敷地内禁煙

禁煙外来を行っている当院は、当然、「敷地内禁煙」です。

しかしそのように掲示していても、毎朝掃除のときに、駐車場の片隅でタバコの吸い殻を数本発見します。

診察をお待たせしたのは申し訳ありませんが、敷地内禁煙なので、せめて自分の車で吸ってほしいものです。

そして吸い殻は、車の灰皿に入れていただきたい。

そんなことは常識的なマナーだと思うのですが、(一部の)喫煙者は、吸い殻をポイ捨てするんですよね。

マナー違反が喫煙者のごく一部だとしても、その不快な行為が、喫煙者全体を嫌悪させることになるのです。

いま、受動喫煙を防止するための法案が議論されていますが、ポイ捨てについても厳しく規制してもらいたい。

たばこは、たとえば小さな子どもが誤食したら、急性ニコチン中毒で致命的な結果をもたらす場合があります。

胃酸があるので吸収されにくく、意外と安全だという理屈もありますが、それは楽観的です。

同時に摂った飲食物等の影響によっては、ニコチンが急速に吸収されてしまう可能性を考慮すべきです。

つまり、たばこは毒薬。吸い殻のポイ捨ては、毒物を公共の場所に遺棄・放置することなのです。

年に1回か2回、自宅で子どもがたばこを食べてしまった、という親御さんからの電話相談を受けます。

お子さんのために、迅速かつ適切な対応をするのは医者として当然としても、心底ガッカリする話です。

たばこの管理が悪かったと親はしきりに反省しますが、子どものいる家庭での喫煙自体が犯罪行為なのです。

「従業員のいる飲食店は原則禁煙」という、国よりもずっと進んだ姿勢を、東京都の条例案では示しています。

それが、未成年を含む非喫煙者従業員を保護する目的であるのなら、もっと踏み込んでみてはどうでしょう。

「未成年者のいる家庭では原則禁煙」

子どもを受動喫煙や誤食の危険から守ることが、街中での受動喫煙対策よりもよっぽど大事だと思うのですが。