挟まれた小学4年生の女の子です。これほど悲しいことはありませんね。

高さ1.9メートルの基礎の上の1.6メートルのブロック塀は、そびえるような高さであり、倒れたら凶器です。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1680.html" target="_blank" title="熊本地震">熊本地震</a>のとき、当院に隣接する民家のブロック塀が倒壊して当院の駐車場に倒れ込み、崩落しました。

民家の地面は当院よりも1メートルほど高く、塀はその擁壁の上に立っており、これも結構な高さでした。

鉄筋は入っていましたが、そんな補強などお構いなしに、ブロック塀がまとめてこっち向きに倒壊したのです。

そこは当院の受診者が車をとめて、降りた子どもがチョロチョロと走り回ったりするエリアです。

倒壊したのが深夜だったことが不幸中の幸いでしたが、それは単にラッキーだったと考えるべきでしょう。

大阪の小学校の、倒壊前のブロック塀に描かれていた楽しげな絵が、今回の事故の痛ましさを増幅します。

交通安全のために塀ぎわを歩くように促すための緑色の路側帯は、塀の危険性を配慮していなかった証拠です。

活断層は日本中にあり、いつどこで地震が起きるかわかりません。古いブロック塀は、常に凶器となり得ます。

しかし補強が不十分な全国のブロック塀に対して、次の悲劇を防ぐための現実的な方策ってあるのでしょうか。

(訂正とおわび)

冒頭に、千葉→群馬→大阪、と書いております部分を、最初は、千葉→埼玉→大阪、としておりました。

その間違いを指摘され、訂正すると続く文章が意味不明になったため、こっそり削除させていただきました。

まったく・・・お恥ずかしいミスでした(汗)。

制限時間は1時間

どのような超難関手術でも、最後は必ず成功するので安心して見ていられるドラマ『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2441.html" target="_blank" title="ブラックペアン">ブラックペアン</a>』第9話。

「タイムリミットは1時間」みたいな局面が、今日も訪れました。

心臓の筋肉は、病気や手術によって血流が途絶する(=虚血)と、その細胞が障害されてしまいます。

「心筋虚血時間」が長くなればなるほど心筋障害が強まり、最悪の場合、その心臓はついに動かなくなります。

なので心臓外科手術では、虚血時間をできるだけ短くするように、手を尽くします。

心臓を止めて行う一般的な手術でも、今日のドラマのような心筋梗塞直後の手術でも、考え方は同じでしょう。

このように、心臓手術にはしばしばタイムリミットが存在するので、ドラマにすると適度な緊張感を生みます。

まるでテロリストが仕掛けた時限爆弾を処理するシーンのように、スリリングに描くことができるわけです。

心臓外科が他の外科手術よりもドラマ化されやすい理由のひとつは、時間のファクターがあることでしょうね。

しかし現実には、制限時間を1秒でもオーバーしたらダメで、1秒でも下回ればOK、なんてことはありません。

今日の「1時間」だって、その症例の諸条件を考慮して経験的に考えられる、おおざっぱな数値にすぎません。

70分かかっても問題無いかもしれないし、50分でも致命的な結果になることだってあるでしょう。

なので、1時間という数字を絶対視してこだわっていたシーンが、少々ゲーム的で私にはなじめませんでした。

ドラマですから、いちいち目くじらは立てませんけどね。さて、来週は最終回。

ロナウドか、ロナルドか

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-990.html" target="_blank" title="サッカーワールドカップ">サッカーワールドカップ</a>が始まりました。

昨日は、クリスティアーノ・ロナウドが<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-49.html" target="_blank" title="ハットトリック">ハットトリック</a>を見せてくれました。すごいです。

で、毎度のことですが、テレビでは「ロナウド」、新聞では「ロナルド」。これ、なんとかならんかね。

日本人が現に使ってる発音を重視するテレビと、現地の発音に即した表記にしたい新聞との、見解の相違か。

現地の発音が「ウ」と「ル」の中間なのが原因でしょう。4年前に議論されたときに、私はそう理解しました。

ただし、ポルトガルでは「ル」に近く、ブラジルでは「ウ」に近い発音だといいますから、ややこしい。

そもそも、外国語の発音をカタカナで表すことに限界があるのです。

語尾の「ル」だと、英語でも「ウ」に聞こえたりしますよね。「mail」は「メイウ」みたいに。

「メール」と「ロナルド」では「ル」の発音が異なるでしょうけど、正確なカナ表記ができないことは同じ。

子どもの頃、父の実家で古〜い英語の教科書を見つけたときのこと。

“ This is a pen. ” のフレーズに、フリガナがふってあって、「ズィス イズ ア ペン」でした。

最初にその言葉を聞き取って広めた日本人の、その聞き取り能力が、後の語学教育に大きく影響するようです。

のちに “ This ” は「ディス」表記になりましたが、それだって、「Th」の音を正確には表せてはいません。

関係ない話ですが、日本語でも「ル」と「ウ」の発音に分かれる言葉があることに、ふと気づきました。

私が子どもの頃(山口県在住)に「知っとる」と言ってた方言は、九州では「知っとう」です。

たぶん、知ってる→知っておる→知っとる→知っとう、なのでしょう(個人の意見です)。

沖縄の麻疹終息

沖縄県から今週、麻しん終息宣言が出されました。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2407.html" target="_blank" title="沖縄の患者">沖縄の患者</a>は全部で99人。この程度で済んで良かった。

最後の患者が発生した5月11日以降4週間、新たな発生がなかったようです。

ただし、名古屋や<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2416.html" target="_blank" title="福岡">福岡</a>ではまだ発生しているので、全国的には終息していません。

それ以外の地域でも、今後新たに感染・流行が起きるかもしれません。油断はできません。

日本における現在の麻疹は、海外で感染した外国人または日本人が国内に持ち込んで、感染が広がります。

なので沖縄だって、今後また持ち込まれたら、麻しんが流行するかというと、必ずしもそうではありません。

今回の流行を機に、沖縄県内のワクチン接種が積極的に推奨・助成されたからです。

地域のワクチン接種率が95%になると、流行が阻止できるといわれます。これを「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1962.html" target="_blank" title="集団免疫">集団免疫</a>」といいます。

個人的な理由(病気や信念)によってワクチンを接種しない人がいても、その割合が5%以下なら大丈夫。

ワクチンを接種しなかった人も、感染症から守られるのです。

ところで、沖縄県の保険医療部長による「患者発生状況の概要」に、以下のような記載がありました。

「初発患者は外国人観光客であり、はしかに罹患した状態で3月17日に来沖し、その後(以下略)」

「来沖」って言うんだ、というのが最初の感想。

熊本に来るという意味の「来熊」は、2000年に熊本に引っ越してくるまで、聞いたことがありませんでした。

驚いたのはその読み。「らいゆう」です。「熊」を音読みで「ゆう」と読むことを初めて知りました。

さて「来沖」です。当然、音読みで「らいちゅう」だろうと思ったら、一般的には「らいおき」らしいですね。

「来○」で重箱読みするケースには、長崎の「来崎(らいさき)」もあるようです。「来長」の方がいいのに。

熊本の「来熊(らいゆう)」は「来遊」にも通じるので、観光県としての熊本には、ピッタリかもしれません。

獅子奮迅

米朝首脳会談が開かれたのは、シンガポールの「セントーサ島」のホテルでした。

シンガポール自体がマレー(シア)半島の先に位置する島国ですが、そのまた先っぽにある小島なんですね。

地図で見ると、ちょっとフラクタルな感じがいい。

セントーサ島って、シンガポールのどこにあるの?「先頭さ」(書かずにいられませんでした)

シンガポールは、いちどは行ってみたい国ですね。ほぼ赤道直下の、きわめて近代的な都市国家。

観光客が真っ先に見るのは「マーライオン」。大小何体かあるらしいですね。全部見ましょう。

それから、地震国日本人には想像もできない構造の、高層ビルの上に船みたいなのが乗ってるやつね。

そのホテルに、旅行サイトから宿泊予約を入れようとしたけど(試しに)、全然取れません。ずっと満室。

シンガポールの語源は、マレー語の「シンガプラ(Singapura)」。「ライオンの町」の意味だそうですね。

サンスクリット語でライオンを意味する「シンハ」が由来とのこと。

「シンハ」と聞いて、すぐに思い出すのは、タイの「シンハ(Singha)ビール」でしょうね、やっぱり。

ラベルにライオン(ていうかほぼ、獅子)の絵柄が描かれてるやつ。あの獅子が「シンハ」でしたか。

小泉純一郎元首相が、衆院解散回避の説得に来た森喜朗元首相に振る舞ったビールということでも知られます。

ライオンのような髪型がトレードマークの小泉氏ですから、シンハビールを愛飲していたと想像できますね。

「獅子」も「シーサー」も語源は「シンハ」。「狛犬」は高麗から伝来した獅子。結局みな、似てます。

「獅子の子孫」の意味の「シンハラ人」は、スリランカの主要民族。国旗にはまさに獅子が描かれています。

ライオンに由来する事柄って、世界中にありそうです。

古代の人は、百獣の王ライオンを神や王の権威と重ね合わせ、建国の神話に盛り込んだのでしょうね。

米朝首脳会談の評価

史上初だ画期的だ歴史的だと、一時は大いに盛り上がった米朝首脳会談ですが、一転して叩かれています。

体制保証だけ約束して、非核化への具体的道筋がまったく見えてこない。トランプ大統領は大失敗したと。

じゃあ、「共同声明」なんて出さなければよかったのでしょうか。

それならそれで、会談しただけで目に見える結果が何も無いと叩かれるのがオチでしょう。

では、「いついつまでに、これこれの方法で非核化を完了する」と、具体的に宣言すればよかったのか。

それならそれで、根拠のない絵空事を言うなと非難されるでしょう。

拉致問題についても、トランプ大統領は問題提起をしましたが、具体的なことは今後の協議となりました。

このことを、ある拉致被害者家族は「奇跡的」だと喜び、また別の方は「とても残念」と話していました。

一見両極端の反応ですが、誰の心の中にもきっと、期待と不安と失望が交錯しているはずです。

かつては威勢の良い強硬な発言を繰り返していたトランプ大統領ですが、会談後の発言は妙に大人しい。

これを「後退」と非難する事もできますが、会談を成し遂げたのだから「前進」と言うこともできます。

少なくとも朝鮮半島の、日本も巻き込まれるかもしれない戦争が遠ざかったことは確か。

じゃあ、前進なんじゃないの?

米朝首脳会談実現

北朝鮮の「CVID」はどうなるのか。

完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(Complete Verifiable Irreversible Denuclearization)のことですね。

史上初の米朝首脳会談の中継を、今日はテレビにかじりついてずっと見てました(休診日だったので)。

周到な準備の末の会談でしたが、トランプ大統領のことですから、ちゃぶ台をひっくり返すかもしれません。

トランプ大統領は「最初の1分で北朝鮮が本気かどうか分かる」と言ってたので、ひっくり返すなら1分後?

さいわい、歴史的な会談はひとまず成功だったようですね。CVIDの達成はともかく。

最初の握手がとても印象的でした。ぱっと見この二人、豪快なおっちゃんと小太りのぼくちゃん、て感じです。

これからどうなるのかが大事ですが、こういう風に直接会って親しく対話することは、決して悪い事じゃない。

空爆するとかミサイルを撃ち込むとか、そういう発想が今後起きにくくなることは確かでしょう。

少し前まで、北朝鮮の金正恩氏の最終的な命運は、

(1)米軍に空爆されるか、CIAに暗殺される

(2)北朝鮮国内でクーデターが起き、殺害される

(3)それらの危険を察知して、中国に亡命する

のいずれかだろうと私は思っていましたが、どうやら、

(4)米国による体制保証のもとで、生き延びる?

両首脳が合意文書に署名して、共同声明を出すというサプライズ。ここまで準備されていましたか。

中身の無いパフォーマンスだと揶揄する向きもありますが、歴代の大統領が誰もなし得なかったことは確か。

得意満面のトランプ大統領が、包括的な文書だと言いながら、サインした文書をこちらに見せてくれました。

とりあえず、 “Comprehensive Visible Impressive Document” か。

敷地内禁煙

禁煙外来を行っている当院は、当然、「敷地内禁煙」です。

しかしそのように掲示していても、毎朝掃除のときに、駐車場の片隅でタバコの吸い殻を数本発見します。

診察をお待たせしたのは申し訳ありませんが、敷地内禁煙なので、せめて自分の車で吸ってほしいものです。

そして吸い殻は、車の灰皿に入れていただきたい。

そんなことは常識的なマナーだと思うのですが、(一部の)喫煙者は、吸い殻をポイ捨てするんですよね。

マナー違反が喫煙者のごく一部だとしても、その不快な行為が、喫煙者全体を嫌悪させることになるのです。

いま、受動喫煙を防止するための法案が議論されていますが、ポイ捨てについても厳しく規制してもらいたい。

たばこは、たとえば小さな子どもが誤食したら、急性ニコチン中毒で致命的な結果をもたらす場合があります。

胃酸があるので吸収されにくく、意外と安全だという理屈もありますが、それは楽観的です。

同時に摂った飲食物等の影響によっては、ニコチンが急速に吸収されてしまう可能性を考慮すべきです。

つまり、たばこは毒薬。吸い殻のポイ捨ては、毒物を公共の場所に遺棄・放置することなのです。

年に1回か2回、自宅で子どもがたばこを食べてしまった、という親御さんからの電話相談を受けます。

お子さんのために、迅速かつ適切な対応をするのは医者として当然としても、心底ガッカリする話です。

たばこの管理が悪かったと親はしきりに反省しますが、子どものいる家庭での喫煙自体が犯罪行為なのです。

「従業員のいる飲食店は原則禁煙」という、国よりもずっと進んだ姿勢を、東京都の条例案では示しています。

それが、未成年を含む非喫煙者従業員を保護する目的であるのなら、もっと踏み込んでみてはどうでしょう。

「未成年者のいる家庭では原則禁煙」

子どもを受動喫煙や誤食の危険から守ることが、街中での受動喫煙対策よりもよっぽど大事だと思うのですが。